【試乗レポート】新型アウディA3 1.4 TFSI スポーツバック [DBA-8VCXS] 小さなプレミアムカー

アウディA3前面画像

今回の【試乗レポート】は「新型 アウディ・A3 1.4 TFSI スポーツバック(3代目)」。
2012年にフルモデルチェンジ(日本市場では2013 年)した、コンパクトな5ドア・ハッチバックです。

「小さな高級車」というコンセプトは、別に目新しいものじゃないんですが、実際にやってみると意外に難しいです。特に日本車の場合は、「既存のコンパクトカーをベースにお手軽に高級感を演出した」なんてチグハグな感じが目立ちます(もちろん全部じゃありませんが)。

1996年に登場した「初代アウディA3」は、そんな「小さな高級車」を目指して作られたコンパクトカーです。ただし、ベースとなっているのは「VWゴルフ4」なんで、アウディ伝統の「エンジン縦置き前輪駆動」じゃなくて、オーソドックスな「エンジン横置きの前輪駆動」を使ってます。ドライブフィールもゴルフとそんなに変わりません。まあ、もちろん、外観にはそれなりの上質感がありましたけど。要は、見かけだけの「小さな高級車」をやっちゃったわけです。

VWエンブレム画像

4代目 VW ゴルフ 4(1J)【旧型試乗】ピエヒ会長肝いりのプレミアム化路線 [GH-1JBFQ]

2016年7月24日

「小さな高級車」というのは、本来「上質な乗り味は欲しいが大柄なボディは苦手」という人のための車です。そんなこともあって、見た目だけ高級な「初代A3」はユーザーからの評判もイマイチでした。そこのところはアウディ自身もよく分かっているらしく、その後の「A3」はモデルチェンジの度に質感を向上させてます。

今回の「3代目アウディA3」は、そんな初代の失敗を反面教師に開発された本当の意味での「小さな高級車」です。「エンジン縦置き前輪駆動」という基本レイアウトこそ初代と変わりませんが、エンジン、足回り、内外装の質感などベースとなったゴルフとは一味違った仕立てになってます。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗レポート】のまとめ」をどうぞ↓
スポンサーリンク

「新型 アウディ・A3 1.4 TFSI スポーツバック(3代目)」の概要

「新型 アウディ・A3 1.4 TFSI スポーツバック(3代目)」は、先代と比較するとボディがひと回り大きくなり、ホイールベースも長くなってます(全長で+35mm。全幅、全高でそれぞれ+20mmずつ。ホイールベース+60mm)。そのおかげで室内や荷室が広くなり、実用性が大きく向上。使い勝手の良い車に仕上がりました。

大きくなったといっても全幅で1785mm程度ですから、まだまだ、日本の狭い道で乗り回すには「ちょうど良い」感じが残ります。

この5ドア「スポーツバック」の他に4ドアの「セダン」もありますが、元々は5ドアハッチバックがベースなので、デザインのバランスはスポーツバックの方が良いです。

最新の「インフォテインメントシステム」

「MMIナビゲーション(セットオプションで350,000円)」などをネットに接続して様々なサービスを提供する「アウディコネクト」を搭載してます。これには日本初となる、車内を「Wi-Fiスポット化」する機能も含まれ、斬新なCMなんかもあって登場した時は結構話題になりました。

MMIは、ナビやオーディオ、インターネットからの各種情報(ニュースや天気など)、車輌情報などを統合して制御するシステムのことで、他社では「インフォテインメント」などと呼称されます。最新型の車にはオプションもしくは標準装備として用意されていることが多いです。

プラットフォーム

基本となるプラットフォーム(基本骨格)は、VW・ゴルフ(7代目)なんかと同じモジュラープラットフォーム「MQB」。

各種コンポーネントもゴルフ由来のものが多いですが、初代と違ってアウディならではの上質なフィールがあります。

ライバル車は

ライバルは、「メルセデスベンツ・Aクラス」や「BMW・1シリーズ」などの欧州プレミアムコンパクトたち。

マイナーチェンジ

2017年にマイナーチェンジを実施。内外装の変更やギアの7段化、先進安全技術「アウディ・プレセンス・フロント」の全車標準装備などが行われてます。

次期アウディA3(4代目)について

2020年4月現在。現行アウディA3(3代目)は次期モデル(4代目)の登場を控えて、モデル末期となってます。

アウディA3スポーツバックの次期モデルは、欧州で3月に発表され、5月からユーザーのもとへ納車される予定です(セダンはそれよりちょっと遅れて4月に発表。納車は5月)。日本での発売は未定ですが、現行型と同じタイムスケジュールなら来年にずれ込むかも。価格は「1.5TFSI」で28,900ユーロ。日本円に換算すると335万円くらいになります。

ボディサイズは、全長4340mmx全幅 1820mmx全高 1430mm。現行型と比べると全長が15mm長く、全幅が35mm広い、全高は20mm低いです。同じプラットフォームを使う新型ゴルフよりも、ロー&ワイドに見えますね。

基本的なスタイリングは現行型を踏襲するキープコンセプトなんですが、直線が強調されていて硬質なデザインに進化してます。ひとことで言って、かっこいいです。

室内は、現行型と違って直線を基調した近未来的デザイン。上質感もアップしていて、A4と並べてもそんなに見劣りしません。最新のバーチャルコックピットやヘッドアップディスプレイ、運転支援システムやコネクテッド機能も充実していて、新世代の車って感じです。現行型の売り、「WI-FIスポット」もしっかり付いてます。

スポンサーリンク

外観

ボディサイズ、全長4325mmX全幅1785mmX全高1450mm。ホイールベース、2635mm。

フロント

マイナーチェンジを経て、5代目「アウディ・A4」なんかとも共通する凛々しいフロントフェイスになってます。「しばらくアウディはこの顔で行くよ」ということなんでしょう。

味わい深い前期型も良いんですが、シャープなラインで構成された後期型もなかなか男前です。ヘッドライトは照度の高い「バイキセノンヘッドライト」。ライン状に光るポジションニングランプは、標準でLED化されてます。さらにオプション装備として「LEDヘッドライト」のオーダーも可能。アウディは高品質なイメージが売りなんですから、ヘッドライトも標準でLED化して欲しいところです。

サイド

プラットフォームを共有する「7代目 VW・ゴルフ」と比較すれば、キャビン(居住空間)が薄く前後に長く見えるデザインを採用してます。良く言えば「伸びやかでエレガント」、悪く言えば「線が細い」といった感じです。個人的には重厚感のあるゴルフ7の方が好きですが、デザインの完成度ではどちらも甲乙つけがたいと思います。

リア

緩やかに傾斜するリアウィンドウに、キッチリとしたラインと張りのある面で構成されたヒップライン。このなんとも言えない品質感というか上質感は「流石アウディ」といった感じで、角度によってはひとクラス上の「アウディ・A4アバント」のようにも見えます。

マイナーチェンジによって、リアコンビランプ内のリフレクター形状を変更。シャープで緻密な造形になりました。僕は前期型のプレーンな感じの方が好きですが、新世代アウディのイメージにはこちらの方が合ってます。

スポンサーリンク

内装

今風の言葉で言えば「ミニマル」とでも言うんでしょうか。余計な要素を削ぎ落としたシンプルで上質な室内です。

マイナーチェンジ以降、オプション装備として「ヴァーチャルコックピット(フルデジタル式メーター)」が選べるようになりました。A3の登場は2012年と少々前なんで、内装に新しさとか新鮮さを感じることは無いんですけど、この「ヴァーチャルコックピット」を付けるだけでグッと近未来的な感じになります。予算に余裕があれば、ぜひ装備したいところです。

ダッシュボード中央にあるのは、高精度7インチ液晶パネル「MMIカラーディスプレイ」です。タッチ式の「MMIコントローラー」を操作して、ナビや電話、地図、対応アプリなどを表示します。「ヴァーチャルコックピット(40,000円)」+「MMIカラーディスプレ(標準装備)」+「MMIコントローラー(標準装備)」とセットで装備すると、SFっぽくてかなりカッコいいです。

センタークラスター中段には、「ハザードスイッチ」を中心に各種制御スイッチ(横滑り防止スイッチなど)を横一列にならべて配置。「ハザードスイッチ」自体は赤く発光するんですけど、他のスイッチと同じ形で手触りに違いも無いんで視線を移さずに操作するのはムズいです。

その直下には、運転席と助手席で別々に温度調整ができる「デラックス・オートマチック・エアコンディショナー」を装備。こっちは温度および風力調整がダイヤル式なんで、手探りで簡単に操作できます。

内装については、下のページでさらに掘り下げて紹介していますので、良かったらどうぞ↓

アウディA3(3代目)の内装を細かくチェック!

シート

フロントシートは、適度なサイドサポートと肉厚のクッション。腰が不自然に沈み込まないんで長距離ドライブも快適です。

リアシートの造りはフロントと同等で、足元にはたっぷりとした余裕があります。ルーフが緩やかに下降しているのでゴルフほどの広々感はありませんが、頭上空間も十分。大人二人で座ってもそれほど窮屈感はありません。

荷室

荷室は、ハッチバックにしては奥行きがあるんで結構たくさんのモノが積めます。荷室形状もスクウェア(四角い)で開口部も広いから、使い勝手が良いです。リアシートの背もたれを4:6で分割して倒せば、さらに容量を拡大できます。

小さい子ども二人くらいまでなら、ファミリーカーとしても十分いけそうです。

静粛性

「小さな高級車」というだけあって、静粛性はゴルフ以上。室内には十分な遮音材および吸音材が施されています。

エンジンとトランスミッション

1394cc・直列4気筒DOHCターボエンジンに、デュアルクラッチ式7速ATが組み合わされます。
エンジンは最高出力122ps/5000-6000rpm、最大トルク20.4kgf・m/1400-4000rpmを発揮。

車両重量1320kg。JC08モード燃費、19.5km/l。

エンジン

1.4リッターのツインカムターボで前輪を駆動(FF)。エンジン自体はマイナーチェンジ前と同じで、燃費を向上させる「気筒休止システム」も搭載されていません。

今流行りのダウンサイジングターボで加給されており、1.3t余りのボディを加速させるだけの十分なパワーがあります。ただし、「ターボ」という言葉から連想するほどの有り余るパワーはありません。よく出来た実用エンジンといった感じで、静かで扱いやすいんですが高回転側の伸びというか吹け上がりは今ひとつです。

トランスミッション

ふたつのクラッチと2系統のギアを組み合わせて走る、デュアルクラッチ式「7速Sトロニック」を搭載。出力の小さなエンジンと巧みに連携して、それなりに力強く走ります。変速制御も結構スムーズなんで、街中など低速モードでもそんなにギクシャクしません。扱いやすいトランスミッションです。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪には4リンク式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、205/55R16。

比較的小径の16インチ・タイヤ・ホイールを履いてるんで、脚さばきに軽快感があります。しなやかなストロークを活かしたスッキリ系の乗り味です。

路面からの衝撃をコツコツと拾いやすいんですが、不快な感じはありません。小さな衝撃はダンパーの小さなストロークで柔軟に吸収して、大きな衝撃は硬いボディと足回りの剛性感でガッチリと受け止めてる印象です。

高速域での安定感も高く、ステアリングに軽く手を添えておくだけで勝手に直進していきます。道の上に見えないレールがガッチリと敷いていあるみたいです。

ハンドリング

ステアリングとボディの一体感が高く、僅かに舵を切るだけで素直に車が反応します。といっても過剰な神経質さはなく、そこはかとなく穏やかな印象が伴うんですけど。

どっしりとしたゴルフと比べれば軽快感が高く上質なフィール。ドライバーのイメージしたラインを繊細になぞるんで、運転が楽しいです。路面からの正確な手応えを頼りに、ステアリングを切り増していく感じがたまりません。

最小回転半径は、5.1m。小さなボディと相まって狭い路地でも気軽に切り返せます。

先進安全技術

前方の車を検知して自動ブレーキを作動させる「アウディ・プレセンス・フロント」や、前車との適切な距離を維持しながら設定した速度で追従する「アダプティブ・クルーズ・コントロール」などの基本的な先進安全技術は標準で装備してます。

さらにオプションとして「アシスタンスパッケージ」も用意されますが、これには渋滞時の発進や停止を安全に制御する「トラフィックジャムアシスト」や車線逸脱を防ぐ「アクティブレーンアシスト」、斜め後方死角内の車を知らせる「サイドアシスト」なんかが付きます。

年を取るとだんだん首をひねるのが辛くなるんで、「サイドアシスト」みたいな運転支援機能があると助かるんですよね。

【試乗レポート】のまとめ

「新型 アウディ・A3 1.4 TFSI スポーツバック(3代目)」は、アウディが提案する新世代の「小さな高級車」です。大衆車ゴルフのプラットフォームとパワートレーンを使いながらも、しっかりと高級な上質感が添えられてます。

アウディA3を買おうとする人は、ひょっとするとゴルフも選択肢のひとつに入っているかもしれません。そこのところはメーカーサイドも分かっているらしく、同じくらいのボディサイズとスペックですが、キャラクターだけはしっかりと差別化されてます。ゴルフは実用主義で質実剛健、ゴルフらしい独特の味わいと重厚感を持ちますが、それは決してプレミアムなものではありません。対するアウディA3は、小さなボディにも関わらずプレミアムブランドらしいしっとりとした上質感があります。

「高級車のタッチや佇まいは好きだけど、ボディが大きすぎるのは苦手」なんて人にピッタリな車です。

中古車市場では

2017年式「アウディ・A3 1.4 TFSI スポーツバック(3代目)」で200万円前後。2015年式で150万円前後(2020年4月現在)。

新車価格

現在(2020年4月現在)「1.4TFSI」は廃盤。現行型の同等グレード「30TFSI」だと、3,040,000円(消費税込み)。

ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)