アウディA4 2.0 TFSI quattro(B8系)【試乗評価】モデルチェンジ間際の熟成された極上の一品 [DBA-8KCDNF]

アウディA4前面画像

今回の【試乗評価】は「アウディ A4 2.0 TFSI quattro(B8系・4代目)」。
2007年にフルモデルチェンジ(日本市場への導入は2008年から2015年まで)した、Mクラスの4ドアセダンです。この他にステーションワゴンタイプの「A4 アバント」もあります。

今のアウディには小さくて安いモデル「アウディ・A1」や「アウディ・A3」もありますが、販売量だけでなくイメージや技術など総合的な面から見れば、「アウディ・A4」はアウディの中核を担う大切なモデルです(もちろん一台あたりの利益率もA4の方が高い)。

「アウディ・A4」の前身は「アウディ・80」という中級セダンで、今のA4からは想像もつかないほと地味〜な車でした。アウディ自体のブランド価値も低く、「やたらと故障する二流ブランド」という感じです。当然ながら販売もパッとせず、「メルセデス・ベンツやBMWの背中をせいぜい遠くから眺める」というポジションに甘んじていたんです。

そんなアウディ冬の時代に颯爽と登場したのが「初代 アウディ・A4」。それまでのイメージを刷新するため巨額の開発資金が投じられ、シャシーからエンジン、トランスミッション、足回り、ボディなど全ての部分を一から再設計しています。

当時、街を走るA4の様子を今でも鮮明に覚えていますが、「うわー、なんてモダンで質感の高そうなスタイリングだ!」と憧れを持って眺めていたもんです。

このアウディの戦略は見事に成功し、現在ではドイツを代表する高級ブランドとして、メルセデス・ベンツやBMWと肩を並べるほど。。。

今回の「アウディ・A4(B8系・4代目)」は、初代A4の先進的なコンセプトをそのまま受け継ぎつつ、さらに革新的で高品質な車へと進化しています。

最新型のアウディA4については、「新型アウディA4 2.0 TFSI(B9系)」のページを御覧ください。

※じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓

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「アウディ A4 2.0 TFSI quattro(B8系・4代目)」の概要

4代目となった「アウディ・A4」は、先代よりもボディサイズをひと回り拡大。ホイールベース(前後ホイール間の長さ)を長くすると共にフロントオーバーハング(前輪からボディ先端までの長さ)を切り詰め、伸びやかで均整の取れたプロポーションを実現しています。人間で言うところの「八頭身美人」っていうやつですね。

同時に前輪が前に移動したことにより前後重量配分も適正化(前が軽く後ろが重く)され、後輪寄りの駆動配分と相まってFRに近い自然なハンドリングを得ています。

アルミ素材による軽量化

ボディや主要パーツにはアルミなどの軽量素材が惜しみなく使われ、エネルギー効率の向上と優れた運動性能を実現。分かりやすく言うと「車が軽くなった分、動きやすくなったよ」という感じです。

搭載されるパワートレーン

搭載されるパワートレーンは、2.0リッターTFSIツインカムターボに、アウディ社内で「Sトロニック」と呼ばれるデュアルクラッチ式の7速ATを搭載。これにフルタイム4WDシステム「クワトロ」が組み合わされます。

つまり、アウディの誇る「三種の神器」、「TFSIターボ」と「Sトロニック」、「クワトロシステム」が一度に味わえるわけです。

グレード構成

発売当初は1.8リッターTFSIエンジンにCVTを組み合わせた前輪駆動の「1.8 TFSI」と、3.2リッターV6エンジンに6速ティプトロニックATを組み合わせた4WDモデル「3.2FSI クワトロ」の2グレードのみ。

その後、2つのグレードの中間を埋めるモデルとして今回の「2.0 TFSI quattro」を追加。直後に「3.2FSI クワトロ」を廃止しています。

2011年には「1.8 TFSI」に「2.0 TFSI quattro」と同じエンジンを搭載したFFモデル「2.0 TFSI」が登場。最終的に「2.0 TFSI quattro」と「2.0 TFSI」の2グレード体制へと移行しています。

この「2.0 TFSI」は「2.0 TFSI quattro」と同じエンジンを使いながら、価格を5万円高(1.8TFSI比で)に抑えた結構お得なグレードです。ただし駆動方式はFFですし、トランスミッションもCVTのままなんでドライブフィールは「quattro」とかなり違います。まあ、「quattro」は78万円も高いモデルですから価格相応といったところでしょう。

2011年にマイナーチェンジを実施

2011年にマイナーチェンジを実施。外装デザインのアップデートとグレード体系の見直しが行われています。メカニズム面では電動パワステ及びアイドリングストップが追加され、燃費効率を向上させています。

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外観

ボディサイズ、全長4720mmX全幅1825mmX全高1440mm。ホイールベース、2810mm。

A4の雰囲気はヨーロッパの古い町並みよりも、なぜか東京の無機質な質感の方がピッタリとハマる気がします。北京ではちょっとエネルギッシュすぎるし、ドバイもゴージャス過ぎてA4の世界観とは合わないんですよねえ。

フロント

張りのある硬質なフロントノーズ。ブラックベゼルにLEDライナーを組み合わせたシャープなヘッドライト。サイボーグをイメージさせる精悍なフロントフェイス。

マイナーチェンジによってフロント周りのデザインが微調整され、さらにモダンで高品質なデザインに。

硬質でしなやか、上質といったA4のもたらす実際のフィーリングともバッチリ接合性が取れています。

サイド

短いフロントオーバーハング(前輪からボディ先端までの距離)と、ロングホイールベース(前後ホイールの間が長い)。後ろよりにレイアウトされた薄く長いキャビン(居住空間)。FRクーペのような、伸びやかで美しいサイドビューです。

美しいサイドビューと言えば「BMW・3シリーズ」ですが、「アウディ・A4」のサイドビューも中々。少々古典的な3シリーズに対して、A4にはちょっとモダンな印象がありますね。

リア

アウディA4後部画像

ハイデッキ化されたヒップラインに、端正なLEDリアコンビランプ。フロント同様に硬質な印象を伴います。マイナーチェンジによって多少リアバンパー形状が変更されていますが、大きな違いはありません。

このリアコンビランプの微妙な形状!なんだかうっとりとしてしまいます。

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内装

アウディA4内装画像

上質なインパネにピアノブラック調パネル。クロームトリムを組み合わせた質感の高いインテリア。

現行型アウディA4(B9)のような明快さはありませんが、ドライバーを重視したオーソドックスで馴染みやすいデザインです。

素材の質感が高いことはもとより、パーツとパーツの隙間(いわゆる”チリ”ってやつです)が均一でキッチリと揃っているため、見るものに圧倒的な高品質間を感じさせるんですよね。

センターコンソール最上段には「アウディドライブセレクト」や「ナビゲーション」などを表示させる大型液晶パネル。中段にはDVDなどのを挿入するスロット。下段に左右で別々に温度調整を可能にするデュアルフルオートエアコンを装備。ダイヤル式で手触りもハッキリしているので、今流行りのタッチパネル式よりよっぽど操作がしやすいですよ。

シート

フロントシートには適度なサイドサポートがあり、身体を均一な圧力で包み込むように支えます。ストロークのたっぷりとしたクッションに柔軟な表皮が組み合わされるので、長距離運転でも疲れにくいです。まあ、このクラス以上のドイツ車ともなると、腰が痛くなるようなシートはそうそうありませんが。

ロングホイールベースを活かして、リアシートの足元には広大なスペースを確保。頭上空間も申し分ありません。シートクッションの質感も高く、表皮の柔軟性も十分。大人二人で座っても快適です。

荷室

高性能なリアサスを装備するため左右方向は若干制限されますが、それでも荷室容量は十分広大です。家族4人なら2泊3日旅行も余裕でしょう。

リアシートの背もたれを3:7で折りたためば、さらにスペースを拡大することも可能です。

静粛性

トルクフルなエンジンによって、負荷の小さい巡航時は回転が高まりにくくとっても静か。車内には遮音材や吸音材がたっぷりと装備され、風切り音やロードノイズもよく抑え垂れています。さすがプレミアムサルーンといったところでしょうか。

エンジンとトランスミッション

1984cc・直列4気筒DOHCターボエンジンに、7速ATが組み合わされます。
エンジン:最高出力211ps/4300-6000rpm、最大トルク35.7kgf・m/1500-4200rpm。

車両重量1680kg。JC08モード燃費、13.6km/l。

エンジン

2.0Lのツインカムターボで4輪を駆動(フルタイム4WD)。極低速域(1500-4200rpm)から分厚いトルクを発生するパワフルなエンジン。6気筒エンジンのような贅沢感は無いものの、結構スムーズで洗練されています。

出足も軽快で、大排気量自然吸気エンジンのような余裕が心地いいです。軽くアクセルを踏み込むだけで瞬時にトルクが立ち上がります。

トランスミッション

デュアルクラッチ式の7速AT(Sトロニック)を装備。マイナーチェンジでスムーズさが向上、ダイレクト感あふれる小気味いいトランスミッションです

デュアルクラッチ式トランスミッション特有のギクシャク感も少なく、ダラダラと渋滞の続く道でも結構スムーズに走ります。

乗り心地とハンドリング

前輪に5リンク式サスペンション、後輪にはトラペゾイダル式サスペンションを装備。前後ともにスタビライザーで強化。

乗り心地

装着タイヤは、245/45R17。

適度に引き締まったしなやかな乗り味。足回りとボディとの一体感が高く、うねりのある路面でもフラットな姿勢を保ちます。

荒れた路面や段差では衝撃をコツコツと拾いやすいものの、不快な衝撃を車内に伝えることはありません。しなやかなサスペンションによって、衝撃の角がキレイに丸められているんですね。

高速域での直進性も高く矢のように直進。ドライバーは軽くステアリングに手を添えているだけなので、ロングドライブでも疲れが少ないです。

高速道路の轍を拾って、右へ左へとせわしなく鼻先を動かす車は本当に疲れるんですよね〜。というか、そんな車での長時間ドライブは非常に危険。長距離ドライブでも疲れない車を探しているという人には、今回の「アウディ・A4」なんかがオススメなんです。

ハンドリング

軽快感あふれる素直なステアリングフィール。ドライバーの操舵に正確に反応して、気持ちのいいラインを描きます。

「クワトロ」と呼ばれる4WDシステムを使っていますが、後輪へのトルク配分を増やしてFRに近い自然な動きを表現。マイナーチェンジで採用された「パワーステアリング」の制御も自然で、低速では軽く、高速域ではどっしりとした安定感を見せます。

最小回転半径は、5.5m。ボディサイズを考えると十分な数値です。

先進安全技術

車線逸脱を検知してステアリングを自動的に補正する「アクティブレーンアシスト」や、設定された速度で前車に追従する「アクティブクルーズコントロール」を装備。

【試乗評価】のまとめ

「アウディ A4 2.0 TFSI quattro(B8系・4代目)」は、初代A4の高い志を受け継ぐ高品質なプレミアムセダン(Mクラス)です。

ロングホールベースと短く切り詰められたフロントオーバーハングによって、軽快感あふれる美しいプロポーションを表現。同時に、広々とした室内と余裕のある荷室を両立しています。

エンジンもパワフルで、極低速域から分厚いトルクを発生。これにスムーズで小気味いいデュアルクラッチトランスミッション(7速Sトロニック)が組み合わされ、キビキビとした軽快な走りをみせます。

駆動方式には「クワトロ」と呼ばれる4WDシステムを使っていますが、後輪に多くのトルクを配分することによってFRに近い自然なハンドリングを実現。乗心地は多少の硬さを伴うものの、全体としてはしなやかで上質な乗り味です。

BMWの3シリーズベンツのCクラスも良いけど、もうちょっとモダンで先進的なイメージが欲しい」とか、「家族で乗れる車を探しているがミニバンは嫌!スポーティな走りや上質感、周りから羨ましがられるようなある程度のステイタスも欲しい」なんて人に最適な車です。

中古車市場では

2015年式「アウディ A4 2.0 TFSI quattro(B8系・4代目)」で250万円前後(2018年9月現在)。

新車価格

5,540,000円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)