新型 日産スカイライン HYBRID(V37)【試乗評価】攻撃的なハイブリッドシステム [DAA-HV37]

日産スカイラインハイブリッド前面画像

今回の試乗レポートは、「新型 日産スカイライン 350GT HYBRID Type-P(V37)」。
2014年にフルモデルチェンジした、Lクラスの4ドアセダン。今回で13代目となります。

名前こそ「スカイライン」ですが、その実態は北米向けに開発された「インフィニティ Q50」そのもの。世界市場では「インフィニティ Q50」の名前で販売されますが、日産の強い要望によって国内市場に限り「スカイラン」の名前が使われます。

今や縮小の一途を辿る国内セダン市場。その市場に向けて専用モデルを開発することは難しい状況です。実際に「スカイライン」のシェアが10%以下なのに対して、「インフィニティ Q50」は90%以上。これでは「名前だけでも残って良かった」と言うしかありません。

ベースとなるプラットフォームは、日産のLクラスFR用アーキテクチャー「FMプラットフォーム」。2世代前の「V35型・スカイライン」から継続して使われており、今や熟成の域にあります。

パワーユニットは、3.5Lエンジンに電気モーターを組み合わせたパワフルなハイブリッドシステム。システム総合出力は364馬力にも達します。

操舵システムには、ステアリングと駆動系が物理的に接続されない「ステアリング・バイ・ワイア」を採用。将来の完全な全自動運転には無くてはならない大切は技術ですが、電気信号によって舵角を制御しているため若干の違和感が残ります。

2017年にマイナーチェンジを実施。内外装のデザイン変更を中心に装備を充実させています。

メルセデスベンツ製・次世代ターボエンジンを搭載したモデルが気になる方は「新型日産スカイライン(V37)」のページをどうぞ。

※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をサクッと読んで下さい。

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「新型 日産スカイライン 350GT HYBRID Type-P(V37)」の外観

ボディサイズ、全長4815mmX全幅1820mmX全高1440mm。ホイールベース、2850mm。

今回のスカイラインは写真ではのっぺりとした印象ですが、実際に見ると上質感あふれるスタイリッシュな車です。ツヤのあるしっとりとした塗装と緻密なボディの合せ目によって、ドイツ高級セダンにも劣らない高い質感を備えています。プレミアムブランド「インフィニティ」にふさわしい仕上がりです。

ターボ車とハイブリッド車で、外観上の大きな違いはありません。

フロント

低く身構えたフロントノーズに、シャープなLEDヘッドライト。ダイナミックなフロントグリルの中央には、「日産」では無く「インフィニティ」のシンボルマークを設置。

ちょっとにらみ上げるような目つきですが、全体の上質な雰囲気と相まって、プラミアムカーにふさわしい強い個性を発しています。

サイド

ロングノーズ&ビッグキャビンのエレガントなサイドビュー。短く切り詰められたフロントオーバーハング(前輪からボディ先端までの長さ)に、ロンクホイールベース(前輪と後輪の間の長さ)が組み合わされ、伸びやかなスポーツ感を表現しています。

リア

クーペのようになだらかなルーフラインに、小さく絞り込まれたリアエンド。グラマラスなヒップライン。スポーティでありながら大人っぽい余裕を感じさせます。

リアコンビランプは、インフィニティ流の有機的なデザインですが、よく目を凝らして見るとリフレクター内に「丸目4灯」のモチーフ。古くからのスカイラインファンを泣いて喜ばせる、粋なデザイン処理が施されます。

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内装

柔らかな光りを反射する樹脂に本木目フィニッシャー。鈍く輝くメタルパーツ(ガンメタリック)を組み合わせた上質な室内。

メーターナセルには、視認性の高い大型二眼メーター。中央にハイブリッド車専用となる「HVモニター」も用意。

センタークラスター最上段には「大画面ツインディスプレイ(8インチワイド&7インチワイド)」を装備。大きな画面が上下に2つあるため、「ナビゲーションを表示しながら地図の検索を行う」なんて事も可能です。

ヒップポイントが低くボディの見切りも分かりにくいため、慣れるまではちょっと運転しにくいかもしれません。

Lクラスセダンにしては室内は狭く、適度な囲まれ感があります。窮屈というよりはスポーティな雰囲気といった感じです。ボディ剛性が高いため、ドアを閉めると「ドスッ」という重厚感あふれる音が車内に響きます。

シート

フロントには、ストロークのたっぷりとした大柄なシートを装備。柔軟な表皮にコシのあるクッションが組み合わされ、快適な座り心地です。腰の高い位置からお尻、太ももの裏にかけて、均一に支えます。長距離ドライブでも疲れの出にくい快適なシートです。

リアシートはやや平板なデザインとなるものの、フロントシートに準じる質感と座り心地を確保。座面、背もたれ共に十分なサイズ感があり、長距離ドライブでも疲れにくいです。ロングホイールベースによって、足元スペースはタップリ。大人二人が座っても窮屈感はありません。

荷室

リアシートと荷室の間に大きなハイブリッド用バッテリーを搭載するため、ガソリン車に比べると荷室は狭め(400L)。といっても元々の容量が大きいため、十分な広さがあります。家族4人であれば、2泊3日旅行も余裕です。

静粛性

車内には遮音材や吸音材がたっぷりと施され、静かなハイブリッドシステムと相まって抜群の静粛性能を誇ります。プレミアムセダンにふさわしい、静かな室内空間です。

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パワーユニットとミッション

3498cc・ V型6気筒DOHCエンジン+電気モーターに、7速ATが組み合わされます。
エンジンは、最高出力306ps/6800rpm、最大トルク35.7kgf・m/5000rpmを発揮。
電気モーターの最高出力は68ps、最大トルク29.6kgf・m。

JC08モード燃費、17.8km/l。車両重量、1790kg。

基本的にフーガと同じハイブリッドシステムですが、スカイラインの方が車重が軽いためパワフルな印象です。

パワーユニット

3.5LのV6ツインカムエンジンと、電気モーターによるハイブリッドシステムで後輪を駆動(FR)。エンジンとトランスミッションの間に電気モーターを挟み込んだ、1モーター2クラッチの構造。

トルキーな電気モーターと3.5Lエンジンを併用した走りは圧倒的で、1.7tあまりのボディを軽々と加速させます。低速域から中高速域まで、全域でモリモリと湧き上がるようなぶ厚いトルクを発生。プレミアムセダンにふさわしい上質さも兼ね備えており、スムーズなフィールが気持ち良いです。

出足から低速域では電気モーターだけを使った走行も可能。ゆるやかなアクセル操作を心がければ、静かでスムーズなEVフィールが味わえます。ただし、低速域でラフなアクセル操作を行うと、エンジンの始動と休止が断続的に繰り返され、ギクシャクとした不自然な動きをみせることがあります。

回生ブレーキはスムーズで、フーガ用ハイブリッドシステムのような違和感はありません。

高速域ではエンジン回転が低めに保たれるため、静かで上質なフィールが強調されます。バッテリーに十分な電気がチャージされていれば、さらに静かなEV走行も可能です。

トランスミッション

電気モーターの前後に2つのクラッチ板をレイアウトした、7速デュアルクラッチ・トランスミッションを装備。トルコン式ATやCVTでは味わえない、ダイレクトでスムーズなフィールが気持ち良いです。ラフなアクセル操作をするとギクシャクとした動きをみせることもありますが、全般的にはハイブリッドシステムとのマッチングも良く大きな違和感はありません。複雑なシステムをスムーズに作動させる、優れたトランスミッションです。

足回りとハンドリング

前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。

ハンドリング

今回のスカイラインで一番のエポックは、「DAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)」と呼べれるステアリング・バイ・ワイア・システムでしょう。

このシステムは、ステアリングの切れ角を電気信号に変換、電気的にアクチュエーターを作動させてタイヤの舵を切るというモノ。つまり、驚くべきことにステアリングとタイヤが機械的(物理的)に接続されていないのです。

メリットとしては、「コンピュータのセッティングによって色々な味付けが可能になる」とか、「コンピュータ制御による全自動運転がやりやすくなる」といった事があげられます。

反面、登場してから日が浅いため「ロードインフォメーションが足りない」とか、「制御に不自然な部分がある」といったいくつかの課題を抱えているのも事実です。

スカイラインに搭載される「DAS」は、路面のわだちにタイヤを取られてもアクチュエーターの働きで真っ直ぐに進路をキープしたり、強い路面からの衝撃はキャンセルしながらも必要な情報は確実に伝えるといった配慮がみられます。

このシステムの説明を聞いて誰もが心配に思うのは、「システムが故障した時、ステアリング制御ができなくなったらどうするの?」といって事でしょう。もちろん、この点には十分な安全対策が施されており、システムに異常が発生した場合は物理的にステアリングとタイヤが接続され、通常の機械的なステアリングとして作動するので安心です。

最小回転半径は、5.6m。大柄なボディを考えると標準的な数値です。

足回り

装着タイヤは、225/50RF18。

乗り心地は若干硬め。といっても高剛性ボディによく動く上質なサスが装備されるため、衝撃の角には適度な「しなやかさ」があります。目地段差では不快な衝撃を遮断しながらも、必要なロードインフォメーションは確実に伝達。ドライバーを不安にさせることはありません。

低中速域までは4輪の接地性も高く、それぞれのタイヤが巧みに上下してボディをフラットに維持。「わだち」に足を取られることもなく、安定した走りで直進します。

その他

先進安全技術は最新の「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を搭載。

このパッケージには予防安全技術として、「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」や、衝突を予測して回避もしくは被害軽減をはかる「インテリジェント・エマージェンシーブレーキ」、斜め後方の死角に車がある時、車線変更をしようとすると警報もしくは車線を維持するように操舵支援を行う「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」、「インテリジェントBUI(後退時衝突防止システム)」といった技術を。

運転支援技術として、自動的にハイビームとロービームを切り替える「ハイビームアシスト」や、ステアリング操作に連動してヘッドライトと照射範囲を変える「アクティブAFS」、前車との車間を検知してアクセルを戻す「インテリジェント・パダル(車間距離維持支援システム)」、前車との車間を維持して一定速度で追従する「インテリジェント・クルーズコントロール」とった技術を含みます。

【試乗評価】のまとめ

「日産スカイライン 350GT HYBRID Type-P(V37)」は、熟成されつくしたFR用プラットフォームに、最新のハイブリッドシステムを組み合わせたプレミアムセダン。

搭載されるハイブリッドシステムは、ただ単に燃費を良くするためのものではなく、ドイツ高級車と同じ考えで作られた動力性能と燃費を高次元でバランスさせたパワフルなシステムです。

ホイールベースが拡大された事により、室内には適度な囲まれ感を維持しつつも、大人4人が十分に座れる空間を確保。リアシートとトランクの間に大きなバッテリーを搭載するため、ガソリン車よりは小さいですが荷室スペースも十分な大きさがあります。

革新的技術である「DAS」は、ステアリング制御やロードインフォメーションの伝え方に多少の違和感がありますが、「ステアリングの味付けを自由にできる」とか、「路面からの衝撃を完全に遮断できる」など、このシステムならではのメリットも多いです。

対象となるユーザー

「若いころはスカイラインやマークⅡに乗っていたが、質感の低さに納得がいかずドイツのプレミアムセダンに乗り換えた」とか、「上質感があって燃費の良いプレミアムセダンに乗りたいが、BMWメルセデスベンツは周りの目が気になって買いにくい」といった人にオススメの車です。

中古車市場では

2017年式「日産スカイライン 350GT HYBRID Type-P(V37)」で380万円前後。2014年式で200万円台(2018年5月現在)。

新車価格

5,223,960円(税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

現在、古い「試乗関連」の過去記事を全面書き換え中。その分、新しい記事の投稿が少なくなります(2018年4月〜)