今回は「3代目 VW ゴルフ CLi 3ドア(1H)1997年式」を試乗レポートいたします。
この3代目 VW ゴルフは、1991年から1997年に渡って製造販売されていました。日本市場への導入は1992年です。
ゴルフ3は、1.8L3ドア版の登場で200万円台の大台を切ることになり、その後のVW躍進の大きな礎となりました。
当時、このゴルフハッチバックと同時期に発売されていたセダンのヴェントとステーションワゴンのヴァリアント、合わせて約43000台の売り上げを達成しています。
外観
全長4020mmX全幅1695mmX全高1435mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2475mmとなります。
けれんみの無い真面目で重厚感のあるスタイリングです。先代のゴルフ2よりボディの角に丸みがあり、柔らかな優しさも感じられます。
フロント
フロントフェイスには直線基調で男らしい表情が与えられています。ヘッドライトが前面パネル内におさまりサイドに回り込んでいません。これは、プラスチック製の異形ヘッドライトにしては珍しいデザイン処理です。この処理のおかげもあって真面目なスタイリングながら強烈な個性を放ちます。
サイド
サイドは極太のCピラー(前から3番目の柱)が印象的な質実剛健なスタイリングです。このCピラーの処理はその後現在のゴルフ7まで脈々と受け継がれる事になります。
リア
リアエンドのモチーフは先代ゴルフ2のモノがほぼそのまま継承されています。ただ、ボディに柔らかな丸みと重厚感が加えられているため、印象は随分と変わって見えます。
内装
黒い樹脂で成形された無骨な内装です。ただ、当時同クラスの車と比べると、クリーンで完成度の高いデザインで長く使っていても飽きることはありません。
シート
フロントシートは最新型ゴルフと比べると若干細身に見えますが、中には剛性感のあるクッションと硬いバネが装備されており、腰に耐圧が集中して痛くなる事を防いでいます。
リアシートには十分なサイズのシートバックと座面が装備されており、フロントシート同様に疲れにくい構造です。
荷室
荷室はセダンのヴェントには及びませんが、必要十分な容量が確保されています。2人の日帰り旅行程度なら十分にこなせます。
エンジンとミッション
1780ccの直列4気筒SOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、91ps/5500rpmの最高出力と、14.5kgf・m/2500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1110kgで、10モード/10・15モード燃費は、10.4km/lとなります。
低速域から必要最小限のトルクがきっちりと出ており、街中でパワーが不足することはありません。合流や坂道でも一人乗車なら十分な余裕があります。
ゴルフ3の初期型に搭載されていたトランスミッションは、70km/hくらいまでは3速のまま引っ張るという設定です。これはドイツ本国の高速走行を念頭においたセッティングのため、日本で使うにはぎくしゃくとして少々使いにくいモノです。しかし、この1997年式ゴルフ3後期型では、その部分が大幅に改良されており日本の交通モードでも違和感なくスムースに走ることができます。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
また、前後ともにスタビライザーで強化されています。
FF3ボックスカーのお手本と言われているだけの事はあり、素直なステアリングフィールでドライバーの意思に忠実に反応します。
路面のジョイントや目地では「ドタドタ」と衝撃を車内に伝えてしまいますが、不快なレベルではありません。また、高速域では抜群の安定性を誇り、長時間運転していても疲れません。
評価のまとめ
この当時、ゴルフの1.8Lと2.0Lはどちらを選ぶか非常に悩ましい選択でしたが、この「CLi」3ドアグレードの登場で1.8Lが一気に安くなり、圧倒的に1.8Lの商品価値が高くなりました。
装備やエンジンパワーなどを考えると少しだけ2.0Lの方が良いのは確かですが、65万円の価格差ほどの違いはありません。また、主要な安全装備に違いがないというのも大きな魅力です。
「ほとんど前席にしか乗らない」「なるべく安く外車に乗りたい」「走りや安全性はしっかりしたものが欲しい」という欲張りなユーザーにピッタリの一台です。
価格
新車当時の価格 | 1,990,000円