【試乗レポート】VW up! 実直な造りの低価格車 [DBA-AACHY]

VW up!のイメージ

今回は「新型 VW high up!」を試乗レポート。
2011年に登場(日本市場への導入は2012年)した、スモールコンパクトな5ドア・ハッチバック。

「VW・ポロ」の一つ下に位置するフォルクスワーゲン最小モデルで、同時にエントリーカーの役割も担います。

世界市場では「VW・フォックス」の後継モデルという立ち位置。ただし、日本市場に「フォックス」は導入されていないので、さらに一世代前の「ルポ」が先代モデルとなります。

基本となるプラットフォーム(基本骨格)には、新世代モジュールアーキテクチャー「NSF(New Small Family)」を採用。同グループ内の「Skoda citigo」や「SEAT Mii」とは、プラットフォームを共有する兄弟車の関係です。

新興国需要に向けて開発されているため、ボディ各部に徹底的なコスト削減の跡が残ります。ただし、フォルクスワーゲンならではの作りの良さや堅牢さ、重厚感はしっかりと表現されており、コストパフォーマンスの高い一台です。

価格は最も安いモデル「move up!(3ドア・ハッチバック)」で159万9千円から。軽自動車やコンパクトカー並の予算で買える欧州車として、今まで外車に縁のなかった層からも高い人気があります。

ライバルは「フィアット・500」や「ルノー・トゥインゴ」、「スマート・フォーフォー」などの欧州スモール・コンパクト。いわゆる「Aセグメント」と呼ばれるクラスです。

2017年にマイナーチェンジを実施。内外装の変更と共に装備品の充実、安全機能の強化やスマートフォンとの連携機能を持つ「インフォテイメントシステム」の導入などが行われています。

※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【試乗レポート】のまとめ」をどうぞ↓

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「新型 VW high up!」の外観

ボディサイズ、全長3610mmX全幅1650mmX全高1495mm。ホイールベース、2420mm。

デザインテーマは、シンプル&クリーン。コストをギリギリまで削減しながらも、安っぽさを感じさせないスタイリングは流石です。

フロント

VW up!のフロント

短くスラント(傾斜)したノーズに、クリーンなヘッドライト。マイナーチェンジによって力強さを増したグリルレス風フロントバンパー。クリーンな重厚感を表現しています。

サイド

短いボディに大きなキャビン(居住スペース)。傾斜の強いAピラー(一番前の柱)と一体化したフロントノーズ。前後ギリギリに配置された4つのホイール。力強く凝縮感のあるサイドビューです。

リア

VW up!のリア

スマートフォンを模したといわれるリアウィンドウ。ブラックアウトされたリアゲートとグラス部分が一体となり、サイバーな近未来感を感じさせます。

マイナーチェンジによって、リアバンパーならびに、リアコンビランプ内リフレクター形状を変更。リアバンパーには張りのある曲線が与えられ、低価格車ならではのみすぼらしさはありません。

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内装

VW up!の内装

ボディ同色のパネルを大胆にあしらった、ポップで楽しい室内。

メーターナセルには、大きな速度計を中心に据えた三眼メーターを装備。マイナーチェンジで左右のメーターが大きくなり、視認性を向上させています。

センタークラスター最上段には、スマートフォンフォルダ。専用アプリをダウンロードしたスマホを設置すれば、ナビゲーションとして使えます。

中段には、エアコンユニットとインフォテイメントシステムを設置。エアコンはプッシュ式で手探りでの操作性は今ひとつ。

割り切ったコスト削減を行っているため、普通の日本車なら付いていて当然という機能がありません。パワーウインドウはフロントのみですし、リアウィンドウはヒンジで斜めに開く昔懐かしいタイプ。ドアミラーは手動式ですし、ガソリン給油口はキーで直接施錠する必要があります。こういった部分を削りながら、走りの基本性能にはしっかりとコストを掛けているので文句はありませんが。

見切りの良いボディとアップライトなポジションが組み合わされ、運転しやすいです。

シート

VW up!のシート

シートは小ぶりな一体成型モノですが、機能自体にはしっかりとコストが掛けられています。柔軟な表皮とコシのあるクッションによって、長距離ドライブの疲れも最小限。均一な力で身体をしっかりと支えます。

リアシートは狭く、足元、頭上空間ともにミニマム。ただし、シート自体の作りは上等で座り心地は良いです。

荷室

荷室はボディサイズの割にそこそこ。家族4人であれば、1泊2日旅行くらいは行けるでしょう。

静粛性

エンジン、ロードノイズともに意外と静か。ただし、風切り音は大きめで、ガラスの薄さを感じます。

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エンジンとミッション

999cc・直列3気筒DOHCエンジンに、5速AT(AGS)が組み合わされます。
エンジン:最高出力75ps/6200rpm、最大トルク9.7kgf・m/3000-4300rpm。

車両重量950kg。JC08モード燃費、22.0km/l。

エンジン

1.0リッターのツインカムエンジンで前輪を駆動(FF)。動力性能はターボ付きの軽自動車並。トルクカーブがなだらかな山を描くので、ターボエンジンのようなフラットなトルク感はありません。それでも、ボディが軽量なので平坦路では必要十分の力強さがあります。

トランスミッション

マニュアルトランスミッション機構をそのまま活かして、自動的に変速する「5AGS」を搭載。

MTをベースにしているため、スペース効率に優れ価格も安い。加えてMTに違いダイレクトな変速フィールが味わえます。反面、ズボラにアクセルを踏み続けると、変速時にトルク抜けが発生してスムーズに走れません。

ただし、これはデメリットというよりも「5AGS」ならではの特性です。MTモードを使って、変速の度に少しアクセルを戻してやれば問題ありません。要は、普通のMTのイメージで操作するわけです。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、185/55R15。

剛性感を伴うしなやかな乗り味。低速では路面からの衝撃を拾いがちですが、不快な突き上げ感はありません。

高速域での安定性も高く、4つのタイヤが巧みに衝撃を吸収してボディをフラットに維持。ボディサイズを感じさせないどっしりとした直進性をみせます。

ハンドリング

キビキビとした軽快感を伴う素直はハンドリング。ドライバーの操舵に正確に反応して、狙ったラインを外しにくいです。

ある程度のロールを許容しますが、ロール変化が穏やかで予測しやすいため不安感はありません。タイヤの接地性も高く、しっかりと路面を捉え続けます。

最小回転半径は、4.6m。

先進安全技術

衝突を検知して回避、もしくは被害軽減をはかる「シティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避・軽減ブレーキ)」を搭載しています。

【試乗レポート】のまとめ

「新型 VW high up!」は、5ドアハッチバックのスモールコンパクト。欧州で「Aセグメント」と呼ばれるクラスです。

徹底的なコスト削減により、内装部品や見た目の質感にやや物足りない部分もありますが、走る、止まる、曲がるといったクルマの基本性能には、VWならではのしっかりとした質感が与えられています。

荷室や居住空間は、小さいながらも必要十分の広さを確保。内外装にはコスト削減の跡が多少感じられますが、センスの良いフィニッシュワークで、明るくポップに仕上げられています。

軽量ボディと組み合わされる1リッターツインカムエンジンは、必要十分な力強さを発揮。足回りにもクラスを超えたしっかり感や安定感があります。

たたし、MTをベースに自動変速を行う「5AGS」には、ロボタイズドMTならではのクセがあります。MTが好きな人には最高のトランスミッションですが、国産コンパクトカー用ATのようなイージードライブを期待して購入すると後悔するかもしれません。気になる人はディーラーで試乗をした方が良いでしょう。

「安い価格でVWの乗り味を味わいたい」とか、「見た目や快適装備よりも、走りの質感を重視する」といった人には最高のクルマとなります。

中古車市場では

2017年式「VW high up!」で150万円前後。2014年式で90万円前後(2018年7月現在)。

新車価格

1,974,000円(消費税込み)

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ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)