今回の【評価レビュー】は「新型 ホンダ N-ONE プレミアム ツアラー」。
2012年に登場した、軽自動車のハイト系ワゴン(5ドア)です。
「ホンダ N-ONE」は、ホンダが社運を掛けて開発する軽自動車「Nシリーズ」の第三弾モデル。「ゼスト」の実質的な後継車にあたる車で、モチーフとなったのは1967年に発売された往年の「N360」です。
「N360」は、ホンダが初めて開発した乗用車タイプの軽四で、広々とした室内と低価格、高い動力性能が受けて当時は高い人気を誇っていました。その名車「N360」をモチーフにするのですから、この「N-ONE」に掛けるホンダの意気込みには相当のものがあります。
プラットフォーム(基本骨格)は「N-BOX」などにも採用される、ホンダの新世代軽自動車用アーキテクチャー。エンジンやトランスミッションも「N-BOX」と共通です。
短いエンジンルームとセンタータンクレイアウトによって、広々とした室内と良好な重量バランスを実現。コンパクトカーからの乗り換えも想定しているため、コンパクトカークラスに準じる質感が与えられています。
2017年にマイナーチェンジを実施。グレード構成が整理され、「スタンダード」「セレクト」「プレミアム」「RS」の4グレードとなります。その他には、装備の充実や静粛性能の向上など見えない部分にもしっかりと手が加えられました。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1610mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2520mmとなります。
往年の「N360」をモチーフに現代的解釈を加えた、レトロポップなスタイリング。
家の親父(70代)は、こいつを見る度にいつも「おっ、Nコロだ!」と喜んでます。
フロント
丸みのあるフロントノーズに丸目ヘッドライト。大型シングルフレームグリル(メッキ)と、新形状となったグリルバー(メッキ)。「N360」を彷彿とさせるような可愛らしいフロントフェイスです。
サイド
短いノーズと傾斜の強いA&Dピラー(前後の柱)によって、個性あふれる台形型シルエットを構成。前後ギリギリに配置されたタイヤが組み合わされ、キビキビとした軽快感を表現しています。
リア
力強く大地をつかむように広がるリアフェンダー。緩やかに前傾するリアエンドパネル。上質に輝くメッキガーニッシュと、クリアタイプのリアコンビランプ。プラミアム感あふれる後ろ姿です。
内装
ピアノブラック調パネルにプラスチッキーなダッシュボード。シンプルで使い勝手の良い室内。
メーターナセルには視認性の高い三眼メーター。ナビゲーションモニターは、センターコンソール最上段。エアコンは手探りでの操作が難しいプッシュ式。
シフトセレクターはインパネ中央に設置され、足元には広いスペースが残されます。カップホルダーやインパネトレイなど、小物入れも充実しており子育て世代に喜ばれそうです。
N-BOXと比較するとシートポジションは低めですが、広々とした視界と見切りの良いボディによって運転はしやすいです。
シート
フロントシートは、合皮とファブリック素材によるコンビシート。適度な立体感があり身体を包み込むように支えます。体圧をキレイに分散する快適なシートです。
リアシートはやや背もたれのクッションが薄いものの、サイズ感自体は十分。足元、頭上空間ともに広々とした空間があり、足を組んだ姿勢で座ることも可能です。
荷室
荷室には広々とした空間を確保、家族4人なら1泊旅行も可能です。床下にガソリンタンクが無いため、空いたスペースを活かして床下収納が備わります。
静粛性
遮音材や吸音材の最適化によって、車内の静粛性が向上。エンジンノイズやロードノイズ、風切音もすっきりと遮断され、コンパクトカークラス並の静けさがあります。
エンジンとミッション
658cc・直列4気筒DOHCターボエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
最高出力64ps/6000rpmと、最大トルク10.6kgf・m/2600rpmを発揮。
車両重量860kg。JC08モード燃費は、23.8km/l。
エンジン
0,7Lのツインカムターボで前輪を駆動(FF)。低速からフラットでぶ厚いトルクを発生するパワフルなエンジン。アクセルを軽く踏み込むだけで、どの回転域からも瞬時にトルクが立ち上がります。レスポンスが良いので速度の制御がしやすいです。
荷物や人をたくさん積んでいてもパワー不足になることはありません。急な坂道でも流れをリードしてグイグイと加速します。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって無段階に変速するCVTを装備(トルコン付き)。エンジン回転ばかりが上がって車速のともなわない、俗に言う「ラバーバンドフィール」は最小限。スムーズなギアチェンジで違和感の無い変速をみせます。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には車軸式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは165/55R15。
強化された足回りと空気圧の高いエコタイヤによって、足回りは少し硬い印象。
といっても衝撃の角がまろやかなため、ゴツゴツとした不快感はありません。上質とまでは言えませんが、しなやかな乗り味です。
高速域ではさらにフラットな印象が増し、低速域で感じた衝撃はほとんど感じられません。
ハンドリング
穏やかで自然なハンドリング。リアの接地性もよく、安定感とハンドリングのバランスが取れています。ドライバーの操舵に素直に反応して、イメージしたラインを外しにくいです。
フロントにはスタビライザーを装備。強化された足回りと相まって、コーナーリング中の姿勢も安定しています。
最小回転半径は4.7m。見切りの良いコンパクトなボディとあいまって、狭い場所での切り返しもやりやすいです。
その他
先進安全技術は、30km/h以下で走行中、前車との衝突を回避、もしくは被害軽減をサポートする自動ブレーキ「シティブレーキ・アクティブシステム」を搭載。
この他に予防安全技術として、車輌の挙動を安定させる「VSA」や急ブレーキの作動を後続車両に伝える「エマージェンシー・ストップ・シグナル」、坂道発進時の後退を抑制する「ヒルスタート・アシスト機能」といった機能を装備しています。
【評価レビュー】のまとめ
「ホンダ N-ONE プレミアム ツアラー」は、ホンダが社運を掛けて開発する軽自動車「Nシリーズ」の第三弾。N-BOXと比較すると低いルーフ(といってもハイト系ワゴンです)に、パワフルなターボエンジン。引き締まった足回りが組み合わされます。
N-BOXと比べれば狭いですが、新世代アーキテクチャーによって広いとした室内と良好な重量バランスを実現。コンパクトカーからの乗り換えも想定しているため、内外装や乗り味など、軽自動車にしては上質感があります。
「若い頃にN360に乗っていて、引退後の手頃な車を探している」とか、「コンパクトカーからダウンサイジングして軽自動車に乗り換えたいが、なるべくなら質感は落としたくない」といった人に最適な車です。
中古車市場では
2017年式「ホンダ N-ONE プレミアム ツアラー」で150万円前後。2014年式で110万円前後(2018年4月現在)。
価格
価格 | 1,641,600円(消費税込み)