今回は「新型 メルセデスベンツ GLCクラス GLC 220d 4マチック クーペ スポーツ」を試乗レポート。
2017年に登場した、Mクラスの5ドアSUVクーペです。この他に通常の5ドアSUVモデル「GLC」もあります。
ベースとなるプラットフォーム(基本骨格)には、Cクラスと共通の物が使われています。
通常の5ドアSUV「GLC」の派生モデルでありながら、クーペライクなボディスタイルが与えられ、よりスタイリッシュな外観を実現しています。最近の高級SUV市場では、こういった派生モデルが一種の流行のようになっています。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「試乗評価のまとめ」をサクッと読んで下さい。
外観
全長4735mmX全幅1930mmX全高1605mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2875mmとなります。
力強いSUVテイストと、流麗なクーペルックが融合したカッコいいスタイリング。
フロント
全体の印象は、ベースとなるCクラスのイメージをしっかりと継承。ワイド&ローのフロントノーズに小さなキャビンが対比され、スポーティで力強いフロントフェイスに仕上がっています。
サイド
重厚感のあるがっしりとしたGLCのボディを残しながらも、クーペのように小さくスタイリッシュなキャビン(居住空間)が組み合わされます。ワイルドなGLCに対して、このGLCクーペは力強さとスマートさを同時に併せ持ちます。
リア
クーペというよりも、スタイリッシュな5ドア・ハッチバックといった印象のリアエンドです。グラマラスなヒップラインに小さなキャビンが対比され、スポーティで上質な雰囲気を醸し出しています。リアコンビランプのデザインも緻密でエレガント、このGLCの雰囲気をよく表しています。
内装
インテリアデザインは、ベースとなるCクラスの内装がほぼそのまま使われています。しっとりとした質感の樹脂とメタリックパーツが使われ、クラス標準以上の質感があります。
フロントウィンドウはやや傾斜がキツイものの、良好な視界が確保されています。ただし、リアウィンドウが小さく、後方は少し見にくいです。
通常、ATセレクターがレイアウトされるトンネルコンソール上には、「COMANDコントローラー」が装備され、ATセレクターはステアリングコラムへ移動しています。機能的に整理された使い勝手の良いデザインです。
この「COMANDコントローラー」は、「マルチファンクションディスプレイ」に表示された機能を制御するための感圧タッチ式コントローラーです。スマホのように指先を滑らすだけで操作が可能です。
シート
サイドサポートが大きく張り出した立体的形状のシートが装備されます。といっても形状が適切なため、身体を締め付けるような窮屈感はありません。表面には適度なたわみとコシがあり、長時間座っていても全く疲れを感じることはありません。
なだらかなルーフ形状が採用されているため、後席の頭上空間はGLCよりも小さいです。といっても大人二人が座れるだけの十分なスペースは確保されています。足元にも広々とした空間があり、シートの質感も前席に準ずるしっかりとしたものが与えられます。
荷室
やや高さ方向が制限されるものの、荷室には十分な容量が確保されています。家族4人であれば、キャンプも可能です。ただし、リアゲートの開口部が高く、重い荷物の出し入れに苦労します。
静粛性
上質なタイヤにしっとりとしたサス、遮音性の高い高剛性ボディが組み合わされ、高級SUVにふさわしい静かな空間を実現しています。
エンジンとミッション
2142ccの直列4気筒ディーゼル・ターボエンジンに、9速ATが組み合わされます。
エンジンは、170ps/3000-4200rpmの最高出力と、40.8kgf・m/1400-2800rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1940kg。JC08モード燃費は、16.2km/lとなります。
エンジン
2.2Lのディーゼル・ターボエンジンで4輪を駆動。低速からたっぷりとした分厚いトルクを発生するものの、車重が2t近くもあるため、出足から低速域ではややもっさりとした印象です。といっても、街中など日常領域で使用するなら問題ありません。速度を上げるに従ってトルク感が増し、アクセルを軽く踏み込むだけで瞬時に加速することができます。
ディーゼルエンジンとしては、バイブレーションやノイズも小さく、スムーズで上質な回転フィールを持ちます。
この他に、2Lターボエンジン搭載車と、2Lエンジンに電気モーターが組み合わされたプラグイン・ハイブリット仕様、3Lターボエンジンを搭載するAMG仕様が用意されます。
トランスミッション
トルコン式の9速ATを装備。重量級ボディをそれなりに走らせるため、多段式ギアを駆使してきめ細やかな制御を行います。ダイレクト感とスムーズネスを両立した上質なトランスミッションです。
乗り心地とハンドリング
前輪に4リンク式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
乗り心地
重厚感のあるゆったりとした乗り心地。SUV独特のロールの大きさや上屋が揺すられる感じは、最小限に抑えられています。
高速域での安定性も高く、ふらつくこともなく真っ直ぐに直進していきます。
ハンドリング
Cクラスに近いセダンライクなハンドリングです。ややゆったりとしたフィールを残しながらも、ドライバーの操舵に対して素直な反応でこたえます。
MクラスSUVにしては最小回転半径も小さく。狭い路地での切り返しも容易です。
その他
前走者との適切な距離を保って追従する「ディスタンスパイロット・ディストロニック&ステアリングパイロット」が装備されます。これには車線を維持するための「アクティブレーンキーピングアシスト」機能も付属します。
カメラとレーダーを使って常に周りの状況を把握し、車や歩行者との接触を可能な限り防ぐ「アクティブブレーキアシスト」など、「レーダーセーフティパッケージ(先進安全機能)」も充実しています。
試乗評価のまとめ
Cクラスセダンのプラットフォーム(基本骨格)を使って設計された、スタイリッシュな5ドアSUVクーペ。
クーペのような流麗なボディを纏いながらも、室内には必要最小限の空間が確保されています。SUVボディによる腰高感やロールもほとんど感じられず、Cクラスに近いセダンライクな乗り味を持ちます。
そのため、「ワイルドなSUVテイストを感じさせながらも、都会的でスタイリッシュなイメージも捨てがたい」と考えている人にピッタリな都会派SUVとなります。その分、やや後席の居住空間は制限されますが、成人男性二人が座るだけなら問題ありません。
「これでは狭くて使い物にならない」という実用性重視派の人は、素直に無印GLCを選択したほうが無難です。
中古車市場では
まだ新型車が登場して1年も経過していないため、中古車試乗には走行距離の少ない極上車しかありません。「GLCクラス GLC 220d 4マチック クーペ スポーツ」であれば、600万円台前半といったところです(2017年10月現在)。本皮使用であれば、ここからさらに50万円程度上乗せされます。
価格
価格 | 7,180,000円(消費税込み)