今回の【評価レビュー】は「新型 マツダ ロードスター RS(4代目・ND)」。
2015年にフルモデルチェンジした、2シーター・オープン・スポーツです。
乗用車(ファミリア)の既存コンポーネントを使って設計された「初代(ユーノス)ロードスター」は、世界中で高い人気を誇った名車です。その後、世界中の自動車メーカーにも大きな影響を与え、「ローバー・MGF」や「フィアット・バルケッタ」など数々のフォロアーを生み出しています。
その初代ロードスターも誕生から25年を経て、ついに4代目。当時初代ロードスターに憧れた僕も歳を取るはずです。
4代目ロードスターは新世代マツダ車の文法に則って設計され、「SKYACTIVEテクノロジー」および「魂動デザイン」といった最新フォーマットがしっかりと盛り込まれています。
その後追加された「RS」グレードは、「Sスペシャルパッケージ」をベースに専用ビルシュタイン・サスやフロントサス・タワーバー、強化されたブレーキパッドを装備するスポーツグレード。ロードスターのスポーティな楽しさをさらに深めたモデルです。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長3915mmX全幅1735mmX全高1235mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2310mmとなります。
イギリス調の初代ロードスターから一転して、4代目ロードスターはクラシカルでイタリアンな趣があります。
フロント
ロー&ワイドなフロントノーズに小さな三角形型ヘッドライト。ダイナミックな形状のフロントバンパーを装備。アグレッシブでカッコいいフロントフェイスです。
サイド
ロングノーズ&ショートデッキの美しいFRスタイル。ボリューム感のあるボディに16インチ大径アルミホイールが装備され、美しさの中にも力強さを感じさせます。
リア
ハイデッキ化されたトランクリッドに丸目を基調とするリアコンビランプ。めくり上げられたような形状のリアバンパーが組み合わされ、ダイナミックなリアエンドを演出。
内装
プラスチッキーなインパネにメタリックパーツやレッドステッチが組み合わされた、スポーティでシンプルな内装デザイン。
「アバルト 124 スパイダー」は同じプラットフォームを使う兄弟車ですが、内装デザインもよく似ています。
メーターナセルにはカッコよくて視認性の高い三眼メーターを装備。エアコンは操作性の高いダイヤル式。
シート
スポーティな形状の「RECARO社製セミバケットシート」を装備。ナッパレザーとアルカンターラのコンビシートで、硬めのクッションにしなやかな表皮が組み合わされます。標準シートにはややコシが足りない印象もありますが、このRECAROシートにそんな心配はいりません。長距離ドライブもしっかりとこなす座り心地の良いシートです。
荷室
2シーター・オープン・スポーツとしては、広々とした荷室を確保。乗員二人であれば2泊3日旅行も余裕です。二人だけの旅行なら、クロスオーバーSUVよりもこういった車のほうが楽しいかも。
静粛性
スポーティなエンジンサウンドが車内に程よく響きます。ソフトトップを閉めれば、意外に快適性能が高いのもこのロードスターの自慢です。
エンジンとミッション
1496cc・直列4気筒DOHCエンジンに、6速MTが組み合わされます。
最高出力131ps/7000rpmと、最大トルク15.3kgf・m/4800rpmを発揮。
車両重量1020kg。JC08モード燃費は、17.2km/l。
エンジン
1.5Lツインカムエンジンで後輪を駆動(FR)。エンジン出力はベースとなった「Sスペシャル」と同じ。出力の小さな自然吸気エンジンですが、組み合わされるボディが超軽量なため、けっこうキビキビとした活発な走りをみせます。マニュアル・トランスミッションで常に適切なギアを選択してやれば、力不足を感じることもありません。
吸気脈動を使ってエンジンサウンドを演出する「インダクション・サウンド・エンハンサー」を標準装備。乾いたスポーツサウンドが耳に心地いいです。
トランスミッション
組み合わされるトランスミッションは6速マニュアル。適度なソリッド感があり、手首の返しだけでリズミカルにスパッと変速することが可能。気持ちのいいシフトフィールを持ちます。
乗り心地とハンドリング
前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。後輪のみスタビライザーで強化されます。
乗り心地
Sスペシャルパッケージをベースに、「ビルシュタイン・スポーツサス」と「フロント・サス・タワーバー」を装備。スポーティに引き締めています。
装着タイヤは前後ともに、195/50R16。16インチ・アルミホイールは「Sスペシャル」と同じ。
適度に引き締まったスポーティな乗り味。といってもアタリがまろやかなため、ゴツゴツとした不快感はありません。目地段差や橋脚ジョイントでも、しっかりと衝撃の角を丸めています。
ライトウェイトスポーツとしては少々剛性感や重厚感が強すぎるような気もしますが、すでに軽快な「S」というグレードがあるため、差別化という点では間違ったセッティングではありません。
ハンドリング
高剛性ボディに高性能スポーツサスやタワーバーが装備され、重厚感あふれるダイナミックなステアリングフィールを実現。ドライバーの操舵に応じて正確な弧を描きながらキレイに旋回します。
リアの接地性が高く、コーナリング中も高い安定性を維持し続けます。その分スタビリティが高すぎて、ロードインフォメーションや手足のように操る感覚は希薄。
最小回転半径は4.7m。狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
その他
先進安全技術は最新の「i-ACTIVSENSE」を搭載。このパッケージには対向車への眩惑を防止する「アクティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」や斜め後方死角内の車を検知して知らせる「ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)&リア・クロス・トラフィック・アラート(RCAT)」、車線逸脱を知らせる「車線逸脱警報システム(LDWS)」といった機能が含まれます。
【評価レビュー】のまとめ
「マツダ ロードスター」は、軽快感あふれるスポーティな走りが自慢の2シーター・オープンスポーツ。
その後追加された「RS」はベースとなる「Sスペシャルパッケージ」に、ビルシュタイン・スポーツ・サスやフロント・サス・タワーバー、強化ブレーキを装備するスポーツグレード。
足回りが大幅に強化されたため、スタビリティが高く、エンジンパワーに対して大幅にシャシー性能が勝っている状態です。限界性能は高まりましたが、その分、手の内でヒラヒラと振り回すライトウェイトスポーツらしさは希薄。といっても、こういったドライブフィールは好みの差が大きく出る要素ですから、購入の前にしっかりと試乗をして確かめることをオススメします。
「ロードスターなんだから、ヒラヒラ感のあるSグレードの方が正解でしょ」なんて決め打ちは危険です。ちなみに、そういう僕はしっとりとした重厚感のある「ロードスター RF」が好みです。
中古車市場では
2015年式「マツダ ロードスター RS」で260万円前後(2018年3月現在)。
価格
価格 | 3,207,600円(消費税込み)