今回の旧型レポートは「7代目 日産 サニー スーパーサルーン(B13)」です。
この7代目・日産サニーは、1990年にモデルチェンジが行われた、コンパクトなFF4ドアセダンです。
初代サニーは、日本市場で初めてコンパクトセダンの市場を切り開いた革新的なファミリーカーでした。
その後、トヨタから同じコンセプトのカローラが発売され、徐々に市場を奪われる事になります。
また、登場から7代目という事もあり、かなり守りに入った保守的な車作りが行われています。
外観
全長4250mmX全幅1670mmX全高1375mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2430mmとなります。
当時、市場調査によってサニーのユーザーには、中高年層が多いという情報を掴んでいた日産は、先代の6代目日産サニーの開発にあたって、「トラッド・サニー」というテーマを掲げていました。その後を次ぐこの7代目にも「トラッド・サニー」のテーマは継承されるものの、さらに一歩進んで「やわらかいふくよかな気品」が与えられています。
フロント
直線基調のボディに角型のヘッドライトが装備され、真面目で折り目正しいイメージです。エッジに緩やかなRが与えられているため、そこはかとなく優しい表情が感じられます。
サイド
ごく平凡な6ライトのセダンボディです。街ですれ違っても、3秒後には完全に忘れてしまうでしょう。
リア
四角いリアエンドに、横長の角型リアコンビランプが装備されます。リアコンビランプのエッジには大きめに黒いモールドが縁取られ、リアをくっきりと引き締める効果があります。
上品で真面目な印象のリアエンドです。
内装
カローラと比べると若干劣りますが、ファミリーカーとしてごく標準的な質感の内装です。メーターナセルには大きなメーターがレイアウトされ、使い勝手、視認性ともに良好です。
バブル全盛期、日産自動車は、Be-1やシーマ、フェアレディZ、シルビアなど数々の革新的デザインの車を生み出しています。この保守的なデザインのサニーにも、その素晴らしいデザインの影響が伺えます。ステアリングコラムの造形など、それまでの普及車クラスには見られなかった繊細で丁寧なデザインへの拘りが感じられます。
ブルーバードに匹敵するサイズが与えられているため、室内には広々とした余裕が感じれれます。
シート
低価格車向けの簡素なシートです。ややクッションが柔らかいため、体重の重い人は腰が痛くなるかもしれません。
パッケージングが優れているため、後席には適度な空間的余裕があります。座面、シートバックともに十分なサイズ感です。
荷室
コンパクトなボディを最大限に活かし、スクウェアで使い勝手の良い荷室が確保されています。家族4人で2泊3日程度の旅行であらば十分にこなすことができます。
静粛性
市街地走行ではエンジンノイズが抑えられているため、いたって車内は静かです。当時の高級車に匹敵する静粛性を持ちます。
エンジンとミッション
1497ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、94ps/6000rpmの最高出力と、12.8kgf・m/3600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1020kgで、10モード/10・15モード燃費は、13.4km/lとなります。
エンジン
7000rpmまで回る高回転型エンジンが搭載されますが、ATによって十分な補完がされるため使い勝手の悪さはありません。
必要十分なトルクを持った扱いやすいエンジンです。市街地など、日常領域であればパワーが不足してモタモタする事はありません。
ただし急な坂道では力が足りず、苦しそうな唸り声をあげます。もちろん、意図的にATをシフトダウンしてやれば、十分な加速力を得ることができます。
エンジンノイズにはやや金属的な音高周波が含まれますが、エンジン音自体は静かです。
トランスミッション
市街地など負荷の少ないシーンではエンジン回転を低く保って燃費を稼ぎ、急な坂道などパワーが不足する場面では、しっかりとエンジンを回してパワーを絞り出します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはパラレルリンク・ストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
ソフトなセッティングで乗り心地は良いのですが、段差ではゴツゴツと衝撃を拾いがちです。
しっかりした足回りで、安定性が高いです。
ハンドリング
特に特徴の無い素直な操作フィールです。スポーツカーのようなキビキビ感はありませんが、ドライバーの操作に対してゆったりとした反応で素直に答えます。
日産らしい適度な重さを持った味付けがなされ、FF車特有の不自然なトルクステアも最小限に抑えられています。
評価のまとめ
当時のカローラと比較しても、ほぼ互角の性能を持つスタンダードカーです。ただし、カローラにはたっぷりと予算が掛けられていたため、ボディの仕上げや内装の質感などで今一歩な感は否めません。
日本のどこに持っていってもすっと馴染んで溶け込む、良い意味での「無名性」はカローラと並んでこのサニーの持つ大きな特徴です。
ただし、カローラと同じ売り方をしていたため、どうしても販売力やブランド力で劣るため、売上でも後塵を拝することが多かったです。
このサニーと同じコンポーネントを使って作られた「プレセア」は、当時の「ハードトップ&ロールーフ」の流行に乗ってそこそこの売上を上げていました。
車に強い拘りがなければ、ファミリーカーとして使いやすいお買い得な車といえます。
価格
新車当時の価格 | 1,442,000円