今回は「新型ホンダ グレイス HYBRID EX」を試乗レポートします。
ボディはアジア向けシティと共用ですが、製造は日本国内になります。
アジア向けシティは3代目フィットをベースに設計されているので、グレイスとフィットは兄弟車という関係です。
また実質的には、生産中止となったインサイトの、後継機種として位置づけられています。
インサイトはプリウスに対して販売面の落ち込みが激しく、ある一定の役割は終えたとの判断と、モデル整理のため廃止となりました。
外観
近未来的なインサイトと異なり、オーソドックスなセダンといった日常感あふれるデザインです。
5ナンバーサイズのセダンですが、フィットに無理矢理トランクを付けたようなデザインで、ちょっといびつな感じがします。
しかしこれはフィットの派生車種ですから仕方ありません。
内装
フィットとほぼ同じ内装デザインですから、とくに高級感といったものは感じられません。
メーターグラフィックもフィットと共通で、合理的で使いやすいデザインです。
フィットと違いシートの構造と質感が高められています。
上質な生地と、厚みのあるクッションがしっかり使われており、これなら中距離移動でも問題ありません。
後部座席の足下は広々しており快適です。しかし後席では、若干路面からの突き上げ感があります。
エンジン音やロードノイズが侵入してきますので、このクラスの標準から考えると少しうるさい室内です。
フィットとの最大の違いは、後部の広大なトランクスペースです。
またこのトランクのおかげで、後輪が室外に取り付けられますので、その分フィットよりロードノイズの侵入は少なくなります。
エンジンとミッション
1.5L直列4気筒エンジン+電気モーターと、7速DCTが組み合わされます。
エンジンは、110ps/6000rpmの最高出力と、13.7kgm/5000rpmの最大トルクを発揮します。
また電気モーターは、29.5psの最大出力に、16.3kgmの最大トルクを発揮します。
必要十分な動力性能で、「Sモード」を選ぶとさらにパワフルな加速感です。
しかし残念なのは、このエンジンにはホンダらしい爽やかなフィールが少ない事です。
インサイトよりハイブリッドシステムが進化しており、電気モーター単独での発進も可能です。
頻繁に電気モーターのアシストも得られ、エネルギー効率も高いです。
低速トルクは十分なはずですが、なぜか出足が悪く、少し間をおいて加速していきます。
おそらく燃費重視のセッティングのせいでしょう。
またこのDCTは、フィットと同じく低速でぎくしゃくするクセがあります。
足回りとハンドリング
前輪マクファーソンストラット式サスペンションに、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
素直なハンドリング特性で、気持ち良くコーナーをクリアしていきます。
フィットゆずりのロングホイールベースにより、直進安定性は高いです。
フィットHYBRIDより車重が重いため、重厚感のある乗り心地です。
乗り心地は可もなく不可もなくといった、クラス標準的なレベルです。
評価のまとめ
少しちぐはぐな外観が気になりますが、コンパクトな5ナンバーサイズのセダンが欲しい人にはオススメの車です。
子供が独立して、そう大人数を乗せる事がないといった人にちょうどいいサイズだと思います。
またフィットより、少しだけ質感も高められており上質に仕上がっています。
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 4440mmX1695mmX1475mm
JC08モード燃費 | 31.4km/l
価格 | 2,220,000円(税込み)