今回は「アルファロメオ156」をレポートします。
先代155ではマイナートラブルが多かったアルファロメオですが、この156になってから格段に信頼性が向上しています。
しかし、今や10年以上前のイタリア車ですから、電装系や、セレスピードの故障には注意が必要です。
外観
アルファロメオスパイダーやGTV、フィアットクーペやバルケッタなど、この当時のイタリアには素晴らしいスタイリングの車がたくさんありました。
この156のスタイリングも素晴らしく、それまでの直線基調の155とは趣がまったく異なり、ふくよかでエロチックなボディラインです。
小さめのグリルとヘッドライトが少し中央寄りにレイアウトされており、短いフロントオーバーハングと相まって、非常に端正なスタイルです。
丸いガソリンリッド、これ見よがしなプレスラインのないフェンダー、バルケッタに通じるような筋立ったキャラクターライン、リアドアのグリップを隠す処理、こういった小さく丁寧なデザインを施すことで、156には自動車の日常性があまり感じられません。
これが、ロマンチックでそこはかとなくクラシックな雰囲気を生んでいるのでしょう。
内装
内装もクラシックな趣を残す、モダンでかっこいいデザインです。
眼前に鎮座する大きなメーターは、昔の電球のように暖かいオレンジ色の発色です。
シートの皮も上質でスポーティです。皮の張り方に昔のスポーツカーのモチーフが引用されており、クラシックなムードがあります。
シフトは大きくて長いもので、ストローク自体も大き目です。
あえて小さめに作られた物と、こいうシフトやメーターのように、普段見慣れたものより明らかに大きいデザインが対比され、一種独特で異様な雰囲気を生んでいます。
これにクラシックな雰囲気が組み合わされ、特別でロマンチックなアルファロメオの世界が生まれています。
エンジンとミッション
2.5LV6エンジンと6速マニュアルミッションが組み合わされています。
このエンジンは156が登場した時点で、すでに20年以上たっていましたので、もはやビンテージ品の域です。古き良き自動車の趣があります。
管弦楽器を思わせるような、高音域で抜けるような気持ちいいエンジン音です。
このエンジンは低速から太いトルクを発生しますが、4000回転以上ではさらに快音を響かせながらぐいぐいと加速します。
トルクの付きの良いリニアで自然なフィールのエンジンです。
このエンジンはその数値より、実際に走らせた時の気持ちよさや、官能的な質感に魅力があります。
足回りとハンドリング
柔らかいというわけではありませんが、ある程度ロールをゆるす設定の足回りです。
コーナーではこのロールを生かしながら、サスが沈み込んだところで旋回力を得るという独特のハンドリングです。
ハーシュネスの処理も見事で突き上げ感はありません。フラットライドな乗り心地です。
155までの足回りの華奢な感じは消えて、少しドイツ車の乗り味に近づいています。
評価のまとめ
この156は大ヒットとなり世界中で売れまくりました。
少しドイツ車的な乗り味となり、それまでのアルファロメオの欠点が見事に消えています。
かといって、完全にドイツ車のようになっているわけでもなく、依然としてアルファロメオの魅力を残していたのが、当時人気となった理由です。
この後登場した「159」も良い車だったのですが、デザインスタイリングで156を上回る事はできませんでした。
現在、アルファロメオにはこのクラスのセダンがありませんが、近い将来「ジュリア」という名前の後輪駆動車が発売されるそうです。
久しぶりのアルファロメオの後輪駆動車です。どういうキャラクターの車になるのか今から楽しみです。
主要諸元
全長X全幅X全高 | 4430mmX1755mmX1415mm