今回の旧型レポートは「プジョー 206 XT(2000年)」。
1998年に登場したコンパクトな3ドアハッチバックです。日本市場には翌年の1999年から導入されています。
205の後継車種としてデビューし、その魅力的なスタイリングと小気味いい乗り味、手頃な価格が受けて当時の日本市場で大ヒットとなりました。
外観
全長3835mmX全幅1670mmX全高1440mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2440mmとなります。
ボディラインに情緒豊かな表情が与えられ、キリッとした塊感のある魅力的なスタイリングを構成しています。
フロント
小さく薄いノーズにつり目型のヘッドライトユニットが装備され、快活でキビキビとした印象を感じさせます。
サイド
ボディの隅ギリギリにレイアウトされたホイール、ルーフとノーズの一体化したワンモーションフォルムがひとつになって、モダンで軽快なサイドビューを演出しています。ボディサイドの抑揚によって、硬質な塊感と躍動感を感じさせます。
リア
ヘッドライトのモチーフを踏襲するリアコンビランプに、小さくヒップアップされたリアエンドが組み合わされます。小気味いい硬質感のあるリアビューです。
内装
プラスチッキーで質感は低いですが、シンプルで清潔感のあるインテリアデザインです。
コンパクトな左ハンドル車を無理やり右ハンドル仕様に変更しているため、ペダル位置がやや窮屈。
シート
コロンとした形状の座り心地の良さそうなシートが装備されます。実際の座り心地も快適で、ソフトなタッチの表皮と、どっしりとした重厚感のクッションがバランス良く組み合わされます。長時間座っていても疲れにくいシートです。
リアシートは、足元、頭上空間ともに窮屈です。シートは小ぶりですが、クッションがしっかりとしているため、中距離(30km)程度の使用であれば問題ありません。
荷室
コンパクトカーとしては問題の無い荷室容量を持ちます。リアハッチの開口部が低いため、使い勝手は良好です。
静粛性
ロードノイズ、風切音ともに進入してきます。欧州コンパクトカーであればこんなものでしょう。
エンジンとミッション
1360ccの直列4気筒SOHCエンジンに、5速MTが組み合わされます。
エンジンは、74ps/5500rpmの最高出力と、11.1kgf・m/2600rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量980kg。10モード/10・15モード燃費は不明。
エンジン
1.4Lのシングルカムエンジンで前輪を駆動します。低速からたっぷりとしたトルクを発生する扱いやすいエンジンです。
軽量ボディと相まって、キツイ坂道でもそこそこの力強さで駆け上がります。
トランスミッション
オートマチック一辺倒の日本の輸入車市場において、あえてマニュアル・トランスミッションを中心としたラインナップを投入し、独自のスポーティなイメージを構築することに成功しています。
エンジンにたっぷりとした低速トルクが与えられているため、オートマチック・トランスミッションでも、十分力強い加速を得ることができます。
これに対してこのマニュアル・トランスミッション搭載車であれば、さらにパワフルでスポーティな走りを楽しむことが可能です。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションが装備されます。
足回り
プジョーの足回りは、フランス車としては少し引き締まった乗り味を持ちます。そのため、路面の段差では衝撃を拾いがちですが、ドイツ車のようなゴツゴツ感はありません。
高速域でも安定しており、長距離ドライブも楽にこなす事ができます。
ハンドリング
軽量コンパクトなボディと、スポーティな足回りの相乗効果で、キビキビとした楽しいハンドリグです。ダンピングがしっかりと効いているため、ハイペースでワインディングを攻めても不安定になることはありません。スイスイとミズスマシのように駆け抜けることができます。
ステアリングのキレ角が大きくボディが小さい事が幸いして、高い小回り性能を持ちます。
評価のまとめ
魅力的なボディスタイルとキビキビとした快活な走り、何より手頃な価格設定がこのプジョー206の大きな魅力です。
東京などの都心部ではこの取り回しの良いコンパクトなボディがぴったりとはまります。普段一人しか乗らないのであればこの3ドアで十分ですが、「土日には友達や家族とドライブに行くこともある」という人には、5ドアハッチバックをオススメします。ただし、1.6Lの5ドアではマニュアル・トランスミッションを選択することはできません。
価格
新車当時の価格 | 1,650,000円