今回の旧型レポートは「7代目 ホンダ シビック XS」。
2000年から2005年に渡って製造販売されていた、小型の5ドア・ハッチバックです。このボディの他に、4ドアセダンの「シビック・フェリオ」があります。
モデルチェンジのたびにボディが拡大され、5ナンバーサイズぎりぎりのサイズ感があります。そのため、出来の良い「フィット」にエントリーモデルの需要を奪われ、日本国内での人気はいまひとつです。
その中でも3ドアハッチバックの人気は低く、日本市場への導入はありません。その結果、3ドアハッチバックをベースとするスポーツモデルの「タイプR」も、今やイギリス工場で生産される逆輸入車となってしまいました。
外観
全長4285mmX全幅1695mmX全高1495mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2680mmとなります。
フロント
ミニバンのように短いノーズに、大きなおむすび型のヘッドライトが装備されます。ほんわかした癒し系の表情が魅力的です。
サイド
短いノーズに大きなキャビン、強く傾斜したAピラーが相まって、ずんぐりとしたワンモーションフォルムを構成しています。シビックらしいキビキビ感は薄まりましたが、ゆったりとした大らかさがあります。
リア
ギュッと絞り込まれたキャビンに小さなリアウィンドウが装備されます。ヒップアップされたリアエンドに台形型のリアコンビランプがレイアウトされ、がっしりとした凝縮感を感じさせます。
内装
旧世代のホンダ車に共通する、清潔でオーソドックス、嫌味の無いおしゃれな内装です。豊富に小物入れも用意され、使い勝手も申し分ありません。
ボディが拡大された事によって、広々とした余裕が室内に生まれ、大人4人が快適に過ごすことが出来ます。
シート
フロントには、たっぷりとしたストロークと、適度な硬さを伴った快適なシートが装備されます。中距離(30km)程度の移動であれば腰が痛くなることもありません。
後席には広めのリアシートを装備。座面の角度、シートバックの大きさともに申し分ありません。足元、頭上空間ともに充分な余裕があり、成人男性二人が余裕を持って座ることができます。
荷室
幅、奥行きともに申し分の無い、広々とした荷室スペースが用意されます。家族4人であれば、2泊3日旅行も余裕です。リアシートを折りたたむことで、ステーションワゴン以上の荷室が拡がります。
静粛性
ロードノイズ、風切音ともによく抑えられています。エンジン透過音もスポーティで不快な印象はありません。
エンジンとミッション
1688ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、130ps/6300rpmの最高出力と、15.8kgf・m/4800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1230kg。10モード/10・15モード燃費は、16.4km/lとなります。
エンジン
1.7Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。やや高回転型のユニットながら、CVTの優れた制御により充分なパワーを発揮。急な坂道や合流ポイントでも、充分な加速をみせます。
ホンダのスポーツユニットらしい、軽快な回転フィールも健在です。ただし、ボディが拡大している分、シビックらしいキビキビ感は薄まっています。
トランスミッション
ベルトとプーリーによってシームレスに変速するCVTを装備。高回転型のエンジンをしっかりと回して、必要充分なパワーを絞り出します。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはダブウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
やや引き締まった印象のスポーティな足回り。高速域では安定した姿勢で直進します。
目地段差ではコツコツとした衝撃を車内に伝えます。角のある不快なフィールが残ります。
ハンドリング
ステアリングセンターから、僅かな操舵に対しても正確に反応します。キビキビとしたスポーティなハンドリングが気持ちいいです。
小回り性能が今ひとつで、狭い路地では何度も切り返す事になります。
評価のまとめ
高回転型のスポーティなユニットと効率の良いCVTが組み合わされ、日常領域での不満はありません。さらに、ボディが拡大され、室内には大人4人が快適に過ごせるだけの充分なスペースが確保されています。「もう一回りボディが小さければ、シビックらしい軽快感が味わえるのに」という思いはあるものの、車としての完成度に問題はありません。
「普段は通勤や買い物、子どもの送り迎えに使い、週末は家族でドライブや小旅行に出かけたい」というニーズにピッタリな一台です。「狭い路地裏を走ることが多い」とか、「自宅の駐車場が狭い」といった人には、一回り小さなフィットがオススメです。
価格
新車当時の価格 | 1,890,000円(消費税込み)