今回の【評価レビュー】は「新型 スズキ ソリオ Sセレクション(4代目・FF)」。
2015年にフルモデルチェンジした、コンパクトサイズのハイト系ワゴン(5ドア)。
初代「ソリオ」は、軽自動車「ワゴンR」から派生した車種なんですが、その成り立ち自体は少々ややこしいです。
まずは、1997年に軽自動車「ワゴンR」をベースにボディを拡大した「ワゴンRワイド」が登場。この時はまだ「ソリオ」という名前は付いてません。まあ、成り立ちからいえばこれが「初代ソリオ」ということになるでしょう。ということで、ここから数えるなら現行型は「4代目」です。
その後、1999年にこれの後継車として「ワゴンR+」が登場。こいつは2000年の改良で「ワゴンRソリオ」、2005年になると初めて名前から「ワゴンR」が取れて、「ソリオ」という独立したモデル名になってます。
その後、2010年に11年ぶりとなるモデルチェンジを実施。軽自動車をベースにした安っぽい車づくりから、スイフトをベースにしたちょっと上質なモデルへと進化してます。同時にパレットから借用した「後席両側スライドドア」なんかも装備されて、商品性自体もかなり進化したって感じです。
このあたりで「ソリオ」という形が完成して、ほぼ独走状態に入った感がありましたねえ。なにしろ、この世代にはライバルらしいライバルもいなかったですから。
「新型 スズキ ソリオ Sセレクション(4代目・FF)」の概要
4代目ソリオは、先代のコンセプトをそのまま受け継ぐキープコンセプトモデル。3代目の人気が高かったんで、まあ、当然の戦略です。ただし、新開発されたプラットフォームを使ってるんで、100kgの軽量化と、さらに室内空間も広くなってます。
先代からの人気もそのまま受け継いでいて、スズキの普通車の中ではスイフトの次に売れるモデルなんです。
この人気の秘密はなんといっても、「軽自動車より大きくて立派なんだけど、コンパクトカーよりは小さいんで取り回しが良い。しかも室内はコンパクトカー以上に広々していて、実際に積める荷物も多い」という絶妙なサイズ感でしょう。しかも、先代までは目ぼしいライバルもいませんでしたからねえ。言うなれば、「ハイト系ワゴンの先駆者」ってところです。
現行型になると、「トヨタ・ルーミー」や「ダイハツ・トール」なんてフォロワーも現れましたが、今現在も高い人気を保ち続けております。
「Sセレクション」の装備内容
今回紹介する特別仕様車「スズキ ソリオ Sセレクション」は、最廉価グレード「ソリオ G(ガソリン仕様)」をベースに、色々な快適装備と安全装備を組み合わせたお得なグレードです。2017年モデルの場合、ベースグレードから20万円高となる 1,654,560円(消費税込み)で販売されてました。
プラットフォームなど
プラットフォーム(車台)には、スズキが新たに開発した「HEARTECT(ハーテクト)」を使ってます。先代より100kgほど軽量化されており、どのグレードも1tを切る軽さに抑えられてます。これに剛性の高さも加わって、優れた運動性能と高い安全性能、エネルギー効率の良さを実現したわけです。
ライバルは
ライバルは、「トヨタ・ルーミー」や「ダイハツ・トール」といった、コンパクトカークラスのハイト系ワゴン。コンパクトミニバンとか、ミニミニバンなんて呼ばれ方もします。
マイナーチェンジ情報
2018年にマイナーチェンジ。内外装の小変更と、先進安全技術の大幅なアップデートが行われてます。
目ぼしいポイントとしては、衝突被害低減自動ブレーキ「デュアルサポートブレーキ」に夜間の歩行者検知機能が付いたり、普通のクルーズコントロールが、設定した速度で前車に追従する「アダプティブクルーズコントロール」にアップグレードされていたり、なんてのがあります。
外観
全長3710mmX全幅1625mmX全高1745mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2480mmとなります。
フロント
がっしりとした重厚感のある短いノーズに大きな角型ヘッドライト。ぶ厚い格子グリルを装備した力強いフロントフェイス。
サイド
垂直に切り落とされたノーズに大きな四角いキャビン。ダイナミックなキャラクターラインと、軽やかにキックアップされたショルダーライン(サイドウィンドウ下端)が組み合わされ、道具感あふれる楽しいサイドビューを表現。ブラックルーフとなるツートーンカラー仕様を選択すると、さらにスポーティな印象が強調されます。
シューズは、特別装備として15インチ・アルミホイールにアップグレード。
リア
四角いリアエンドにL字型リアコンビランプ。ゴージャスなガーニッシュ(メッキ仕上げ)を装備。
内装
近未来的なセンスでシンプルにまとめ上げられた内装デザイン。インパネ中段には蓋のない物置(トレー)が装備され、ティッシュやちょっとした小物など気軽に押し込んでおくことができます。
さらに前席には「プレミアムUV&IRカットガラス」を装備。紫外線や熱から乗員の大切なお肌を守ります。病気のせいで体力の消耗しやすい僕にはうれしい機能です。
その他に特別装備として「SRSサイドエアバッグ」や「パーソナルテーブル(後席左右)」、「ロールサンシェード」、「後席アームレスト」、「リモート格納ドアミラー」、「ナノイー搭載フルオートエアコン」といったものが装備されます。
シート
フロントシートには「専用シート表皮」を装備。ベースグレードと比較するとちょっとだけ垢抜けた印象です。クッションは硬めながら適度な柔軟性があり、腰回りから太ももにかけてしっかりとホールド。疲れをためにくい構造です。
リアシートには「後席パワースライドドア(スイッチ式)」が装備され、スイッチひとつで簡単に開閉することが可能。荷物で両手が一杯の時や、雨降りの時にうれしい機能です。足元、頭上空間には十分以上のスペースが確保され、スペースだけなら高級Lクラスセダンをしのぎます。
荷室
コンパクトカーにしては広々とした荷室。床下にはちょっとした小物を収納できる「サブトランク」も用意。家族4人であれば2泊3日旅行も可能です。さらにリアシート背もたれを倒せば、荷室容量を大きく拡大することができます。
静粛性
電気モーターの搭載されないガソリン車ですが、エンジン音は比較的静かでスムーズ。クラス標準以上の静粛性能を実現しています。
エンジンとミッション
1242cc・直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
最高出力91ps/6000rpmと、最大トルク12.0kgf・m/4400rpmを発揮。
車両重量930kg。JC08モード燃費は、24.8km/l。
エンジン
1.2Lのツインカム・エンジンで前輪を駆動(FF)。エンジンはスイフトにも使われる「1.2Lデュアル・ジェット・エンジン」を搭載。純粋なガソリン車ですから「ISGモーター(モーター機能付き発電機)」は装備されません。
といってもボディが超軽量に仕上げられているため、加速性能は十分。出足から中高速域まで必要十分な力強さをみせます。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって無段階に変速するCVTを装備。変速比幅を拡げる「副変速機」が組み込まれ、低速域からダイレクトな加速感を実現。エンジン回転に対してワンテンポ遅れて車速が上昇する「ラバーバンドフィール」もよく抑えられています。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは前後ともに165/65R15。
高められたボディ剛性としっかりとしたサスによって、硬質感を伴うしっとりとした乗り味を実現。安っぽい印象はまったくありません。
目地段差やジョイントでも、衝撃の角はまろやかに緩和されます。
ハンドリング
軽やかで自然なステアリングフィール。背の高いハイト系ワゴンにしてはロール量も少なく、コーナリング中も安定した姿勢を保ちます。ドライバーのイメージしたラインを大きくはみ出すことはありません。
最小回転半径は4.8m。コンパクトなボディとあいまって、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
その他
先進安全技術は最新の「SUZUKI Safety Support」を装備。このパッケージには「デュアルカメラブレーキサポート(衝突被害低減ブレーキ・特別装備)」や「誤発進抑制機能」、「車線逸脱警報&ふらつき警報機能」、「先行車発進お知らせ機能」などが含まれます。
【評価レビュー】のまとめ
「スズキ ソリオ Sセレクション」は、コンパクトなボディに広々とした室内を実現したハイト系ワゴンの先駆者。超軽量高剛性ボディにしっかりとした足が組み合わされ、硬質感をともなうしなやかな乗り味も魅力です。
最廉価グレードとなる「G(ガソリン仕様)」をベースとするため、スズキ伝家の宝刀「マイルドハイブリッド」や「フルハイブリッド」は装備されません。それでも、日常領域内なら力強さは十分。副変速機を装備したCVTと組み合わされ、スムーズな走りをみせます。
「子供の送り迎えや買い物用に足車が欲しいが、軽自動車には抵抗がある」とか、「コンパクトカーでは室内が狭すぎて使い勝手が悪い、かといってコンパクト・ミニバンでは大きすぎる」なんて人にピッタリな車です。
中古車市場では
2017年式「スズキ ソリオ G」で120万円前後。2015年式なら100万円前後(2018年3月現在)。
価格
価格 | 1,654,560円(消費税込み)