今回は「2代目 アウディ A6 2.8 クワトロ(C5)」を試乗レポートいたします。
このアウディA6は、1997年にモデルチェンジが行われ、同じ年に日本国内でも販売が開始されています。アウディの中核を担うLサイズ高級ラグジュアリーセダンです。
アウディ100のフロアをそのまま流用した「初代アウディA6」と異なり、この「2代目アウディA6」は専用プラットフォームを使って大規模な全面改修が行われています。
そのため、初代アウディA6とは全く違った完成度の高い走りと上質感を備えています。
最新型のアウディA6(C7系)については、「新型 アウディ A6 2.0 TFSI クワトロ(C7系)【試乗評価】」のページをご覧ください。
外観
全長4805mmX全幅1810mmX全高1450mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2760mmとなります。
同世代のVWパサートとよく似たエクステリアデザインが与えられています。アウディA6の方がボディサイズが拡大されているため、パサートと比較すると堂々とした佇まいを感じさせます。
このボディサイズは、日本で乗るには邪魔にならないギリギリのサイズですが、これより上級のアウディA8となると、日本の狭い路地や駐車場では使用できるシーンが大きく制限されます。
A4同様、新世代アウディのコンセプトが適応されており、それまでのアウディには無かったような上質感と高級感があります。そのため、ドライバーズカーとしてだけではなく、ショーファードリブン(運転手付き)としても十分に使うことができます。
フロント
アウディ100から受け継ぐコンサバ路線を生かしながらも、新世代アウディにふさわしいモダンで上質な表情が与えられています。
サイド
ファストバックの流麗なシルエットが与えられ、短く切り詰められたフロントオーバーハングと相まって、スポーティで美しいサイドビューです。
リア
初代アウディTTとよく似た個性的でかっこいいリアコンビランプが装備されます。この世代のアウディはどれもリアコンビランプに特徴があり、様々なアイディアと工夫が凝らされています。そのため見ているだけでも十分楽しめます。
内装
外連味の無い上質で質実剛健なインテリアデザインです。実際に使い勝手もよく、初めてハンドルを握っても違和感を感じることはありません。
シート
どっしりとした重厚感のあるシートが装備されています。実際に座って見てもその印象は変わらず、芯材には上質なスポンジが詰められており、長時間座っていても腰が痛くなることもありません。運転に集中出来る快適なシートです。
荷室
Lクラスセダンらしく荷室には広大なスペースが用意されています。4人家族で2泊3日程度の旅行なら十分にこなすことができます。
静粛性
20年前の車とはいえ、アウディが誇るLクラス高級セダンですから、車内には遮音材がたっぷりと奢られています。上質で静かなエンジンと相まって、車外から不快な雑音が進入してくることはありません。
エンジンとミッション
2771ccのV型6気筒DOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、193ps/6000rpmの最高出力と、28.6kgf・m/3200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1670kgで、10モード/10・15モード燃費は、9.0km/lとなります。
エンジン
この2.8リッターV6DOHCエンジンは、自然吸気ならではのリニアで自然なトルク特性を持ち、スムーズで息の長い加速をします。
低速域から太いトルクを発生させているため、街中で力不足を感じるシーンはありません。坂道や合流地点など瞬時に加速が必要な状況でも、周りの流れをリードして悠々と加速することができます。
トランスミッション
組み合わされる5速ATは、自然吸気エンジンの自然なトルク特性をうまく使って、スムーズかつリズミカルな変速を重ねます。
このトルコン式ATには、この当時珍しかったティプトロニック式変速ゲートが装備されます。これは、現代の車にも装備される「パドルシフト」と基本的には同じギミックです。
シフトレバーを通常のゲートから横にスライドさせると、前後に「+」と「-」の切り欠きが設けてあり、ここにシフトレバーを入れる事で簡単に「マニュアルシフト」ができるという仕組みです。
ただこのティプトロニック式ATは、トルコン式ATのギアを手動操作しているだけですので、デュアルクラッチ・トランスミッションのようにスピーディかつダイレクトな操作フィールが得られるわけではありません。
足回りとハンドリング
前輪に4リンク式サスペンション、後輪にはダブルウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
重量級ボディにダンピングの効いたしなやかな足回りが装備され、低速から高速域までスムーズで重厚感のある乗り心地を提供します。
ただ、若干ハーシュネス処理が苦手で、路面の段差ではビシビシと衝撃を車内に伝えます。
ハンドリング
大きなボディに超ロングホイールベースが組み合わされているため、おだやかで上質なハンドリングフィールを持ちます。キビキビとした反応を返してくるわけではありませんが、ドライバーの意図に自然に反応する気持ちの良いステアリングフィールです。
評価のまとめ
初代アウディA4に続いて発売された、新世代アウディのLクラス高級セダンです。初代アウディA6が実質的にアウディ100のキャリーオーバーであったため、実質的にはこちらが初代アウディA6といってもいいでしょう。
エンジンからシャーシー、足回りまで全てが一新されており、それまでの旧態依然としたアウディのイメージとは全く異なります。
対象となるユーザー
アウディA4は日本で乗るにはピッタリなサイズ感の車ですが、人気車ゆえに台数が多く街で度々すれ違うことになります。そのため、A4よりもうちょっと所有欲の満たされる上質な車が欲しいと思っていた人には、このアウディA6がピッタリな車となります。
また、Lクラス高級セダンにふさわしいたっぷりとした室内空間と、こだわりのある人でも十分に満足させられる上質感を持つため、ショファードリブン(運転手付き)として使っても十分期待に応えてくれる車です。
価格
新車当時の価格 | 5,755,000円
このページを読んだあなたにオススメの記事
- 新型 アウディ A6 2.0 TFSI クワトロ(C7系)【試乗評価】
- 新型 メルセデスベンツ Eクラス E200(W213)【試乗評価】
- 新型BMW 7シリーズ セダン 740i(G11)【試乗評価】
- 新型メルセデスベンツ Eクラス E250(W212)【試乗評価】