今回の旧型レポートは「3代目 日産 キューブ 15G(前期型)」。
2008年にモデルチェンジした、5ドアのマイクロミニバンです。
ベースとなるプラットフォームには、マーチと同じものが使われています。
おしゃれな角型フォルムを纏った先代のコンセプトをそのまま受け継ぎ、さらに進化させる形でこの3代目のデザインは成立しています。
外観
全長3890mmX全幅1695mmX全高1680mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2530mmとなります。
先代からボディは一回り大きくなりましたが、5ナンバーサイズを超えることはありません。全体の印象も大きく変えることなく、キープコンセプトが貫かれています。
フロント
角の丸い角型フォルムに、サングラスのようなヘッドライトが組み合わされます。ユーモラスでロボットのようなフロントフェイスです。
サイド
全体的に角型のフォルムが維持されているものの、ウィンドウが極端に丸められているため、先代よりも可愛らしさやユーモラスさが強調されています。シンプルな角型フォルムが好きな人には先代の方が合うかもしれません。
リア
リア周りもサイドビューと同様に、丸いディティールが強調されています。そのおかげで全体のフォルムは四角いはずなのに、ゆったりとした丸みを感じさせます。
また、リアコンビランプには、ヘッドライトのモチーフがそのまま繰り返されています。
内装
質感自体は決して高いわけではありませんが、シンプルで嫌味のない清潔なデザインです。適度な囲まれ感があり癒されます。
シート
フロントシートには、幅の広いセミベンチシートが装備されます。フランス車のようなモチっとした座り心地で、長時間座っていても身体が痛くなることはありません。
リアシートにも、フロントシート同様、質感の高いシートが装備されます。シートバックの高さ、座面の角度ともに良好で、快適な座り心地です。ホイールベースが拡大されたこともあって、足元にはたっぷりとした余裕があります。大人が座っても窮屈感はありません。
荷室
荷室は前後長が極端に小さいため、見た目上のスペースはミニマムです。ただ、上下方向にたっぷりとした余裕がありますので、積み方を工夫するだけで結構な量の荷物を積むことができます。さらに、リアシートを7:3で折りたためば、ステーションワゴンのような使い方も可能です。
静粛性
クラス標準レベル以上の静粛性。エンジン音が高まりにくいため、車内は比較的静かで平穏です。
エンジンとミッション
1498ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、15.1kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1210kg。10モード/10・15モード燃費は、20.0km/l。JC08モード燃費は、17.2km/l。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。副変速機付きCVTの効果と相まって、低速域から力強い加速が可能です。街中など日常域で不足を感じることもありません。
といっても、フル乗車で坂道を駆け上がるようなシーンでは、若干かったるさを感じてしまいます。
トランスミッション
ジャトコ製・副変速機付きCVTを装備。低速域では力強い加速力を、高速域では振動を抑えて静かに走ることができます。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
ソフトで快適な乗り心地です。柔らかな中にもビシっとした芯があるため、フラフラと揺すられて気持ち悪くなる事もありません。
ハンドリング
素直で気持ちの良いステアリングフィール。若干のロールを伴うものの、ロール速度が一定で予想しやすいため不快な印象はありません。
評価のまとめ
先代キューブの箱型フォルムをそのまま受け継ぎ、さらにユーモラスで可愛らしい丸みが加えられています。
広々とした室内と使い勝手のいいコックピット、座り心地の良い快適な椅子。そこそこパワーのある扱いやすいエンジン。素直で気持ちの良いステアリングなど、先代キューブの持っていた数々の美点もさらに熟成されて受け継がれています。
「通勤や通学、子どもの送り迎えに使える車を探している」という人や、「おしゃれで使い勝手の良い車が好きで、走りもそこそこ楽しみたい」という人にピッタリな車です。
ただ、「ここまで凝ったデザインは必要ない、シンプルで道具感あふれるデザインが好みだ」という人には、先代キューブの中古車をオススメします。
価格
新車当時の価格 | 1,911,000円(消費税込み)