リジッドラックとは、ジャッキで車体を持ち上げた後、ある程度の高さ(作業のしやすい)で車体を固定し安定させるためのツール。「リジット」と「ド」が濁らない表記も見かけますが、英文の綴が「rijid」となっていますので「リジッド」と濁るのが正解です。通称「ウマ」と呼ばれることもあります。
がっしりと広がる土台部分に支柱が組み合わされる形状で、この支柱先端を自動車の側面下部(サイドシル)に「つっかえ棒」のように噛ませることでボディを支える構造です。そのため、支柱先端にはボディを傷つけずしっかりとホールドするための、分厚いゴムが装着されている場合もあります。
リジッドラックの概要
パンクしたタイヤをテンパータイヤに交換したり、サマータイヤをスタッドレスに交換する場合は普通の車載ジャッキだけで十分な作業が行えます。
ただし、車載ジャッキは「構造が簡単で軽量」という長所の反面、不安定なので車の下に人間が入るような本格的作業には向きません。
そのため、本格的な作業を行う場合はなんらかの方法で車体をガッチリと固定必要があります。今回紹介する「リジッドラック」は、こういった用途のために考案されたツールです。
リジッドラックの使い方
「車載ジャッキ」と「リジッドラック」を掛ける場所は、「ジャッキポイント」と呼ばれる場所で車体に4箇所しかありません。つまりボディの構造上、「車載ジャッキで車体を上げリジッドラックを噛ませる」という行為ができないのです(車載ジャッキが「ジャッキポイント」を占領しているため、近くにリジッドラックを噛ませる場所が無い)。
そこでリジッドラックを使う場合は、車体のフロント中央やリア中央に噛ませることのできる「ガレージジャッキ」を使います。
ガレージジャッキでジャッキアップする
リジッドラックを車体に噛ますには、まず「ガレージジャッキ」を車体下部、フロント中央に掛け、車体を作業のしやすい高さまでジャッキアップします。
ガレージジャッキの詳しい使い方については、「ガレージジャッキとは【工具の紹介】」をごらんください。
リジッドラックを車体側面下部(サイドシル)に噛ませる
自動車がジャッキアップできたら、前輪のすぐ後ろに設置されている左右の「ジャッキポイント」に「リジッドラック」を噛ませます。
ジャッキポイントの場所は、サイドシル(車の側面下部)下側に三角や矢印のマークが印してあるのですぐに分かります。次にそのマークの奥、フレーム部分にあるプレートの「切り欠き」を探してください。その「切り欠き」が車載ジャッキやリジッドラックを噛ますための「ジャッキポイント」です。
ジャッキポイントにリジッドラックを噛ませる際は、リジッドラックの支柱先端、ボディと接触する部分に分厚いゴムを設置して、ボディがリジッドラックで傷つかないように養生しておきましょう。フロント側左右のジャッキポイントにリジッドラックが設置できたら、ガレージジャッキをゆっくりと下ろし、車体をリジッドラックの上に載せます。
簡単な作業ならフロント側左右にリジッドラックを噛ませるだけで十分ですが、車体を完全に持ち上げて作業をしたい場合は、リア側をガレージジャッキで持ち上げ、リア側の左右(ジャッキポイント)にもリジッドラックを設置しましょう。
リジッドラック使用上の注意
リジッドラックは車載ジャッキより安定しているとはいえ、平坦な路面で使うことで始めて十分な性能を発揮するように設計されています。柔らかな土や砂利の上ではなく、アスファルトやセメントなど平坦で固く安定した場所で作業してください。
車の下に入って作業する時は、リジッドラックの他にタイヤやブロックをボディ下部に緩く噛ませておきましょう。万が一リジッドラックが外れても、それが支えとなってあなたの身体を守ります。
リジッドラックは、左右対称になるように同じ商品とサイズを揃えます。設置する場所や高さも左右で同じになるように調整してください。左右の強度や高さが違うと、車体を安定して支えることができないからです。