新型 日産 フーガ HYBRID(Y51)【試乗評価】アメリカンな雰囲気たっぷりのプレミアムカー [DAA-HY51]

日産フーガハイブリッド前面画像

今回の【試乗評価】は「新型 日産 フーガ HYBRID VIP(Y51・2代目)」。
2009年にフルモデルチェンジ(ハイブリッドは翌年の2010年に追加)した、Lクラスのプレミアムセダン(4ドア)です。

日本市場ではミニバンやSUV、コンパクトカーの人気が高く、こういったセダンの売上は今ひとつです。といってもセダンは車の運動性能や快適性を高めやすい理想的なボディ形式であることに変わりはありません。北米や欧州の高級サルーン市場では今でも根強い人気があり、プレミアムメーカーを中心に定番商品となっています。

日産フーガは、そんなプレミアムセダン市場に向けて日産が開発した高級サルーンです。

しかも日産では2010年から2012年に掛けて最上級サルーン「シーマ」の製造が中止されていたため、一時的にこの「フーガ」がフラッグシップの役割を担うことになります。その後、2012年に「新型シーマ」が発表されますが、この新しいシーマは「フーガハイブリッド」をベースにホイールベースを拡大したフーガのロングバージョンです。つまり、厳密には「今でもフーガがフラッグシップだ」と言ってもあながち間違いではありません。

※じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓

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「新型 日産 フーガ HYBRID VIP(Y51・2代目)」の概要

トヨタに比べてハイブリッドシステムの開発で遅れを取っていた日産が、満を持して発表する日産初(実質的に)の本格的ハイブリッドカーです。

プラットフォーム(基本骨格)には、日産のLクラス後輪駆動用「FR-L」を採用。

ハイブリッドシステムは日産独自の構造「1モーター・2クラッチ方式」による「インテリジェント・デュアル・クラッチ・コントロール」 。一般的に「パラレルハイブリッド」と呼ばれる方式です。

ハイブリッドのシステム構成を文字に表すと、「エンジン」+「クラッチ(エンジンの接続と切り離し)」+「電気モーター」+「トランスミッション」+「クラッチ(発進とトランスミッションの変速を担当)」という順になります。一番目のクラッチによってエンジンからの駆動力を切り離せば、完全なEV走行も可能です。

北米市場では「インフィニティ」ブランドで販売されるため、「日産スカイラン」同様、フロントグリルには「インフィニティ」のバッヂが装備されます。ステアリングコラムにも日産のエンブレムはありません。

2015年にマイナーチェンジを実施。内外装のアップデートと、安全性能や快適性能の向上が行われました。パワートレーンおよび足回りの改良はありませんが、細かな調整が行われている可能性は高いです。

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外観

ボディサイズ、全長4980mmX全幅1845mmX全高1510mm。ホイールベース、2900mm。

フロント

有機的なラインを活かした分厚いフロントノーズに、大きなメッシュグリルと鋭いLEDヘッドライト。重厚感あふれるラグジュアリーなフロントフェイスです。

マイナーチェンジで、スカイラインとの共通性が強まった気がします。北米ではそのスカイライン同様インフィニティブランドで販売されるため、メッシュグリルの中央に鎮座するのは日産では無くインフィニティのバッヂです。

サイド

長いフロントノーズに、なだらかなルーフライン。ロングノーズ&ビッグキャビンの伸びやかなサイドビュー。

やっぱりサイドビューの美しさはFFよりもFRですね。

リア

日産フーガハイブリッド後部画像

傾斜の強いリアウィンドウに、ハイデッキ化されたヒップライン。有機的なリアコンビランプが組み合わされ、力強くも上質な後ろ姿。

ラグジュアリーセダンにしては見た目の重心が低く、ぐっと大地を踏みしめるスポーティな雰囲気があります。

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内装

日産フーガハイブリッド内装画像

しっとりとしたソフトパッドに木目パネルを組み合わせた、上質な室内。曲線を多用したエルゴノミック・デザインが印象的です。メインマーケットが北米のためか、ちょっとマッチョな雰囲気もあります。

アメリカドラマ「The O.C.」に出てくるようなリッチな人たちを気取ってドライブすると楽しいかもしれません(ちょっと古いか)。

センタークラスター最上段には、ナビゲーションなどを表示する大型液晶ディスプレイ。中段にはナビやエアコンのコントロールユニット。エアコンはタッチ式ですが、温度調整が左右のわかりやすい位置にあるため、意外と手探りでの操作もやりやすいです。

シート

フロントは、肩周りまでガッチリと張り出した大きめのシート。しなやかなセミアニリン本革シートにコシのある上質なクッションが組み合わされます。僕は腰痛持ちなんですが、これなら腰が変に沈み込むこともなく長距離ドライブも安心です。

リアシートの座り心地もフロントと遜色ありません。ロングホイールベースを活かして足元、頭上空間ともにゆったりとした空間が確保され、ショーファードリブン(運転手付き)としても十分使えそうです。

荷室

トランクルームとリアシートの間に大容量リチウムイオンバッテリーを搭載するため、その分荷室容量は小さめ。それでも、家族4人で2泊3日旅行くらいなら余裕でしょう。

静粛性

車内にはたっぷりと遮音材および吸音材が施され、プレミアムセダンにふさわしい圧倒的な静粛性能を発揮。元々静かなハイブリッドシステムを搭載しているというのも大きいです。

エンジンとトランスミッション

3498cc・V型6気筒DOHCエンジン+電気モーターに、7速ATが組み合わされます。
エンジン:最高出力306ps/6800rpm、最大トルク35.7kgf・m/5000rpm。
電気モーター:最高出力68ps、最大トルク29.6kgf・m。
車両重量1880kg。JC08モード燃費、17.8km/l。

エンジン

3.5リッター・V6エンジンと電気モーターによるハイブリッドシステムで後輪を駆動(FR)。

スカイラインにも搭載されるこのハイブリッドシステムは、システム総合出力で364馬力を発揮。これは自然吸気エンジンに換算すると4.5リッターに相当します。

トヨタ方式とは異なる日産独自の「1モーター2クラッチ」方式(パラレルハイブリッド)を採用。前方のクラッチがエンジンと駆動系の切り離しを、後方のクラッチで変速および発進を担います。前方のクラッチを切り離せば、完全なEV走行も可能です。

出足や極低速域ではトルクフルな電気モーターを使って、モリモリと力強く加速。そこからアクセルを踏み込めばV6エンジンが目を覚まし、さらに力強く活発な走りをみせます。エンジンフィールはスポーティで上質、高回転域まで気持ちよく吹け上がります。

初期型には不自然なエンジン回転の高まりやギクシャクとした不快な動きがありましたが、度かななる改良や今回のマイナーチェンジによって大幅に改良されています。

トランスミッション

2つのクラッチを組み合わせた「7速ハイブリッドトランスミッション」を搭載。

トルクコンバーターを介さないステップ式制御によって、ダイレクトな変速フィールと高いエネルギー伝達効率を両立しています。

このトランスミッションは機械的なクラッチを使って変速を行うため、ギクシャクとした挙動を伴いやすいのが弱点です。といっても、日産は巧みな変速制御によってこのあたりのネガをうまく解消していますが。

乗り心地とハンドリング

前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは245/50R18。

摩擦抵抗を低減した新型ダンパーを採用。細かな振動はしなやかに吸収しつつも、大きな入力に対してはしっかりとダンピングを効かせて受け止めます。しっとりとした上質感を伴う、穏やかな乗り味です。

目地段差や橋脚ジョイントでは、しなやかな足回りを活かして「トンッ」と軽やかに通過。不快な振動を車内に伝えません。

さらに速度を上げていくとボディはフラットな挙動を増し、滑るように進み始めます。ドイツ高級車も真っ青の直進安定性です。

ハンドリング

重厚感を伴った素直なステアリングフィールです。コーナーではドライバーの意図を反映して、気持ちよく曲がります。

大柄なボディに柔軟な足回りが組み合わされるため、ロールは少々大きめ。といっても動きが素直で予測しやすいので、不安な印象はありません。

最小回転半径は、5.6m。ボディサイズの割に小回り性能は高いです。

先進安全技術

予防安全技術として前方車両との衝突の危険を検知して衝突を回避もしくは被害軽減をする「インテリジェント・エマージェンシーブレーキ」。前方車両との距離を検知して注意喚起を促す「インテリジェント・FCW(前方衝突予測警報)」などを装備。

また、運転支援技術としては前方車両との車間を自動的に維持する「インテリジェント・ペダル(車間距離維持支援システム)」や、先行車との車間を維持しながら設定した速度で走行する「インテリジェント・クルーズコントロール(全車速追従型)」などを装備。

その他にもミリ波レーダーやカメラ、音波ソナー、各種センサーを使った先進安全技術が盛りだくさんです。

【試乗評価】のまとめ

「新型 日産 フーガ HYBRID VIP(Y51・2代目)」は、日産が誇るLクラスの高級4ドアセダン。一時的に生産が休止されていた「日産・シーマ」の穴を埋めるため、フラッグシップの役割を担ったこともあります。

素直で穏やかなハンドリングに、重厚感あふれるしなやかな足回り。直進安定性も高く、FRレイアウトを活かした上質なクルマづくりが印象的です。

パワーユニットには日産独自の「1モーター2クラッチ式ハイブリッドシステム(パラレル)」が搭載され、1.8t余りの重量級ボディを力強く加速させます。

「パワフルな高級車に乗りたいが、環境性能も気になる」とか、「アメリカンな高級車に乗りたいが、純粋なアメ車は信頼性やディーラー網が気になる」といった人に最適な車です。

中古車市場では

2017年式「日産 フーガ HYBRID ベースグレード(Y51・2代目)」で450万円前後。2014年式で250万円前後(2018年8月現在)。

新車価格

6,835,320円(消費税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)