今回は「新型 ジープ チェロキー ロンジチュード4X4」を試乗レポートいたします。
ジープ・チェロキーは、2013年のモデルチェンジで5代目となりました。
プラットフォームをダッジ・ダートと共用しているため、従来の本格的SUVから一転して、街中でも快適に走ることのできるクロスオーバーSUVとして生まれ変わっています。
外観
全長4630mmX全幅1860mmX全高1700mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2700mmとなります。
今までのチェロキーのボクシーで骨太なイメージと異なり、流線型のモダンなスタイリングが与えられています。
フロント
薄型のバイキセノンヘッドランプに、LEDクリアランスランプが組み合わされ、流線型のボディと相まってまるで近未来の月面探査車を思わせるようなスタイリングです。
サイド
サイドビューは今までのチェロキーのボクシーで端正なイメージから一転して、モダンで現代的なシルエットになっています。特にキャビンのデザイン処理は、日産エクストレイルを彷彿とさせます。
リア
小さなリアウィンドウに薄型のリアコンビランプが組み合わされ、スポーティなコンパクト・ハッチバックのような印象です。小型のリアコンビランプが高い位置にレイアウトされているため、相対的にリアエンドが縦長に見え、結果的にコンパクトな印象を与えているのでしょう。
実際にはミッドサイズの大きなボディを持ちますので、近づいてみればコンパクトに感じることはありません。
内装
内装デザインは、アメリカ車らしく少々大味な印象がありますが、インパネには上質なソフトパッド樹脂が使われ、しっとりとした光を放つメタル素材と相まって上質な印象を持ちます。
大きく視認性の高い2眼メーターとタッチパネル式の液晶ディスプレイが装備され、使い勝手も良好です。
シート
大きなサイズとたっぷりとした厚みのあるフロントシートは、アメリカ車らしくふんわりとした感触を伝えるものの、芯材に上質なスポンジが使われているため、体圧が集中して腰が痛くなるような事はありません。柔らかさとホールド感が上手くバランスした快適なシートです。
リアシートには座面、シートバックともにたっぷりとしたサイズが与えられ、加えて芯材には上質なコシのあるスポンジが使われ、快適性の高いシートとなっています。
2700mmのロングホイールベースと大きなボディを活かして、足元、頭上空間ともにたっぷりとした余裕があります。
荷室
当然ながら、荷室にもたっぷりとしたサイズが確保されており、家族4人でキャンプに行くことも可能です。
加えてリアシートには、6:4で折りたたむことの出来る機能が追加されているため、大きくかさばる自転車やスキー道具なども安々と飲み込むことができます。
静粛性
しっかりと遮音材が施されており、室内には高級サルーンのような上質感があります。
エンジンとミッション
2359ccの直列4気筒DOHCエンジンに、9速ATが組み合わされます。
エンジンは、177ps/6400rpmの最高出力と、23.4kgf・m/3900rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1800kgで、JC08モード燃費は、8.6km/lとなります。
エンジン
1800kgの重量級ボディに2.4リッターの自然吸気エンジンですから、キビキビとした活発な走りは期待できません。ただし、穏やかなこの車のキャラクターを考えると、このくらいのパワーがちょうど良いのかなとも思います。日常域でゆったりと流して走るにはまったく不足の無いエンジンです。急な坂道でも十分に走ることはできますが、流れをリードして力強く走ることはできません。
トランスミッション
細かく区切られた9速ATは、非力なエンジンをおぎなってそこそこの力強さを発揮します。変速ショックもスムーズなため、巨大なボディをゆったりと走らせることができます。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
しなやかで引き締まったサスセッティングが施されており、フラットな路面では快適な乗り心地です。SUVならではのゴツゴツ感は感じられず、高級サルーンのようなスムーズで上質な乗り味です。
ただ、大きなホイールと引き締まったサスが影響して、路面の段差では少々不快な衝撃を車内に伝えてしまいます。
ハンドリング
プラットフォームには、モダンな設計思想が取り入れられた「ダッジ・ダート」と同じ軽量高剛性フレームが使われています。そのおかげで格段に剛性感が向上しており、ドライブフィールにも好影響を与えています。
ハンドリングは良い意味での緩さを残した、上質でスムーズなフィールです。加えてサスストロークの奥にはしっかりした感触があるため、ドイツ車のような重厚なフィールが感じらさせます。
その他
「Park Sense」機能により、自動的に駐車時のステアリング操作をアシストしてくれます。加えて、前方と後方にある障害物を、音声とモニター映像によって事前に警告する機能も付属します。
前車追従クルーズコントロールと、プリクラッシュブレーキ、レーンキープアシスト機能など、先進安全技術が搭載されています。
評価のまとめ
今までの伝統的なチェロキーのイメージから一点して、モダンでスタイリッシュなスタイリングとなっています。
そのため、日本で人気となった2代目チェロキーのようなボクシーなデザインが好きな人には、ちょっと敬遠されるデザインかもしれません。
ベースグレードとなるこの「ロンジチュード」グレードに、待望の4WDモデルが追加され、お手頃な価格でチェロキーの4WDが買えるようになったのは大きな朗報です。
ただ、ベースとなるプラットフォームは、先代のようなヘビーデューティな作りではありませんので、本格的な悪路走破性は期待できません。
対象となるユーザー
大きなボディに非力な2.4自然吸気エンジンが搭載されるため、流れをリードして力強く走りたいという人にはちょっと向きませんが、日常域でゆったりと走るだけなら十分なパワーがあります。そのため、手頃な価格でチェロキーの4WD性能と、モダンなスタイリングを楽しみたい人にピッタリの一台となります。
価格
価格 | 4,644,000円(税込み)
このページを読んだあなたにオススメの記事
- 新型 ポルシェ カイエン S【試乗評価】
- 新型 ジープ グランドチェロキー(WK2)2016年式【試乗評価】
- 新型 メルセデスベンツ GLSクラス(X166)【試乗評価】
- 新型 ランドローバー レンジローバー イヴォーク【試乗評価】
- 新型フォード エクスプローラー【試乗評価】
- 新型ジープ ラングラー【試乗評価】