今回の旧型レポートは、「ジャガー XK8 クーペ(X100)」です。
このジャガー XK8 クーペは、1996年にデビューしたラグジュアリー・スポーツクーペです。
この2+2シートを備える2ドアクーペの他に、電動式ソフトトップを装備するコンバーチブルがラインナップされていました。
ベースモデルにはV型8気筒エンジンが搭載されていたため、「XK8」の呼称が使われます。
先代のXJ-Sは、XJのコンポーネントを使って仕立てられたスポーツラグジュアリークーペでした。実質的にそのXJ-Sの後継となるこの「XK8」にも、パーソナルでラグジュアリーなキャラクターが与えられています。
外観
全長4770mmX全幅1830mmX全高1295mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2590mmとなります。
いかにもイギリス車らしい、クラシックな雰囲気の流麗なスポーツクーペです。
フロント
かつてのジャガーEタイプの面影を残す、スポーティなフロントフェイス。複雑な曲線で構成されたヘッドライトがなんともエロチックです。
サイド
低く地を這うような薄いボディに小さなキャビンが組み合わされ、ロングノーズ&ショートデッキの美しいプロポーションを構成します。
リア
小さく尻しぼみに収束するリアエンドに、クラシックな丸いリアコンビランプがレイアウトされ、しっとりとした上質感が漂います。
内装
いかにも英国車といった風情の巨大なウォールナットが、ダッシュボードに組み付けられています。上質なレザーとしっとりとした樹脂が組み合わされ、極上の室内空間を演出しています。華やかな雰囲気のわりに、意外と造形はシンプルにまとめられているため、使い勝手も良好です。
大きなボディサイズの割に室内空間はタイトで、適度な包まれ感があります。
シート
上質なレザーとしっかりとしたクッションが組み合わされた、快適なフロントシートが装備されます。
リアシートはあくまでも緊急用の小さなシートですから、あくまで荷物置き場として使うしかありません。コンバーチブルでは電動トップが装備されるため、さらに頭上空間が圧迫されます。
荷室
巨大なボディを有効に活用して、荷室には広大なスペースが確保されています。2人乗車であれば、旅行からゴルフまで様々なシーンで使うことができます。
静粛性
静かでスムーズなエンジンと、たっぷりと奢られた遮音材によって、室内には静かで上質な空間が広がります。
エンジンとミッション
3996ccのV型8気筒DOHCエンジンに、5速ATが組み合わされます。
エンジンは、294ps/6100rpmの最高出力と、40.0kgf・m/4250rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1640kg。10モード/10・15モード燃費は、7.1km/lとなります。
エンジン
かつてのV12エンジンは廃止され、新開発のV8オールアルミエンジンに換装されています。静かでスムーズなフィールを持つ力強いパワーユニットです。
急な上り坂や合流地点など、あらゆるシーンで流れを先行する事ができます。
トランスミッション
力強い低速トルクを十分に活かし、低い回転を保ってゆったりと変速していきます。変速フィールもスムーズで、XK8の上質な世界観を壊すことはありません。
足回りとハンドリング
前輪にダブルウィッシュボーン式サスペンション、後輪にはウィッシュボーン式サスペンションが装備されます。
足回り
大きなボディに大径ホイールが組み合わされるため、ヒラヒラとした軽快な動きは期待できませんが、しっとりとした極上のフィールを伴った快適な乗り心地です。低速域からしっかりとサスが動くため、車内に不快な衝撃を伝える事もありません。
ハンドリング
ゆったりとした乗り心地に合わせ、ハンドリングスピードも比較的緩やかです。ドライバーの操作量に対して正確にノーズが向きを変えるため、操る気持ち良さにあふれています。
評価のまとめ
古いアメリカ車が持っていた、「パワフルなエンジンでゆったりと走る」という方向性を、そのままイギリス流プレミアムスポーツとして翻訳したような車です。
その狙いは十分な成功を収め、古い車の価値観を残した素晴らしい車となっています。ただし、その分、環境性能や燃費など現代の車に求められる性能は今ひとつです。
このXK8登場からさらに時代は厳しさを増し、現代では高級車であってもそれなりの環境性能が求められます。そのため、古き良き高級車の贅沢感を味わうには、この世代の車を物色するしかありません。
価格
新車当時の価格 | 8,880,000円