新型BMW X3(F25)【試乗評価】精悍になった外観とBMWらしい乗り味 [LDA-WY20]

BMW X3 MSport 前面画像

今回の【試乗評価】は、「BMW X3 xDrive20d M Sport(F25・2代目)」。
2011年から2017年まで製造販売されていた、MクラスのクロスオーバーSUV(5ドア)です。

初代「X3」は、ひとクラス上級となる「X5」の成功を受けて開発された「SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)」第二弾です。「SAV」とはBMWの造語で、オンロード性能を重視したスポーティなSUVって意味合いになります。

「X5」が「5シリーズ」をベースにしていたのに対して、「X3」は「3シリーズ(E46)」をベースにしてます。基本となるプラットフォーム(基本骨格)も「3シリーズ」由来です。

「重心の高いSUVなのに、BMWらしいスポーティな走りも楽しめる」ってことで、世界中で人気となり販売面も好調でした。それまでの本格的なクロスカントリーは、カッコは良いけどオンロードでの走りがイマイチだったんで、まあ、両方の良いとこどりをしたこの手の車が人気になるのも当然です。

その後、クーペ調の「X6」が出て、よりコンパクトな「X1」も登場。ここでBMWのSUV体系は一応完成となります。

今になって振り返ると、「このへんから、急激にボディバリエーションを増やす新しいBMWの販売戦略が始まったんだなあ」って印象です。

この記事は、一世代前の「先代 BMW X3(2代目)」について書いてます。最新型となる「BMW X3(3代目)」については下のリンクからどうぞ↓

BMW X3シリーズ X3 xDrive20d M Sportのフロント

新型 BMW X3シリーズ X3 xDrive20d M Sport(G01・3代目)【評価レビュー】5シリーズをベースとする上質な走りを持ったクロスオーバーSUV [LDA-TX20

2017年12月9日
じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「BMW X3 xDrive20d M Sport(F25・2代目)」の概要

今回紹介する2代目「X3」は、その初代「X3」のコンセプトをほぼそのまま受け継ぐキープコンセプトモデルです。デザインも初代の路線を踏襲してますが、その後登場した「X6」や「X1」のデザイン要素も巧みに取り入れてるんで古臭い感じはありません。

このスタイリングを統括したのは、日本人デザイナーの永島譲二です。そういわれると以前同氏が統括した「5代目・3シリーズ(E90)」ともなんとなく雰囲気が似てます。まあ、デザイナーが同じなんだから似てるのは当たり前か。。。

先代と比べると、ボディが一回り拡大されました。全長は+65mm伸びて「4,650mm」に、全幅は+25mm拡大されて「1,880mm」、ホイールベースも+15mmほど伸びて「2,810mm」になってます。全高だけは先代のままで、1,675mmです。

大きな「X5」とコンパクトな「X1」の間に挟まれて、ちょうど良いサイズ感になったんじゃないでしょうか。重さも程よく、室内や荷室の広さも十分以上。狭い日本で使うにはピッタリな感じです。

プラットフォームなど

プラットフォーム(車台)は先代同様、3シリーズがベースです。これに同じ3シリーズに搭載される「直列4気筒2.0リッターディーゼルターボエンジン(コモンレール直噴)」を搭載。

BMW伝統の前後重量配分「50:50」を守りながら、後輪駆動をベースにした4WDシステム「xDrive」を組み合わせてます。この4WDシステムはオンロードでのスポーティな走りを重視しているため、駆動配分は後輪寄りです。ただし、そこから路面状況によって柔軟に駆動配分を変化させるんで、追い込んでいった時の安定感は4WDと変わりません。

ライバルは

ライバルは「メルセデスベンツ・GLC」や、「アウディ Q5」などの高級Mクラス・クロスオーバーSUV。

マイナーチェンジ情報

2014年にビッグマイナーチェンジ。内外装の大幅な変更と安全装備の充実、グレードの見直しなどが行われました。

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外観

ボディサイズ、全長4655mmX全幅1900mmX全高1675mm。ホイールベースは2810mm。

ボディサイズは3シリーズとほぼ同じ。先代X3と比べると一回り大きめです。

フロント

マイナーチェンジでグリルとヘッドライトが一体化。スポーティな「Mスポーツ専用フロントバンパー」が装備され、精悍な印象を強めています。

サイド

SUVにしてはフロントノーズが長くAピラー(一番前の柱)も傾斜しているため、スポーティな印象が強い。短く切り詰められた前後オーバーハング(タイヤからボディ端までの長さ)が相まって、キビキビとした軽快感を表現しています。

マイナーチェンじよる大きな変更点はありません。

リア

BMW X3 MSport 後部画像

小さく絞り込まれたリアウィンドウに、ダイナミックなリアコンビランプ。スポーティな「Mスポーツ専用リアバンパー」が装備され、上質で力強い後ろ姿を構成。

マイナーチェンジによる変更点は、リアバンパー形状など僅かな点にとどまります。

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内装

BMW X3 xDrive 20d 内装画像

プラスチッキーな樹脂にピアノブラック調パネル。メタル・フィニッシャーを組み合わせたスポーティな室内。

メーターナセルには、BMW伝統の緻密な二眼メーターを装備。クッキリとした文字で視認性が高い。Mスポーツを選択することで、ステアリングは上質な本革巻きとなります。

センターコンソール最上段には、ナビレーションや車輌情報を表示する8.8インチワイド液晶ディスプレイ。中段にはエアコンのコントロールユニット。手探りでの操作もしやすいダイヤル式です。

高めのアイポイントと見切りの良いボディによって、運転のしやすい車に仕上がっています。

シート

BMW X3 xDrive 20d シート画像

フロントシートは厚みのある快適なシート。タッチはソフトですが、クッションにガッチリとしたコシがあるため、体圧が集中して痛くなることもありません。適度なサイドサポートも装備され、腰の高い位置からお尻、太ももの裏にかけて均一な力で支えます。

リアシートは、フロントに比べれば平板でクッションも薄め。ただし、頭上および足元空間には十分なスペースがあり、大人二人で座っても十分な余裕があります。リクライニング&スライド機構は装備されません。

荷室

荷室にはステーションワゴン並の空間を確保。家族4人なら、荷物のかさばるキャンプも可能です。さらに背もたれを4:2:4で分割して倒せば、荷室スペースの拡大も可能。

静粛性

室内にはたっぷりと遮音材が施され、プレミアムSUVにふさわしい静粛性を実現。エンジンノイズの侵入も最小限で、ロードノイズ、風切り音もよく抑えられています。

エンジンとトランスミッション

1995cc・直列4気筒DOHCディーゼル・ターボエンジンに、8速ATが組み合わされます。
エンジンは、最高出力184ps/4000rpm、最大トルク38.7kgf・m/1750-275d0rpmを発揮。
JC08モード燃費は、18.6km/l。車両重量、1840kg。

エンジン

2.0リッターのディーゼルエンジンで4輪を駆動(フルタイム4WD)。

低速から分厚いトルクを発生するパワフルなエンジン。320dセダンよりも重いボディをスルスルと力強く加速させます。パワーの出方もリニアでスムーズ。4リッター自然吸気エンジン並の動力性能を発揮します。

車外から聞くエンジンノイズは「ガラガラ」とトラックのようですが、室内にはたっぷりと遮音材が施され、不快なエンジン透過音は侵入させません。さらに、一旦走り出せば驚くほど静かに変化して、ガソリンエンジン並の静粛性をみせます。

アイドリングストップからの再始動は、振動が大きく上質感は今ひとつ。

ボディの重量増に合わせてブレーキも強化されており、節度感をともなった強力なブレーキが装備されます。

トランスミッション

トルコン式の8速ATを装備。段付き感の少ないスムーズなトランスミッション。トルクフルなディーゼルエンジンの美味しいところを活かして、エンジン回転を低めに維持。高燃費と力強さを両立しています。

乗り心地とハンドリング

前輪にダブルジョイントストラット式サスペンション、後輪に5リンク式サスペンションを装備。前後ともにスタビライザーで強化。

乗り心地

装着タイヤは、前後ともに245/50R18。

320dセダンよりもサスストロークが長く車重も重いため、重厚感あふれるしなやかな乗り味です。

低速ではゴツゴツと路面の段差を拾いがちですが、速度が上がるにつれてサスがしっとりと動き出し、姿勢変化の少ないフラットな身のこなしをみせます。

SUV特有のユサユサとした揺れを若干伴うものの、高速での安定性は高くまっすぐに直進。横風やわだちにも進路を乱されにくいです。

ハンドリング

最小回転半径は、5.7mと少々大きめ。

重いディーゼルエンジンを鼻先に搭載するものの、前後重量配分はほぼ50:50。どちらかといえば、後輪側の方が重いくらいです。

3シリーズセダンのようなキビキビとした軽快感は無いものの、BMWらしいスポーティさは十分。ドライバーの操舵に素直に反応して、自然な動きでノーズの向きを変えます。

重心が高いため、コーナリング中は若干のロールを許します。ただし、姿勢変化が自然で予測しやすいため、不安な印象はありません。リアの接地性が高く、旋回性能とのバランスも素晴らしいです。

【試乗評価】のまとめ

「BMW X3 xDrive20d M Sport(F25・2代目)」は、3シリーズセダンをベースに開発された、MクラスのクロスオーバーSUV。

初代X3よりもボディがひと回り拡大され、居住性や荷室容量が向上。パワフルなディーゼルエンジンが搭載され、日常領域での力強さは十分以上です。3シリーズセダンほどの軽快感は無いものの、SUVとしてはハンドリングも十分スポーティ。適度に引き締まった足回りもBMWらしくて好ましいものです。

搭載されるディーゼルエンジンは、メルセデスベンツのモノと比較すると20万円ほど安く、性能は同等以上。なるべく安く良いものを買いたい人には嬉しい選択肢となります。

「SUVの外観は好きだけど、おしゃれに街中を走りたいだけ」とか、「ドイツの高級ブランドに憧れはあるが、セダンやステーションワゴンでは面白くない」といった人には最適な一台です。

中古車市場では

2017年式「BMW X3 xDrive20d M Sport(F25・2代目)」で500万円前後。2014年式なら300万円前後(2018年6月現在)。

新車価格

6,970,000円(税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)