地震や台風による大きな被害が起きた時、多くの人が避難場所に指定された体育館や公民館で過ごすことになります。
しかし実際にテレビ中継を見ていると、「人混みの中では落ち着かない」とか、「トイレの度に人の間を通るのは気を使う」とか、「ペットがいるので体育館の中に入ることができない」といった理由から「車中泊」を選択する人たちがいます。
また避難場所が人で一杯とか、避難所自体が失われてしまったという場合も、車が残っていれば「車中泊」を使ってなんとか当座を凌ぐことができます。
災害に備えて「車中泊」の準備をしておく
災害時の車中泊は、普段のレジャーのように準備万端というわけにはいきません。食べ物や水も十分に無いかもしれませんし、寝具や断熱素材も手に入りにくいでしょう。
そのため普段から災害に備えて、車中にある程度の防災グッズを備えておくのも一案です。例えば、タオルやサンシェードなどの断熱グッズ、小さな毛布であれば、それほど嵩張ることもありませんし普段のドライブにも十分使う事ができます。
こういったグッズの他に、防災用のテントやビニールシート、簡易トイレなども用意したいところですが、何から何まで車に積み込めば、普段のドライブに大きな支障をきたします。
そこで提案したい方法は、野外に置いても錆びにくい「金属製のロッカー」の設置です。こういったロッカーの中にキレイなビニールに包んで収納しておけば、災害で家が潰れても、防災グッズを手に入れる事ができます。車と別にしておくことで、万が一車が失われた時もある程度の防災グッズを入手することができます。
ただし食料や水といった資源は、車やロッカーに収納しておく訳にはいきません。熱によって早々に腐敗してしまうからです。玄関先や枕元など、避難の時にすぐ手で取る事ができる場所に置いておくのが一番です。
小さな車に5人が車中泊する場合の注意点
この他にも、災害時の「車中泊」にはいくつか注意して欲しい点があります。
例えば、小さな車に対して車中泊をしたい人が何人もいる場合です。通常、車中泊をする場合、セダンやコンパクトカーであれば2人が限界です。足をしっかりと伸ばして横になるには、それなりのスペースが必要となるのです。
ただし一日だけ、緊急避難的に利用する場合はこの限りではありません。シートにもたれかかった状態で、なんとか5人くらいまでなら睡眠を取ることができます。この時、注意して欲しいのが車中泊による「エコノミー症候群」です。「エコノミー症候群」とは、車中泊によって血行の悪くなった下半身に血栓ができ、それが心臓に飛んで心筋梗塞を引き起こす病気です。
これを防ぐには、十分な水分補給と軽い下半身の体操が有効です。具体的には睡眠前に十分な水分を取り、2〜3時間毎に起きて車外で軽く屈伸運動をしてください。
大勢で何日も車中泊を続ける場合
「大勢で車中泊を何日もしなければならない」といった状況になれば、小さな車の中で何日も寝続けるわけにはいきません。こういった場合は、「元気な人が外でテントを使って寝むり、身体の弱い人が車中泊をする」といった住み分けが必要です。全員の体力に大差が無い場合は、ローテーションで車中泊をしたり、身体の弱い人だけ固定で、あとはローテーションといった臨機応変な対応をしてもいいでしょう。
寝床はフラットに
二人で就寝する場合は、シートの間にクッションや布団、荷物を詰め込みフラットな寝床を作る事が重要です。
寝床が凸凹としていると、腰が痛くなったり眠りが浅くなったりして、朝までに十分な睡眠が得られません。これが毎日のように繰り返されると、身体の弱い人であれば病気になってしまうかもしれません。
寒い冬は、断熱処理を厳重に
冬の寒い時期に車中泊する場合は、車内の断熱処理がかかせません。この断熱処理には、隙間にクッションや新聞を詰めたり、窓の内側にビニールや新聞紙を貼るといった方法が有効です。さらに登山用の寝袋があれば、スキー場でも眠る事ができます。
災害時のガソリンは重要な物資となりますので、こういった断熱処理を施すことで、ガソリンの消費を大きく節約することができます。
手に入る物資で何とかする
このようにある程度の用意がしてあれば、突然の災害でも慌てることはありません。また、用意してある物資が何らかの理由で失われたとしても、新聞紙やダンボールなど「手に入るモノで何とかする」といった発想の転換も大切です。
これは、いきなり災害になってから急にやろうと思ってもそう簡単にできることではありません。普段から家族で「こんな時はどうしよう?」と色々なシチュエーションで話しあったり、イメージトレーニングしておく必要があります。