今回は「新型三菱アウトランダーPHEV G Safety Package」を試乗レポートします。
今回で2代目のモデルチェンジとなります。
大胆なマイナーチェンジが行われ、フロントフェイスが一新されています。
ライバル車や欧州車へ対抗するための戦略だそうですが、こういう短い期間でのビックマイナーチェンジは、予想以上に売れ行きが悪い時に行われることが多いです。
外観
数年前に発表された、エクリプスのコンセプトCGに似たフロントマスクです。
この後発表された三菱の軽自動車にも、この顔が使われていましたので、今後の三菱の共通フェイスになるのかもしれません。
マイナー前はおとなしい印象で、未来のサイボーグのような知的でスマートな外観でした。
新型はアイアンマンやロボットアニメのような、派手目の力強いデザインです。
ライオンが大口を開けて、牙をむいているようにも見えます。
口の周りには、力強いデザインのメッキモールが縁取られています。
後ろにまわると、リアコンビランプはホワイトクリアタイプから、通常の赤く透明感のないコンビランプに変更されています。
リアにもフロント同様に、がっしりとした力感のあるメッキが施されています。
全体のシルエットは、スクウェアな直線基調でリアも絞り込まれていません。これなら、リアシートの頭上空間もたっぷりあるでしょう。
横から見ると、本格的なクロカン系SUVというよりも、どちらかといえばステーションワゴンに近いシルエットです。
内装
値段からすると質感は今ひとつですが、これはPHEVにコストが掛かっている為なので仕方がありません。
25年以上前のギャランを思い出す様な、大きくて視認性の良いメーターです。
メーターグラフィックも、必要最低限の情報だけを的確に表示していて見やすく美しいデザインです。
インパネの野暮ったい感じも、かえって懐かしくとても癒されます。
しかし「PHEV」という車のキャラクターからしたら、もう少し先進的で冷たい印象のスマートなデザインが似合うかもしれません。
室内は遮音材がしっかり驕られていて、風切り音やロードノイズがあまり侵入してきません。
シートの出来はがっちりしていて、厚みもストロークもたっぷりなので、運転していても疲れません。
リアシートは頭上空間もしっかり確保されていて、乗り心地も良いです。
またこのリアシートは、畳むと広大な荷室空間として使用出来ます。
エンジンとミッション
2LDOHCエンジンと2つの前後モーターが組み合わされる、ツインモーター4WDです。
ガソリン車は通常の4WDとなります。
通常走行時のガソリンエンジンはとても静かで、モーターとの連携もスムーズなので違和感はありません。
ノーマルモードで踏み込めば、瞬時にモーターのトルクが立ち上がり、強力な加速感を得られます。
ただ、充電時にはエンジンの回転が上がり、がさつな印象の音に変わります。
足回りとハンドリング
フロントにマクファーソンストラット式サス、リアにはマルチリンク式サスを装備しています。
SUVらしくゆったりしたハンドリングですが、リニアで自然な特性なので違和感はありません。
重いバッテリーを低い位置に搭載しているおかげで、安定性が高くロールも少なめで引き締まった足回りです。
また乗り心地も良く、動きが素直なのであまり疲れません。
ただ、山坂道にさしかかると車重が重いこともあって若干ロールの戻りが悪くなります。
このあたりは重量級SUVですから、仕方ありませんね。
CMでグライダーのイメージが使われていますが、まさにグラーダーのようにスーと滑るような走行感です。
タイヤのゴムが硬めなのか段差は拾いますが、ハーシュネス性能が高く、しなやかな足回りでいなされて不快な感じはありません、
ピッチングもバウンシングもよく抑えられています。
電気的デバイスの恩恵が大きい分、運転の楽しさは少なめです。
その他
このアウトランダーは、工事無しで自宅のコンセントから充電可能です。
また、災害時には10日分の一般家庭電力量をまかなえる機能がありますので、もしもの時でも安心です。
評価のまとめ
三菱のEV技術はイメージは地味ですが、市販車に投入された時期が早く、長い技術の蓄積があります。
アウトランダーは、その三菱のEV技術を存分に投入した意欲作です。
三菱にはそもそも販売車種数があまりありませんので、一車種に投入する熱意は大きくなります。
家庭用電源からも直接充電できますが、自宅に充電設備を設置できればさらにコストパフォーマンスが上がります。
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 4695mmX1800mmX1710mm
JC08モード燃費 | 20.2km/l
価格 | 3,880,000円(税込み)