新型 ルノー・カングー ゼン EDC【試乗評価】おしゃれで実用的な車 [ABA-KWK4M]

ルノーカングー側面画像

「新型 ルノー・カングー ゼン EDC」はCセグメント(小型)に属するハイト系ワゴンで、フランス本国では2007年から、日本では2009年から販売されてます。

日本のコンパクトミニバンとはちょっと毛色が違っていて、ふあ~んとしたおしゃれな内外装や座り心地の良いシート、ルノーらしい快適な乗り心地で人気が高いです。反面、日本車のような巧みなシートアレンジや、最先端の先進安全技術、超絶優秀な燃費性能はありません。まあ、そんなところも含めて独特の魅力になってるんですけどね。

2016年。そんな「ルノー・カングー」に、「1.2リッター直列4気筒ターボエンジン」とデュアルクラッチ式AT「6速EDC」を組み合わせた新しいモデル「ゼン EDC」が追加されました。今回紹介するのはその新グレードです。

じっくりと読む時間の無い人は、文末の「【試乗評価】のまとめ」をどうぞ↓
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「新型 ルノー・カングー ゼン EDC」の概要

1997年に登場した「初代カングー」は、「初代クリオ」をベースにした商用車。その優れた乗り心地と使い勝手の良さから乗用モデルとして使う人も多く、いわゆる「足車」としてガンガン使い倒されていました。

これに対して日本市場での立ち位置は特殊で、「足車」というよりは「おフランスの薫り漂うちょっとおしゃれな車」という感じ。その証拠にカングーの広告や公式サイトでも、おしゃれ系のカップルや家族がたくさん登場してました。もちろん、広々とした室内や使い勝手の良さもあるんで、一粒で二度美味しいって感じです。

2007年に登場した「2代目カングー」は、初代のコンセプトをほぼそのまま受け継ぐキープコンセプトモデル。といっても今回はひとクラス上の「2代目メガーヌ」がベースなんで、ボディもそれに合わせて一回り大きくなってます。

プラットフォームは「日産・ラフェスタ」と同じ

プラットフォーム(車台)は、同じアライアンスを組む日産と共同で開発した「Cプラットフォーム」です。「ルノー・メガーヌ」や「ルノー・セニック」、「日産・ラフェスタ」も同じプラットフォームを使ってます。

日本国内にライバルはいない

サイズ的には「ホンダ・フリード+(5人乗り)」や「トヨタ・シエンタ(5人乗り)」がライバルですが、カングーの方が車両本体価格が少々お高いです。キャラクターも大分違いますしね。値段で比べると「トヨタ・ヴォクシー」や「日産・セレナ」あたりになりますが、これだと完全に中小型のミニバンなんでガチンコのライバルにはなりにくいです。

2013年にマイナーチェンジ

2013年にマイナーチェンジ。フロント周りを中心にフェイスリフト(外観の小変更)を実施してます。

2014年に新世代パワーユニット「1.2リッター直列4気筒DOHCターボ」を搭載したグレードが登場。ただし、この時は「6速MT」のみで「AT」の設定はありません。ATモデルは相変わらず「自然吸気1.6リッターエンジン」+「4AT」のままです。

2017年。その新世代パワーユニットに待望のデュアルクラッチ式AT「6速EDC」が付きました。これで、全モデルが「新世代パワーユニット」に切り替わったわけです。

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外観

ボディサイズ、全長4280mmX全幅1830mmX全高1810mm。ホイールベース、2700mm。

旧モデルと比べると全長で245mm、全幅で155mm大きくなりました。ただし、全高だけは1810mmのままで変わりません。ということで、トールボーイ感は先代の方が強いです。

フロント

ルノーカングー前面画像

マイナーチェンジで水滴型のヘッドライトが、四角い形(角は丸いけど)に変わってます。グリルもモダンなグリルレス(空気孔が無い)タイプから、力強いシングルバータイプになりました。全体の印象としては、優しいユーモラスな感じが薄れ、ちょっとだけ重厚感が増した感じです。

サイド

サイドビューは、背の高いキャビンに短いノーズをくっつけたトールボーイスタイル。スクエア(四角)な形状を基本にしつつも、角に大きな丸(アール)が使われているんで、実用性とユーモラスなキャラクターがうまいこと両立してます。どちらかといえば「カンガルー」というよりは、「カバ」みたいいなイメージです。

リア

リア周りは四角い大きな面で構成されてますが、日本の商用車と違って変なプレスラインが無くスッキリとしているんでカッコいいです。リアウィンドウがゆったりとした曲線でデザインされてるのも効いてます。

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内装

ルノーカングー内装画像

ルーフが高く窓が大きい、しかもフロントウィンドウがかなり前方にあるんで実際以上に広く感じます。室内にたくさんの光が入りこむこともあって、とにかく明るい印象です。

プラスチックの質感は日本のコンパクトミニバンと比較すると、質素な印象。元々が商用車として設計されてるんで、鉄板がむき出しになっている場所も多いです。それでもデザインがモダンでシンプルなんで、貧乏くさい感じはありません。

ルノーカングーステアリング画像

ステアリングの調整は上下角を変えるだけで、手前に引き出すことはできないです。ただし、シート形状とポジションが適正なんで、シートの調整機構と合わせて調整すれば、自分の体型にピッタリと合わせられました(175センチ75キロ胴長短足の場合)。

シート

マイナーチェンジでシート表皮が変更されて、3トーンの新しいデザインになりました。乗り心地に関わる、基本的な構造は変わりません。

フロントシートは、ヒップポイントが高く座り心地が良いです。適度なサイドサポートのある3D構造で、体をシート全体でもっちりと支えます。クッションが厚く、シート表面の柔軟性も十分。長距離ドライブでも身体が痛くなりにくい構造です。

ルノーカングー後席シート画像

リアシートはベンチシートタイプですが、3つのブロックに別れていてしっかりと3人が座れます(真ん中はちょっと狭い)。「カタログ上は3人座れるけど、シートの中央が盛り上がっていて実際は3人しか座れない」って車も多いのでこういうのは地味に嬉しいです。

荷室

カングーは元々商用車として設計された車なんで、荷室が広くて、しかも使いやすいです。

リアゲートは左右に開く観音開き式。途中に2段階のストッパーがあるので、都合の良いドアの開き具合が選べます。狭い場所で荷物を出し入れする時に便利な機能です。

荷室の前後長は600mmほどですが、全高が高く、荷室形状も真四角に近いため使い勝手は良好。実際の容量も660リットルと結構あります。もちろん、リアシートの背もたれを倒して折りたためば、さらに広々とした荷室が広がります。

静粛性

新世代のダウンサイジングターボは、ノイズやバイブレーションが少なく、回転フィールもスムーズ。1.4リッターエンジンと比べると、随分静かになりました。ロードノイズもしっかりと抑えられていて、車全体の静粛性は高いです。商用車として設計された車とは到底思えませんねえ。

エンジンとトランスミッション

1197cc直列4気筒DOHCターボエンジンに、6速AT(デュアルクラッチ)を搭載。
カタログスペックは、最高出力115ps/4500rpm、最大トルク19.4kgf・m/1750rpm。

車両重量1450kg。JC08モード燃費、14.7km/l。

エンジン

2.0リッターのツインカムターボで前輪を駆動(FF)。

2017年の改良で、ATモデルにも「1.2リッターのダウンサイジングターボ」が搭載されました(MTモデルは2014年から)。トランスミッションもトルコン式4ATから、ディアルクラッチ式「EDC」に換装されてます。

それまでの「1.6リッター自然吸気エンジン」は街中を普通に流す分には十分でしたが、正直、加速や坂道では物足りなかったです。これに対して新型の「1.2リッターのダウンサイジングターボ」は、低い回転から分厚いトルクが出るんでかなり乗りやすくなってます。平坦な道は当然として、坂道でもぐんぐん加速。荷物や人を満載していてももっさり感はありません。

ターボエンジンというより大排気量自然吸気エンジンに近いフィールで、アクセルを踏むとリニアにトルクが湧き上がります。旧来の「1.6リッター自然吸気エンジン」と比べると、静かで回転フィールもスムーズ。このあたりは、共同開発した日産の「直噴技術」のおかげでしょう。

トランスミッション

カチッとした変速フィールのVW製デュアルクラッチ式AT「DCT」と違って、トルコン式ATに近い穏やかなフィールです。ダイレクトな歯切れの良さよりスムーズさを重視しているんで、カングーののんびりした雰囲気にはあってます。

デュアルクラッチ式特有のギクシャク感が無いのも美点ですね。

乗り心地とハンドリング

前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションを装備。

乗り心地

装着タイヤは、195/65R15。

最近のフランス車はどんどん足回りの剛性を高める傾向にありますが、カングーには古き良きフランス車の味わいが残ってます。

荒れた路面では、サスがしなやかに上下して路面からの不快な衝撃をまろやかに吸収。良くできたシートのおかげもあって、不思議なくらい乗り心地が良いです。少々低級なノイズが気になりますが、これは商用車として車体の強度を上げているためでしょう。

カングーは2007年に登場した設計の古い車ですが、長年の熟成によって乗り心地と走行安定性が格段に良くなってる感じです。今から買っても損の無い、良い車だともいました。

ハンドリング

カングーは背が高く、足回りも柔らかなんで、ステアリングフィールはいたって穏やかです。キビキビとした切れ味の良さはありませんが、安定感が高く操舵に対する反応も素直。長いサスストロークをたっぷり使って気持ち良く曲がります。

コーナリング中はそれなりに車体を傾けますが、車体の傾きを利用して動物のようにコーナーを曲がるんで、嫌な感じはありません。

リアの接地性が高く、コーナリング中はしっかりと路面を捉え続けます。サスが少し沈んだところでジワッと粘りはじめるんで、多少乱暴にステアリングを切っても腰砕けになることは無いです。

最小回転半径は、5.4m。ボディサイズを考えれば、標準的な小回り性能でしょう。狭い路地でも取り回しに苦労することはありません。

【試乗評価】のまとめ

日本のミニバンのように巧みなシートアレンジや燃費の良さ、先進の安全技術は無いけど、カングーにはおしゃれな内外装と気持ちの良い独特の乗り味、素直なハンドリングがあります。

カングーは元々、乗用車をベースに商用に使える車として設計された車です。ということで、広々とした室内と荷室、使い勝手の良い小物入れを活かして、ファミリー向けのミニバンとか独身者の遊び車として使っても十分期待に応えてくれます。特に日本ではそういった用途で使う人がほとんどでしょう。

個人的には、ちょっとおしゃれな花屋さんやパン屋さんにガシガシ使って欲しいですが。まあ、実際は日本のミニバンでは満足できないおしゃれ系の人に買われることが多いんです。

新車価格

ZEN EDC(6速EDC)2,647,000円(消費税込み)

ZEN 6MT(6速MT)2,546,000円(消費税込み)

ABOUTこの記事をかいた人

akiroo

クルマ好きの40代男性。現在病気のため療養中です。

ブログは暇つぶし&リハビリ。週2で短時間のアルバイトをしていますが、普通の人のように毎日フルタイムで働くことはできません。

ブログの内容はあくまで秋ろーの個人的見解です。実際に車や商品、サービスを購入する際は、自分で試乗や調査をして確かめることをオススメします。

記事更新の時間は、大体、午後11時から12時頃にかけてを予定しています。

修正ばっかりしてると新記事の投稿ができないんで、新記事3に対して修正1くらいの割合でやってます(2019年6月〜)