車に付いてるブレーキは、高速で移動する重い自動車を一瞬で減速、もしくは停止させるための需要な部品です。
といっても基本的な仕組みはシンプルで、ディスクブレーキの場合、タイヤと一緒に回転する「ブレーキローター」を、ボディ側に固定された「ブレーキパッド」で強く挟み込んで減速するようになってます(正確には運動エネルギーを熱エネルギーに変換して減速している)。
というわけで、構造上「ブレーキローター」と「ブレーキパッド」の間に「油」なんかの滑りやすい物質が入り込むと、お互いが滑って上手く制動力が発揮できません。
「ブレーキクリーナー」は、こういったブレーキに付着した「油汚れ」を、キレイに除去するために開発されたケミカル用品です。
今回はこの「ブレーキクリーナー」について、使い方と共に使用上の注意点なんかを絡めながら詳しく解説してきます。
ブレーキクリーナーの概要
ブレーキパッドを交換する時は、可動部分に潤滑系のケミカル用品を塗布しておくとやりやすいです。潤滑剤によって可動部分の動きがグッとスムーズになるからです。ただし、ブレーキパッドやブレーキローターの摩擦部分に潤滑剤を塗布しちゃいけません。車を止めようとしてブレーキを踏んだ時に、ブレーキパッドとブレーキローターが滑って、十分な制動力が得られないからです。
といっても人間のやる事なんで、どんなに注意していても「ついうっかり」なんてことはあります。そんな時こそ「ブレーキクリーナー」の出番です。ブレーキパッドやライニング、ブレーキローターに付着した「潤滑系のケミカル用品(潤滑剤)」を、「ブレーキクリーナー」を使って除去しておきましょう。
呉工業から発売されている「ブレークリーン」
呉工業から発売されている「ブレークリーン」は、そんなブレーキクリーナーの一種で、扱いやすいスプレータイプになってるのが特徴です。
スプレータイプなんで、シュッとスプレーするだけで霧状に拡がって複雑な機械部分にも簡単に入り込みます。ということで、機械部分を分解することなく内部を綺麗に洗浄できるんです。さらに、スプレー缶を逆さにしてもスプレーできるようになっていて、手元スペースの制限された狭い場所でも作業がやりやすいです。
スプレーされた後は汚れを浮き上がらせ、下へ下へと流れ落ちます。配合されている溶剤の揮発性が高いため、下へ流れ落ちた後はすぐに蒸発するんで、面倒な拭き取り作業もいりません。
油脂分を洗い流す力は強力で、ブレーキパッドの洗浄だけじゃなくて、油脂分の付着した機械部品や硬く固着した鍵穴などの洗浄も得意種目です。
ブレーキクリーナー(ブレークリーン)の使い方
ブレーキクリーナー(ブレークリーン)の使い方について説明します。
まず、缶を2、3回カラカラと振って、内部の成分を混ぜ合わせてください。次に、キャップにはめ込まれているストロー状の細長いノズルを外し、スプレー缶の先端にはめ込みます。カチッといった分かりやすい手応えは無いんで、とにかく奥までギュッと差し込む感じです。
ブレーキパッドやキャリパーに吹き付ける場合はタイヤホイールが邪魔なるんで、作業の前にジャッキアップして外しておきます。この時、リジッドラック(ウマ)があれば、安全のためボディ下側にはめ込んでください。さらに万全を期するため、ボディ下側にブロックや外したタイヤホイールを挟み込んでおけば万全です。これはウマが外れた時の保険なんで、ボディにガチッと挟み込む必要なありません(ボディに直接当たるとホイールが傷つくし)。
タイヤホイールを外すと、すぐにブレーキキャリパーやブレーキローターが顔を出しますので、まずはブレーキキャリパーにブレーキクリーナーを吹き付けてください。ブレーキキャリパーの汚れにブレーキクリーナーが吹き付けられると、すぐに黒い液体となって浮かび上がり下へ下へと流れはじめます。
続けて、ブレーキローター全体にも満遍なくブレーキクリーナーを吹き付けてやりましょう。汚れにブレーキクリーナーが吹き付けられると、浮かび上がって下へと流れ落ちます。下が白いコンクリやタイルになっていて汚したく無い場合は、大きめのトレーで流れ落ちる汚れを受け止めるようにしておくと安心です。「別に黒いシミが残っても気にしないよ」ってことなら、溶剤自体はすぐに揮発して無くなるので、後処理の面倒がありません。
ブレーキクリーナー、使用上の注意点
ブレーキクリーナーは汚れや油脂分をあっという間に流し落とす優れた洗浄剤です。しかし、潤滑剤を必要とする場所に間違ってスプレーすると、本来その機械が必要とする潤滑性まで奪ってしまいます。スプレーする場所の近くに潤滑性を必要とするパーツがある場合は、あらかじめ新聞紙やウェスなどでスプレーが掛からないようにマスキングしておいてください。
また、ブレーキクリーナーを汚れや油脂分にスプレーすると、すぐに汚れを浮き上がらせて下へと流れ落ちます。作業をする場所を汚したくない場合は、トレーなどで汚れを受け止めるといいでしょう。