新型 スバル・レガシィ アウトバック Limited(5代目・BS9)【試乗レポート】上質な大人のグランドツアラー [DBA-BS9]

スバルレガシィアウトバック前面画像

今回の【試乗レポート】は「新型 スバル・レガシィ アウトバック Limited(5代目・BS9)」。
2014年にフルモデルチェンジした、MクラスのクロスオーバーSUV(5ドア)です。

初代「アウトバック」は、1994年にアメリカで発売されたクロスオーバーSUV。SUV需要の高まる北米市場に向け、レガシィをベースに開発されました。

そのアウトバックもモデルチェンジの度に大型化が進み、現在では5ナンバー枠を大きく超えています。これも北米市場を重視した戦略ゆえといったところでしょう。

そのかいもあって北米市場では高い人気を得ていますが、逆に日本市場での売上は今ひとつ。かつてのように爆発的な人気はありません。

今回のレガシィ・シリーズではついに「ツーリングワゴン」がカタログから消え、この「アウトバック」と4ドアセダン「B4」だけとなってしまいました。

まあ、それでも日本市場向けにはひと回り小さくスポーティな「レヴォーグ」が新たに用意されていますので、「かつて”レガシィ・ツーリングワゴン”が好きだった人はこちらをどうぞ」といったところでしょう。

※じっくり読む時間の無い人は、文末の「【試乗レポート】のまとめ」をどうぞ↓

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「新型 スバル・レガシィ アウトバック Limited」の概要

「アウトバック」は、レガシィ・ツーリングワゴンをベースに最低地上高を上げ、逞しいSUVパーツで武装したクロスオーバーSUVです。

ただし、今回からアメリカ市場で人気の無いツーリングワゴン(ステーションワゴン)はカタログから落とされ、「アウトバック」と「B4(4ドアセダン)」の2車種体制になっています。まあ、なんでもかんでもアメリカ様中心ていうのはちょっと寂しいですが、これも商売。仕方ありません。

「大きくなった」と賛否両論の巻き起こった先代「5代目・レガシィ(アウトバックとしては4代目)」から、さらにボディを拡大。ダイナミックで上質。ひとクラス上の存在感を表現しています。

パワートレーンは1種

パワートレーンは2.5L水平対向エンジンにCVT(リニアトロニック)、「AWD」と呼ばれるフルタイム4WDを組み合わせた1種類のみの構成。「Limited」は、専用18インチアルミホイール(切削光輝ブラック塗装)や上質な専用サス(スタブレックス・ライド)など、装備を充実させた上級グレードです。

ライバルは

国内に実質的なライバルは存在しませんが、車格やクロスオーバーSUVといった要素から捉えれば、「マツダ・CX-5」や「トヨタ・ハリアー」、「日産・エクストレイル」などがライバルにあたります。

2017年にマイナーチェンジを実施!

2017年にマイナーチェンジを実施。内外装のデザイン変更に加えて、足回りやトランスミッション(CVT)、電動パワステ、ブレーキなど見えない部分にもしっかりと手が加えられています。

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外観

ボディサイズ、全長4820mmX全幅1840mmX全高1605mm。ホイールベースは2745mm。

「レガシィにしては大きすぎる」と不評の多かった先代ですが、今回のレガシィはさらに大きいです。

といっても、大きくなったスペースの多くはスタイリングのために使われ、ダイナミックで上質、「大人のクロスオーバーSUV」といった感じに仕上げられています。

加えて今回は国内専用モデルとして「レヴォーグ」も用意。「日本で乗るにはでかすぎる!」なんて文句を言う人もいません。スバルもなかなか上手いことやるもんです。

フロント

鋭さを増したホークアイ型ヘッドライトに、新形状となったヘキサゴングリル。SUVテイストを演出するフロント・スキッドガード(シルバー)。逞しさの中にも大人っぽい上質感があります。

ただ、マイナーチェンジで小さなアールや鋭いエッジなどが増え、ちょっと煩雑な印象です。スバルはマイナーチェンジでメカニズムをぐっと熟成させてくるのですが、その半面、なぜかデザインのバランスを崩してしまうとこがあります。

僕の勝手な想像ですが、マイナーチェンジを担当するのは若手デザイナーなのかもしれません。そうやって実務経験を積ませることでデザイナーを育成しているのかな?なんて想像してしまいます。

サイド

張りのある面で構成されたサイドパネル。前後に長いキャビンに、高められた最低地上高。力強い18インチ大径アルミホイールが相まって、伸びやかでダイナミックなサイドビューを表現。鋭く刻まれたキャラクターラインが、ボディ全体をキリリと引き締めています。

最低地上高を高めてSUV系パーツをくっつけるだけで、俄然クロスオーバーSUVっぽくなるんですから不思議なもんです。これだけで売上が上がるんですから、メーカーとしても笑いが止まらんでしょう。なんとも便利な仕組みを考えたもんです。

リア

スバルレガシィアウトバック後部画像

ふくよかなヒップラインに、ワイド感を強調するアロー型のリアコンビランプ。逞しいリア・スキッドカード(シルバー)を組み合わせます。

歴代レガシィ・シリーズに脈々と受け継がれていた「ブラックアウトされたDピラー(一番後ろの柱)」は、先代同様、今回も採用されていません。ちょっと寂しい気もしますが、この逞しいDピラーが新しいレガシィのアイキャッチという事でしょうね。

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内装

スバルレガシィアウトバック内装画像

しっとりとしたソフトパッドに、ピアノブラック調パネル。清潔なシルバーパーツと、木目調加飾パネルを組み合わせた質感の高いインテリア。ゴージャスな5つ星ホテルというよりは、ちょっと贅沢なリゾートホテルって感じです。

先代レガシィはAピラー(一番前の柱)の根本に巨大なドアミラーがあったので、その分斜め前方の死角も大きめでしたが、今回はAピラーの根本に大きな三角窓が設置され随分見やすくなりました。アップライト(目線が高い)なポジションと広々とした視界が相まって、運転しやすいです。

センタークラスター(インパネ中央)最上段にはエアコン吹出口を設置。中段には大型ワイドディスプレイとエアコン操作ユニット。ツライチのピアノブラック調パネルで連結され、一体感が高いです。エアコン(左右独立温度調整機能付き)はダイヤル式で手探りでの操作も簡単。

ドライバーの眼前に設置されたメーターナセルには、砲弾型ベゼルを持つ二眼メーターを装備。ちょっとフォントは小さめですが、くっきりとしたデザインで見やすいです。メーターの中央には車輌情報などを表示する「マルチインフォメーション・ディスプレイ」をレイアウト。ステアリング&シフトノブは本革巻きで、上質な手触りの良さがあります。

シート

フロントシートは、がっちりとしたフレームにコシのあるクッション、しなやかな表皮を組み合わせた快適なシート。体圧をキレイに分散して、肩まわりから腰、太ももにかけて”もっちり”とと支えます。長距離ドライブでも疲れが溜まりにくいです。

レガシィのシートは、腰回りのカーブが絶妙で身体に妙な圧力を掛けません。クッションにはしっかりとしたコシがあるのに、表皮は柔軟でしなやか。身体に疲れをためにくいんですよねえ。国産同クラスシートの中では最高峰でしょう。

リアシートは、座面の長さ、背もたれの高さともに十分で身体を支える機能が高い。足元や頭上空間には広々とした空間が拡がり、大人二人で座っても余裕があります。

荷室

幅、奥行き、高さともに広大で、形状もスクウェア(四角い)。歴代レガシィの伝統を受け継ぐ使い勝手の良い荷室です。家族4人であれば、荷物の嵩張るキャンプ遊びも余裕でしょう。背もたれを4:6で倒せば、さらに容量を拡大することもできます。床下には小物の整理に便利なサブトランクも装備。

静粛性

室内にはたっぷりと遮音材が施され、高級サルーン並の静粛性能を実現。風切音やロードノイズもよく抑えられています。

エンジンとトランスミッション

2498cc・水平対向4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、最高出力175ps/5800rpm、最大トルク24kgf・m/4000rpmを発揮。

車両重量、1580kg。JC08モード燃費、14.8km/l。

エンジン

2.5Lのツインカムエンジンで4輪を駆動(フルタイム4WD)。低速からフラットなトルクを発生するトルキーなエンジンで、1.5tあまりのボディを過不足なく加速させます。

アクセルに対するレスポンスも良く、荷物や人を積んだ状態でもモタツクことはありません。バイブレーション、ノイズともによく抑えられており上質感が高いです。

トランスミッション

ベルトとプーリーによって無段階に変速するCVT(マニュアルモード付き)を装備。街中など日常モードであれば、CVTならではの違和感はありません。自然なフィールを持った扱いやすいトランスミッションです。

マイナーチェンジでマニュアルモードが6段から7段ステップへと変更され、小気味よさとスムーズさが向上。同時にチェーンベルトも改良され、静粛性が向上しています。

アウトバックのような車で「マニュアルモード」を使うことはほとんどありませんが、急な加速をしたい時や、下り坂でエンジンブレーキを効かせたい時に便利です。特に、細かいステップは意外と下り坂でエンジンブレーキを微調整する時に役立ちます。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはダブルウィッシュボーン式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、225/60R18。KYB製ダンパー「スタブレックス・ライド」を装備。

重厚感あふれるしなやかな乗り心地。目地段差では路面の衝撃をそれなりに伝えるものの、不快な衝撃はしっかりと遮断。剛性感の中にも上質なしなやかさがあります。

高速域での安定性も高く、進路を乱しにくいです。うねりのある路面では4つのサスが巧みに上下してフラットな姿勢を維持、まっすぐに走り抜けます。

ハンドリング

適度に引き締まったスポーティなハンドリング。多少目線の高さはあるものの、運転間隔はセダンやステーションワゴンに結構近いです。ドライバーのちょっとした操作にも素直に反応して、イメージしたラインを正確に描きます。といっても、スポーツカーのような俊敏さはなく「おおらかでゆったり」といった感じです。

背の高いSUVにしてはロールもよく抑えられており、安定した姿勢を維持してスムーズに旋回。ボディが不自然にグラついたりすることも無く、揺れの収まりも良いので安心して運転できます。とにかくロール制御が巧みなんですよね。

最小回転半径は5.5mとボディの割に小さく、取り回し性も良好。

先進安全技術

先進安全技術は最新の「EyeSight(ver.3)」と「アイサイト・セイフティ・プラス」を搭載(レヴォーグに搭載されている「アイサイト・ツーリング・アシスト」の設定は無し)。

このパッケージには、予防安全技術として衝突の危険を検知して予防、被害軽減をはかる「プリクラッシュブレーキ」や「後退時自動ブレーキシステム」、誤操作による急な飛び出しを防ぐ「AT誤発進抑制機能(前後)」を。

運転支援技術として、一定の車間を維持して前車に追従する「全車速追従機能付きクルーズコントロール(0km/h~120km/hに対応)」やステアリングをアシストして車線を維持する「アクティブレーンキープ」、ふらつきや車線逸脱を検知して注意を促す「警報&お知らせ機能」といった機能を装備。

【試乗レポート】のまとめ

「スバル・レガシィ アウトバック Limited」は、レガシィツーリングワゴンをベースに最低地上高を高め、SUVテイストあふれる外装を施したMクラスのクロスオーバーSUV。

レガシィ・ツーリングワゴンの伝統を受け継いだ広々とした室内と、使い勝手の良い荷室。剛性感あふれるしなやかな乗り味に、素直なハンドリングを持ったグランドツアラーです。

最近流行のスタイリングを重視したクロスオーバーSUVとは異なり、高い悪路走破性を持つのもこの車の魅力です(スバルの”AWD”はそのへんの”なんちゃってSUV”とは歴史が違います)。

「家族のために荷物のたくさん積める車を探しているが、所帯じみたミニバンは嫌」とか、「上質な大人のグランドツアラーを探している」といった人に最適な車です。

加えて「高い悪路走破性も欲しい」と考えるなら、アウトバック以外の選択肢はそれほどありません。

中古車市場では

2017年式「スバル・レガシィ アウトバック Limited」で320万円前後。2014年式で250万円前後(2018年9月現在)。

新車価格

3,564,000円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)