スズキ ワゴンR(4代目)は、2008年に登場して以来2012年までの4年に渡って販売されていた、スズキ自動車が製造販売するトールワゴンタイプの軽自動車です。
その後、2012年には後継モデルの「スズキ ワゴンR(5代目)」が発売されています。
今回はこの「スズキ ワゴンR(4代目)」と後継モデルの「スズキ ワゴンR(5代目)」について、「中古車で買う時に注意した方が良いポイント」を詳しく解説したいと思います。
スズキ ワゴンR(5代目)の試乗レポートについては、「新型スズキ ワゴンR【試乗評価】」のページをご覧ください。
時間が無い人は、ページ一番下の「まとめ」をサクッと読んでください。
目次
- ワゴンR(4代目)の概要
- ワゴンR(4代目)をあえて中古で買うメリット
- ツール感あふれるシンプルな外観
- シンプルかつ清潔感のある内装
- 重厚感のある乗り心地
- ワゴンR(4代目)の気になるポイント(デメリット)
- 内外装の質感が劣る
- 燃費性能が劣る
- 先進安全技術が搭載されない
- 年式による違い(マイナーチェンジ情報)
- 4代目・2010年マイナーチェンジ
- 4代目・2011年特別仕様車「limited 2」
- 5代目・2014年マイナーチェンジで「S-エネチャージ」採用
- 5代目・2015年最終モデル
- 5代目・2015年特別仕様車「FX limited」
- まとめ
ワゴンR(4代目)の概要
初代ワゴンRは、当時、低床ハッチバックスタイルが主流であった軽自動車市場において、制限のあるボディサイズを最大限に拡大した「トールワゴンボディ」というユニークなスタイルで登場しています。
このトールワゴンボディの「ワゴンR」は、軽自動車でありながら広々としたボディと、乗り降りのしやすいアップライトなドライビングポジションが受け大ヒットとなりました。その後、この手法を真似た軽自動車が続々と登場し、現在のスーパーハイト系ワゴンに繋がっていつというわけです。
また、当時の軽自動車というと、維持費は安いけどちょっと貧乏くさいというデメリットがありましたが、このワゴンRはその割り切りの良い道具感によって軽自動車の枠を超えた「クラスレスな魅力」を備えていました。
現在、スーパーハイト系ワゴン全盛の時代において、ワゴンRはデビュー当時の勢いこそありませんが、旧型の4代目ワゴンRはこの初代の「清々しい道具感」を色濃く引き継きついでいます。
ワゴンR(4代目)をあえて中古で買うメリット
2012年に登場した「スズキ ワゴンR(5代目)」はキープコンセプトで4代目の良さを引き継ぎながらも、内外装のデザインがリフレッシュされ商品力が大きく向上しています。
加えて新世代の環境技術「エネチャージ」や「エコクール」など、革新的な新技術が意欲的に搭載されています。
ただ、その分、初代にあった良さが失われている部分もあり、人によってはあえて中古車で初代を買った方が「値段も安いし好みにもマッチする」という場合があります。
そこでこの章では、「旧型ワゴンR(4代目)」のメリットとデメリットを5代目と比較しながら検討してみたいと思います。
ツール感あふれるシンプルな外観
5代目では外装デザインがリフレッシュされ、グリル周りにも凝ったデザインが与えられていますが、その分、初代ワゴンRにあった「清々しい道具感」は薄れています。
初代ワゴンRからのファンで、こういった「ガシガシ使ってなんぼ」という独特の雰囲気が好きな人には「旧型ワゴンR(4代目)」の方がおすすめです。
シンプルかつ清潔感のある内装
新しくなった「スズキ ワゴンR(5代目)」では、内装の質感が大幅に向上していますが、同時にシンプルな潔さは薄れ「どこにでもあるよく出来た内装」といった感じを受けます。
対する「旧型ワゴンR(4代目)」は、樹脂の簡素な質感を活かしたシンプルな美しさが上手く表現されており、好感のもてる内装デザインとなっています。
重厚感のある乗り心地
「スズキ ワゴンR(5代目)」では、プラットフォームから大幅に構造が見直され、トールワゴンタイプの軽自動車としては異例に軽い780kgという超軽量ボディを持ちます。そのため、高いキビキビとした運動性能や、エネルギー効率の高さなど多くの物理的メリットが発生しています。
それに対して「旧型ワゴンR(4代目)」は、5代目のような軽快感はありませんが、その分、わずかにどっしりとした重厚感のある挙動が特徴です。そのため、どっしりとした動きが好みだという人には、新型(5代目)よりも旧型(4代目)の方が高い満足が得られることになります。
ワゴンR(4代目)の気になるポイント(デメリット)
旧型モデル(4代目)には新型(5代目)で改善されているポイントが、そのままウィークポイントとして残されている場合があります。ウィークポイントは人によっては気にならない事もありますが、後で後悔しないようにしっかりココでチェックしておきましょう。
内外装の質感が劣る
メリットの章でも触れた通り、新型(5代目)では内外装がリファインされ、高いクオリティが与えられています。純粋に新しさやフレッシュさ、質感の高さを求めるならば旧型(4代目)を選ぶ理由はありません。
燃費性能が劣る
新型(5代目)ではプラットフォームから大幅な見直しが行われ、30kgの軽量化がはかられています。加えて、新しい環境技術「S-エネチャージ」や「エコクール」も与えられ、旧型とは比べ物にならない程のエネルギー効率向上がみられます。そのため、燃費性能や力強さを重要視する場合は、新型(5代目)を選ぶしかありません(旧型モデル(4代目)自然吸気エンジン搭載モデル21.0km/lに対して、新型(5代目)S-エネチャージ搭載モデルは33km/l)。
先進安全技術が搭載されない
最近になって急激に普及している先進安全技術も、新型(5代目)でなければ選ぶことが出来ません。ワゴンRの場合は、赤外線レーダーを使った「ブレーキレダーサポート」が搭載されます。
年式による違い(マイナーチェンジ情報)
新車を購入する場合はメーカーと車種を選ぶだけですが、中古車の場合は、これに「年式を選ぶ」という一手間が加わります。年式が違えば、装備や細かい改修箇所が変更される場合もあり、全く違った印象の車となる事もありますので、購入前にしっかりと予備知識を仕入れておく必要があります。
2008年に登場したこの「旧型ワゴンR(4代目)」の場合は、2010年にビッグマイナーチェンジが発表されています。加えてその後2012年に登場した「スズキ ワゴンR(5代目)」も登場からすでに4年が以上が経過しており、2014年にはマイナーチェンジが行われています。
4代目・2010年マイナーチェンジ
「副変速機付きCVT」と「アイドリングストップ機構」が装備され燃費が向上しています。同時にシート表皮の素材が見直されています。
4代目・2011年特別仕様車「limited 2」
2012年のモデルチェンジを控え、最終モデルにお買い得感のある特別仕様車「limited 2」が設定されていました。ディスチャージヘッドライト、ガンメタリック塗装のアルミホイール、フロントグリルのガンメタリック化、専用シート表皮の採用などが行われています。
5代目・2014年マイナーチェンジで「S-エネチャージ」採用
マイナーチェンジにより、「ISG」と呼ばれるモーター機能付きの発電機を搭載され、エネルギー効率が大幅に向上しています。
この「ISG」は「S-エネチャージ」と呼ばれるマイルドハイブリッドシステムの中核的な役割を担う機構で、「アイドリングストップからの再始動」や「電装機器への電力供給」、「エンジン駆動のモーターアシスト」などを行います。
5代目・2015年最終モデル
2015年の改良により、モーターアシストの作動領域15km~85kmが、0km~85kmに拡大され、作動時間も6秒間から30秒間まで拡大されています。
同時にターボエンジンにも「S-エネチャージ」が採用され、モーターアシスト作動領域は0~100kmとなります。
加えてエンジン自体の効率も見直され、「S-エネチャージ」自然吸気エンジンで33km/l、「S-エネチャージ」ターボエンジンで28km/lへと大幅に燃費が向上しています(初期型は自然吸気エンジンで26.8km/l、ターボエンジンで26.8km/l)。
5代目・2015年特別仕様車「FX limited」
モデルチェンジを控えて最終モデルにお買い得感のある特別仕様車「FX limited」が設定されました。ベースモデル「FX」の装備に加えて、運転席シートリフター、ルーフエンドスポイラー、ルーフアンテナ、14インチアルミホイール、LEDサイドターンランプ付きドアミラー、キーレスプッシュスタートシステムなどが装備されています。
まとめ
ワゴンRは新型(5代目)に切り替わってすでに4年以上が経過しているため、旧型(4代目)と比較すると内外装の質感や機能性でやや古さを感じてしまいます。
ただ、質感が向上しているといっても新型(5代目)は、旧型(4代目)のコンセプトをそのまま受け継いでいるため、車に大して興味の無い人には同じクルマに見えてしまうかもしれません。
また、初代ワゴンRに感じられた清々しい道具感のような雰囲気は、旧型(4代目)の方に色濃く残っています。そのため、ワゴンRの道具感に強い思い入れがあるという人には、旧型(4代目)の方がオススメです。機械的な熟成の進んだ、旧型(4代目)最終モデルは50万~60万円(2017/1/6現在)と価格もこなれて来ており、特別装備満載の「limited 2」ならお買い得感も高いです。
これに対して、新型(5代目)の質感の高さやエネルギー効率の良さに強く惹かれるという人には、70万~80万円となる2012年から2013年の初期型モデルがオススメです。このあたりのモデルは車検を一度経験しているため、旧型モデルに近い値段で買うことができます。
また、新型(5代目)の2016年や2015年モデルにある「新古車」は、新車と遜色の無い性能と質感をお得な価格で買うことができます。ただ、どうせ新車に近いお金を払うなら、自分の好きな色とオプションを付けて新車で気持ちよく買った方が良いと思いますが、どうしても十万円少々のお金を節約したいという人にはオススメの方法です。
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