今回は「新型 トヨタ アイシス プラタナ」を試乗レポートいたします。
トヨタアイシスは、2004年に登場した全く新しいブランニューモデルです。また、マイナーチェンジを重ねながら、11年以上に渡って販売が続けられているロングランモデルでもあります。
外観
全長4640mmX全幅1710mmX全高1640mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2785mmとなります。
どことなく先代のセレナを彷彿とさせるようなミニバンらしい真面目な外観です(厳密にはアイシスの登場が先なので、似ているのはセレナの方ですね)。
サイドビューは、キャラクターラインがノーズからリアまできっちりと引かれており、几帳面な人に好まれそうな真面目なデザインです。
リア周りは、シンプルな縦型リアコンビランプがレイアウトされており、ボクシーやノアなどと共通する直線基調の端正なデザインです。
内装
内装はクラス標準レベルの質感です。メーターバイザーがゆるやなか弧を描きながら、メーター周りに適切な影を作り出しており、使いやすく美しいデザインです。トヨタが奇妙で奇天烈なデザインに走る前の、オーソドックスで落ち着きのあるデザインです。
シートに使われている新しい素材には、車内の臭いを脱臭する機能が加えられています。
前席シートは、体圧が集中しがちで、腰椎サポートの弱い構造です。子供の送り迎えや、買い物など、中距離(40km程度)を中心に使う場合は問題ありません。
セカンドシートの構造も前席に準じるものですが、シートバックの高さ、座面の長さや傾斜などに問題はありません。
サードシートは、構造が平板でサイズも小さく、緊急用と割り切った使い方が必要です。
センターピラーを電動ドア内部に一体化することで、ドアを開けた時にセンターピラーのない大きな開口部(幅1890mm!)を実現しています。この工夫のおかげで、開放感とともに、乗り降りの利便性が大きく向上しています。
また、このセンターピラーレス電動ドア(パノラマオープンドア)を有効に使った福祉車両も開発されています。
荷室は、前後長が短いものの、高さにはたっぷりとした余裕があり、積み方を工夫することで家族で1泊旅行くらいはこなせそうです。また、緊急用のサードシートを畳むことで、その分を荷室スペースとして利用することができます。
車内に後輪が配置されているため、ロードノイズの侵入は大きめです。
エンジンとミッション
1797ccの直列4気筒DOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、143ps/6200rpmの最高出力と、17.6kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は1440kgで、JC08モード燃費は、15.4km/lとなります。
バルブマチックの搭載されたトルクフルなエンジンに、高効率なCVTが組み合わされ、日常域での力不足はありません。重量のあるミニバンボディを力強く加速させてくれます。
上り坂や合流などでももたつくことはありません。必要十分な動力性能です。
組み合わされるCVTは、特にこれといって特筆するような特徴のない、ごく普通の普及型CVTです。任意なギアに変速するためのパドルシフトが装備されていますが、これもスポーツ走行のためというより、坂道などで適切なエンジンブレーキを使うための装備です。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
また、前後ともにスタビライザーで強化されています。
初期型の油圧式ステアリングから、現代的な電動ステアリングに換装され、軽快で取り回しのしやすい操舵感に仕上がっています。その分、操舵フィールは薄れていますが、このようなミニバンでは女性が運転することも多く、取り回しのしやすさは大切な要素ですから、このセッティングに間違いはありません。
数度のマイナーチェンジを経て、ゴツゴツ感が随分と軽減されています。しなやかでしっかり感のある足回りです。
評価のまとめ
発売から11年以上が経過し、さすがに設計の古さが目立ってきました。そのため、ライバルの多いこのジャンルで勝ち残って行くのは厳しい状況です。
ただ、端正で真面目な外観、サンターピラーレスという特徴的な装備など、この車ならではの魅力も未だに健在です。また、数度のマイナーチェンジを経て、機械としての熟成も完成の域に達しています。このデザインが好きで、しっかりと値引きをしてもらえるなら、まだまだ選ぶ価値のあるモデルだと言えます。
価格
価格 | 2,203,200円(税込み)