新型 ポルシェ マカン S【試乗評価】兄貴分のカイエンを凌ぐバランスの良さ [ABA-95BCTM]

ポルシェ・マカンSのアイキャッチ

今回の【試乗評価】は「新型 ポルシェ マカン S」。
2014年に登場した、中小型クラスのクロスオーバーSUV(5ドア)です。

SUV+911っぽい外観からも分かる通り、2002年に登場したフルサイズSUV「カイエン」の弟分という位置づけになってます。

大きなボディに大排気量、高出力エンジンを搭載してダイナミックに走る「カイエン」に対して、「マカン」は、コンパクトなボディにダウンサイジングターボを搭載したスポーティなSUVです。

ポルシェカイエン

新型 ポルシェ カイエン S【試乗評価】高品質な内外装とポルシェならではのスポーティな乗り心地

2016年10月17日

ポルシェ自身も「SUVで唯一のSUV」と公称する通り、一番の魅力はSUVとは思えないほどの俊敏な身のこなしでしょう。単なる「カイエン」の劣化版じゃありません。それぞれに違った魅力があるんです。

販売も好調で、2017年だけで10万台近くを売り上げてます。これはポルシェがその年に販売する全販売量の4割で、発売年から足していくと全部で35万台になるほど。

今、世界中で流行している「プレミアムSUV」と、「コンパクトSUV」の2つの属性というか魅力を併せ持っているんですから、まあ、そりゃ売れないほうがおかしいです。

加えて「マカン」には、911っぽいカッコいい外観とブランド力。ポルシェの名にふさわしいスポーティな走り。を併せ持っている上に価格まで安い(もちろんポルシェにしてはという注釈が付きますが)んですから、こんなにコストパフォーマンスの高いクルマはそうそうありません。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「新型 ポルシェ マカン S」の概要

同じVWグループ内の「アウディ・Q5」と基本的な構造は同じなんですが、共用するパーツは1/3にとどまります。「どうせ乗り味は一緒なんだから、後は、ディーラー網とかデザインの好みで決めればいいんでしょう?」なんてのは勘違いです。

ボディ外板は当然として、トランスミッションからエンジン(ベースグレードは除く)、駆動システムや足回りなど、走りに関わる重要なパーツほど「マカン専用」となってます。

ベースグレード用のエンジンだけは「アウディ製」になっちゃいますが、それでも、ポルシェ専用のチューニングが施されるんで、マカンの世界観を壊すことはありません。

FFをベースにした4WDシステムも、ポルシェの世界観に合わせて「後輪寄り」の駆動配分になってます。エンジンの搭載位置もボディの中心に寄せてあるんで、ハンドリングもスポーティです。いわゆる「フロントミッドシップ」という状態になってます。

「マカン」とはインドネシア語で「虎」を意味するそうですが、語感といい意味合いといい、まあ、ピッタリな名前を付けたもんだなあと思いました。

プラットフォームなど

基本となるプラットフォーム(車台)は、VWグループ内で幅広い車種に使われている「MLBプラットフォーム」。いわゆるモジュール式ってやつで、車種に合わせて伸ばしたり縮めたりといったことが割と簡単にできるように設計されとるんです。

基本的にはFFベースの4WDだけど、ポルシェらしさを出すために後輪よりの駆動配分(通常は前輪2:後輪8)となってます。

エンジンの搭載位置も「Q5」より後で、重量バランスが良いです。これはFRスポーツなんかに多い「フロントミッドシップ」という状態で、スポーティなハンドリングを実現してます。

ライバルは

BMW X3シリーズ X3 xDrive20d M Sportのフロント

新型 BMW X3シリーズ X3 xDrive20d M Sport(G01・3代目)【評価レビュー】5シリーズをベースとする上質な走りを持ったクロスオーバーSUV [LDA-TX20

2017年12月9日

主なライバル車種は「BMW・X3」や「アウディ・Q5」、「メルセデスベンツ・GLC」なんかの、中小型プレミアムSUV。最近は、コンパクトSUVとかプレミアムSUVの人気が高く、この他のメーカーからも続々とライバルとなりそうなモデルが登場しとります。

マイナーチェンジ情報

2018年にマイナーチェンジモデルを発表。予約開始は同年12月より。発売は2019年夏。

新しいデザインのLEDヘッドライトや、左右のリアコンビランプを連結するリアガーニッシュなど、外装の変更は小さめです。

内装デザインについては、10,9インチのタッチディスプレイが装着されました。こいつは「ポルシェ・コミュニケーション・マネジメントシステム」のための操作インターフェイスで、ナビやオーディオ、車輌情報やネットなどを統合的に制御。音声コントロールも可能です。

エンジンはパワーアップされ、足回りやトランスミッションにも手が加えられています。オプションとなりますけど、車高調節式のエアサスペンションを選ぶこともできるんです。

今回のマイナーチェンジについては、「内外装の変更は少ないけど、中身にはたっぷりと手が加えられているなあ」と思いました。こういうのは、販売が好調な時にありがちなマイナーチェンジのパターンなんですよねえ。

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外観

ボディサイズ、全長4680mmX全幅1925mmX全高1625mm。ホイールベース、2805mm。

すでに2代目となった「カイエン」と比べると、ひとまわり小さく引き締まった印象です。

初代カイエンの登場からすでに17年も経過しているため、ポルシェルックのSUVにも随分見慣れました。最初は「ポルシェなのになんでSUVなの?」とか、「SUVまで無理やり911風にしなくてもねえ」なんて違和感があったもんですが、今では普通に「ポルシェっぽくてかっこいいね」って感じです。

フロント

大きなエアインテイクを備えるフロントバンパーに、ティアドロップ型のヘッドライトを装着。「まさにポルシェ!」といった感じのスポーティなフロントフェイスになってます。

現在、ビッグマイナーチェンジモデルが発表されてますけど、911を彷彿とさせるフロントフェイスは、ビッグマイナーチェンジ後もそんなに変わりませんねえ。変更点はヘッドライト内部のデザイン変更と、フロントバンパーのデザイン微調整。リップスポイラーの標準装備くらいです。

サイド

サイドビューは、911というよりも4ドアサルーン(5ドアハッチバック)の「パナメーラ」に近い感じです。「マカン」はSUVなんで、パナメーラよりちょっとだけ「ズングリ」してますけど。

ポルシェっぽいフロントノーズに、クーペライクなキャビンが乗っかって、躍動感あるスタイリングになってます。

ポルシェっぽいとか、911って言葉が何度も出ちゃいますけど、デザインモチーフが911なんだからこればっかりは仕方ありません。まあ、もちろん、僕の語彙が貧困というのもあります。

リア

左右に大きく張り出したリアフェンダーに、小さく絞り込まれたキャビン(居住スペース)。SUVの力強さと、ポルシェのスポーティな感じが上手いことミックスされてますねえ。

ビッグマイナーチェンジ後は、左右のリアコンビランプが連結された最新のポルシェ風になりそうです。個人的には初期型のリアコンビランプの方が好きだけど、新しい方もサイボーグっぽくてカッコいいと思います。

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内装

ポルシェテイストでギュッと統一された、スポーティなインテリア。それでいて、プレミアムクラスにふさわしい上質な感じもあります。

メーターナセル

ドライバーの眼の前には三眼メーターを配置。中央がタコメーターで左がスピードメーターになってるのは、伝統的なポルシェの文法です。ただし、右の丸いメーターは液晶ディスプレイになってて、燃料や油温、走行距離なんかの車輌情報を表示してます。てな具合で、伝統と現代的なハイテク感が上手いことミックスされとりますねえ。

ステアリングは、911風のスポーティでかっこいいデザインになってます。中央にポルシェのエンブレムが燦然と輝いているんで、「俺は今ポルシェを運転してるんだ!」というなんともミーハーな感動が湧いてくるんです。

センタークラスター

センタークラスター最上段には、「スポーツクロノ」と呼ばれるカッコいいアナログ時計が乗っかってます。ちょうどブランドスーツに高級時計を組み合わせた感じで、上質なポルシェの世界観を上手いこと表現してます。うなぎに対する山椒じゃないけど、こういう小物って意外と大事なんですよねえ。

現在、発表されとるマイナーチェンジモデルでは、この直下に「10.9インチのタッチスクリーン」が付くみたいです。

こいつは、ポルシェのインフォテイメントシステム「PCM」を統合的に表示、操作するためにも使われます。初期型より画面がワイドになったため、ディスプレイの左右にあったエアコンの吹出口は移動して、セータークラスターの一番下に行きました。僕の好みとしては、一番上にエアコン吹出口なんですけど、ここは一等地なんで、最近の車は視認性を重視して液晶ディスプレイを置いていることが多いです。

個人的な最適解は、一番上にフローティングディスプレイで、その直下にエアコン吹出口かなあと思います。まあ、車の設計思想にもよるんで、このへんは一概に言えませんけど。

センターコンソール

センターコンソールには、異様に縦長のシフトセレクターがあります。といっても実際のセレクターはこの半分くらいで、デザイン上長く見せてるだけなんです。シフトセレクターの左右には、ポルシェの文法に従ってたくさんのスイッチが整然と並べられとります。一番奥にはエアコンの制御スイッチもあるんで、全部合わせるとスイッチの数は相当なもんです。正直、これだけあると一度に覚えるのは難しいんですけど、とにかくカッコいいんで文句はありません。「外はポルシェなのに、インテリアはまんまアウディ」なんてことになったらがっかりですもんね。

シート

フロントシートには、しなやかな本革表皮とストローク感のあるクッションの組み合わせ。シート形状はスポーティなんだけど、それほどタイトじゃないです。適度な余裕があるんで、長距離ドライブでも疲れにくいと思います。

リアシートもフロント同様に快適性を重視した構造。形が平板なんでフロントほどのホールド性は期待できないけど、座り心地は良いです。足元、頭上空間にも十分なスペースがあります。

荷室

リアウィンドウがスポーティに傾斜しているため、高さ方向への余裕はいまいち。ステーションワゴンやミニバンのような、使い勝手はありません。それでも、前後および左右にはそこそこのサイズがあるんで、家族で2泊3日旅行くらいなら余裕でしょう。

リアシートの背もたれを「4:2:4」分割して倒せば、荷室容量を大きく拡大することもできます。

静粛性

「アウディ・Q5」をベースにさらに遮音性を高めてある感じで、車内の静粛性は高いです。普通に流している分にはエンジンも静かで上質。ロードノイズや風切り音もしっかりと抑え込まれてます。

もちろん、アクセルを踏み込めば勇ましいポルシェサウンドが楽しめるんで、そのへんの心配はいりません。

エンジンとトランスミッション

2997cc・V型6気筒ツインターボエンジンに、7速ATを搭載。
エンジンは、最高出力340ps/5500-6500rpm、最大トルク46.9kgf・m/1450-5000rpmを発揮。

車両重量-kg。JC08モード燃費、-km/l。

エンジン

3.0リッターのV6ツインターボで4輪を駆動(フルタイム4WD)。ベースグレードと違って、「マカンS」のエンジンはポルシェ内製となります。普段は上質でスムーズなんだけど、アクセルを踏み込むとポルシェらしい豪快なサウンドが味わえます。エンジンの吹け上がりも鋭くて、切れ味が良いですねえ。

どの回転域からも瞬時に必要なトルクが湧き上がる感じで、全域でフラットなトルクが得られます。2t近いボディを苦にすることもなく、軽々と加速しちゃうんです。

決して爆発的なトルクを誇るタイプじゃないけど、パワフルで上質、ポルシェらしい緻密な感じも併せ持つ完成度の高すぎるエンジンだと思いました。

ブレーキのタッチも完璧で、踏み始めは上質でスムーズ、制動力が増していくに従ってカチッとした剛性感を感じさせるタイプ。信頼感が高いんで、安心して運転できます。

トランスミッション

デュアルクラッチ式の7速AT(PDK)を装備。エンジンと同じで、こっちもポルシェ独自のトランスミッションが使われとります。

パドルシフトを使ってマニュアルシフトしてやれば、瞬時に変速を終えちゃいます。まさに「電光石火の早業」ってやつで、しかも変速の段付き感はほとんどありません。ダイレクトでスムーズなトランミッションなんです。

変速に伴うエンジン回転の変化も素早くて、アクセル操作だけで自由自在に速度を制御する感覚が味わえます。

乗り心地とハンドリング

前後ともにマルチリンク式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、前、235/60R18。後、255/55R18。

乗り味には、ストロークを活かしたしなやかさと、適度に引き締まった感じが合わさってます。ベースとなった「アウディ・Q5」とは一味ちがって、味わい深い凝縮感みたいなモンも感じます。

大きな21インチタイヤを装着した場合は分からないけど、18インチなら路面の小さな凸凹を柔軟に吸収して、涼しい顔でスーッと走り抜けちゃいます。

ハンドリング

マカンはコンパクトSUVと呼ばれることもあるけど、実際の車幅は1925mmと結構大柄です。

ただし、そのハンドリングは正確でリニア。カイエンなどのフルサイズSUVと違って、どちらかといえばケイマンのような軽快感がありますねえ。SUVというよりはハッチバックに近い感じで、運転しているとSUVということをすっかり忘れてしまいます。簡単にいうと、運転が楽しいってことです。

ワインディグに持ち込んでもそんなにロールをしません。安定した姿勢を保って、ヒタヒタと路面に吸い付くような走りをみせます。

ステアリングは低速ではクルクルと軽く、速度域を上げるに従ってしっとりとした重みを増すセッティングです。扱いやすさと高速域での安定性を両立しております。

【試乗評価】のまとめ

「新型 ポルシェ マカン S」は、中小型のプレミアムSUV(5ドア)です。

同じグループ内の「アウディ・Q5」とプラットフォームを共有しながらも、エンジンやトランスミッションなどの主要パーツはポルシェ内製となってます。その割合は、共用部分「1」に対してポルシェ内製パーツ「2」。というわけで、兄弟車といってもアウディの香りはほとんど感じられないんです。

兄貴分のカイエンよりも一回り小さなボディに、ポルシェ911を彷彿とさせるめっちゃカッコいいスタリング。これに、トルクフルで扱いやすいエンジンや、ダイレクトかつスムーズなデュアルクラッチトランスミッション(7速PDK)が組み合わされてます。

乗り心地はストロークを活かしたしなやかな感じで、ポルシェらしいスポーティさとかしっとりとした上質感もあるんです。

ポルシェのブランド価値や、流行り物としてのSUV感。なんかもまるっと含めて、全部で600万円台から買えるんですから、こんなにコストパフォーマンスの良い車は滅多にありません。

「流行り物のプレミアムSUVに乗ってみたいが、それなりのブランド価値も欲しい」とか、「子供の頃からポルシェにすっと憧れているけど、911やケイマンではスポーティ過ぎて使い勝手がいまいち」、「カイエンではちょっと大きすぎるし、価格も高い」なんて考えていた人にピッタリな一台です。

中古車市場では

2018年式「ポルシェ マカン S」で800万円前後。2015年式なら700万円前後(2019年3月現在)。

新車価格

8,410,000円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)