今回の旧型レポートは「9代目 トヨタ カローラ ラグゼール」。
2000年から2006年に渡って製造販売されていた、小型の4ドア・セダンです。
トヨタを代表する大衆車で、世界中の工場で大量に生産されています。先代よりもホイールベースと全高を大幅に拡大、使い勝手の良い大きな室内空間を実現しています。
このセダンの他に、5ドア・ステーションワゴンの「カローラ・フィールダー」をラインナップ。同時に、かつて兄弟車として長年生産され続けていた「スプリンター」や、スポーツモデルの「レビン/トレノ」は生産が打ち切られています。レビンといえば、かつてお金の無い若者がなんとか買うことのできる、コストパフォーマンスの高いスポーツモデルとして高い人気を誇っていた車です。こういった車が無くなるのは寂しいですが、それだけこの種の車を買う若者が少なくなってきたという事でしょう。
外観
全長4365mmX全幅1695mmX全高1470mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2600mmとなります。
スムーズなラインで構成されたズングリとしたフォルムが印象的です。ボディのチリ(ボディ・パネルにおける合せ目の幅)が極限まで小さくされ、大衆車とは思えない程のクオリティを感じさせます。
フロント
ふくよかなフロントノーズに、ゆったりとしたラインで構成された大型のヘッドライトが装備されます。のんびりとした癒し系のフロントフェイスですね。
サイド
短いフロントノーズに大型のキャビンが組み合わされ、セダンに「プリウス」のエッセンスを加えたようなフォルムです。
リア
強く傾斜したリアウィンドウに、ハイデッキ化された巨大なトランクスペース。三角形の大きなリアコンビランプがレイアウトされ、力強い印象のリアビューを構成しています。
内装
しっとりとした質感の樹脂に、イミテーションの木目が組み合わされ、クラス標準以上の質感を感じさせます。ずんぐりとしたボディのため、ボディの見切りはいまいちですが、見晴らしの良さは十分です。
シート
立体的なデザインのフロントシートを装備。サイズに問題はありませんが、腰のあたりに体圧が集中しがちです。といっても中距離(30km)程度であれば問題ありません。
ホイールベースが拡大され、リアシートには足元、頭上空間ともに広々とした空間が確保されています。中距離程度であれば快適に移動することができます。
荷室
広々とした広大な荷室容量を持ちます。家族4人であれば、2泊3日旅行からキャンプまで自由に楽しむことができます。
静粛性
クラス標準的レベルの静粛性を持ちます。これ以上静粛性を高めようと思えば、遮音材を増やすしかありません。しかし、カローラクラスの車でそれをやると、パワーに対して重量が大幅に増えるので現実的ではありません。
エンジンとミッション
1794ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、136ps/6000rpmの最高出力と、17.4kgf・m/4200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1080kg。10モード/10・15モード燃費は、15.0km/lとなります。
エンジン
1.8Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。低速域からフラットなトルクを発生する、扱いやすいエンジンです。上り坂から合流ポイントまで、そこそこの加速を得ることができます。
下位グレードには、1.5Lのツインカムエンジンが搭載されますが、日常使いであればこちらのエンジンでも不足はありません。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備。エンジンをしっかりと回して、必要十分のパワーを生み出します。この辺りの制御はトヨタならではですね。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
硬すぎず、柔らかすぎない、中庸な印象の乗り心地です。高速域での安定性もそこそこで、日常の足としては十分です。
目地段差でも、ゴツゴツとした不快な振動を車内に伝えることはありません。
ハンドリング
程よい機敏さを持った中庸なステアリングフィール。ドライバーの操舵に対して素直にノーズの向きを変えます。際立った面白みはありませんが、信頼感の高さと使い勝手の良さが身上です。まさに毎日食べても飽きの来ない「ごはんと味噌汁」といった感じです。
評価のまとめ
ホイールベースと全高が拡大され、広々とした室内空間を実現しています。
動力性能やハンドリング、乗り心地についてはすべてが中庸で尖ったところがありません。その分、車に実用性や使い勝手の良さ、コストパフォーマンスを求める人にとっては、カローラこそ安心して買える理想の車といえます。
普段は通勤や買い物、子どもの送り迎えに使い、週末は家族でドライブに出かけたいというユーザーにピッタリな車です。
といっても、このカローラは年齢層が中高年以上の保守層に固まっています。会社を退職した人で、趣味や買い物、日常の細々とした用事に使える便利な車を探しているという場合にもオススメしたい一台です。
価格
新車当時の価格 | 1,748,000円