今回の旧型レポートは「初代 トヨタ ウィッシュ G(2004年)」。
2003年に登場した、ロールーフタイプの5ドア・ミニバンです。
ベースとなるプラットフォームには、プレミオ&アリオンのものが使われています。
ホンダ・ストリームの人気を受けて開発されたため、ボディサイズやパッケージングなどにその強い影響がみられます。
外観
全長4550mmX全幅1695mmX全高1590mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2750mmとなります。
ロールーフによるスタイリッシュなワンモーションフォルムが与えられています。
フロント
スムーズなラインで構成されたフロントノーズに、扇形の個性的なヘッドライトが組み合わされます。特に強い押し出し感はありませんが、シンプル&クリーンでかっこいいフロントフェイスです。
サイド
ノーズとAピラーが一体となったワンモーションフォルム。なだらかに下降するルーフライン。短く切り詰められたフロントオーバーハングにより、スタイリッシュなサイドビューを構成しています。
ウィッシュの全てのディメンジョンは、このかっこいいサイドビューのためにあるといっても過言ではありません。
リア
ショルダーラインと一体化したリアコンビランプ。ブラックアウトされたDピラーにより、スポーティで力強い印象のリアエンドです。
内装
プラスチッキーな質感の内装です。シフトレバーがインパネに設置されているため、足元には広々とした空間が広がります。メーターナセルには大型の3連メーターが装備され、視認性、使い勝手ともに問題ありません。
シート
7人乗り3列シートが装備され、フロントシートに2人、セカンドシート3人、サードシートには2人のレイアウトとなります。
フロントシートは立体的な形状です。少し体圧が集中しがちですが、中距離くらいの移動であれば問題ありません。
セカンドシートは、平板な形状でシートバックの高さも低めです。足元スペースが窮屈で、クッションにはコシが足りません。ロールーフ+3列シートにより狭苦しい印象です。
サードシートは緊急用の小さなシートです。大人が座るには少し窮屈です。
荷室
サードシートを展開していると、荷室に余裕はほとんどありませんが、サードシートを畳むことで、ステーションワゴンに匹敵する広大な荷室を確保することができます。
静粛性
ライバルとなるホンダストリームより、若干静かな室内空間です。
エンジンとミッション
1998ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
エンジンは、155ps/6000rpmの最高出力と、19.6kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1360kg。10モード/10・15モード燃費は、14.4km/lとなります。
エンジン
2.0Lのツインカムエンジンで前輪を駆動します。低速からたっぷりとしたトルクを発生させるため、街中でパワー不足を感じることはありません。
この下位グレードには、1.8Lエンジン搭載車も用意されますが、荷物や人を沢山積むという人は、エンジンパワーに余裕のあるこの2.0Lをオススメします。
あらゆる部分でライバルのストリームを上回るウィッシュですが、エンジンフィールだけは流石にホンダの方が一枚上手です。
トランスミッション
スムーズで違和感の少ないトランスミッションです。エンジン回転を低速に保って、効率よく加速します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備され、前後ともにスタビライザーで強化されています。
足回り
スポーティな硬めの乗り心地で、段差では不快な衝撃を車内に伝えてしまいます。
ハンドリング
引き締まった足回りと、背の低いロールーフボディにより、キビキビとしたハンドリングです。微小舵領域から正確にステアリングに反応します。
評価のまとめ
ホンダストリームの好評を横目で見ながら開発されたため、ボディの隅々にまでその影響が感じられます。「あれ?今運転しているのは、ストリームかな?」と勘違いしてしまうほどです。
ただし、後発モデルだけあって、その完成度はあらゆる部分で僅かにストリームを上回ります。
このウィッシュの最大の美点は、そのスタイリッシュなボディデザインにあります。「荷物や人が多少窮屈になっても、かっこいいスタイリングを優先したい!」、しかし「クーペやセダンではいざという時に困る」という欲張りな人にピッタリな車です。
そのため、車に効率の良いパッケージングを求める人は、間違っても買ってはいけません。
価格
新車当時の価格 | 1,888,000円(税込み)