今回の【評価レビュー】は「新型 日産 エルグランド 250 ハイウェイスター プレミアム(3代目・2WD)」。
2010年にフルモデルチェンジした、Lクラスの高級ミニバン(5ドア)です。
今やミニバンは、日本市場でコンパクトカーや軽自動車と並び高い人気を誇るカテゴリー。その中でも上級Lクラスミニバンと言われるクラスは、昭和の時代にクラウンが担っていた「憧れの存在」とも言うべきプレステージ性の高いクラスです。
といっても何故か海外では日本ほどの人気は無く、この「エルグランド」もほぼ日本だけで販売される日本専用モデル。荷物を積むためのバンでは無く、人や荷物を積んで快適に移動するための高級乗用車として設計されています。
今回のモデルチェンジでは、先代のFRプラットフォーム(基本骨格)からFF専用「Dプラットフォーム」へと変更され、広々とした室内と快適な乗り心地。高い運動性能を実現しています。それに伴ってボディも一回り拡大され、エルグランドの押し出しの強さをさらに強調しています。
そんなエルグランドの中でもこの「ハイウェイスター」は、専用エアロを装備したスタイリング重視のグレード。見た目のカッコよさが受けて、一番人気の高いグレードとなっています。
2014年にはマイナーチェンジが実施され、内外装の小変更と装備品や細部のアップデート。グレード体系の見直しなどが行われています。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4945mmX全幅1850mmX全高1815mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは3000mmとなります。
フロント
ぶ厚いフロントノーズに巨大なグリル(シルバー)。二段構えのヘッドライトや、ハイウェイスター専用フロントスポイラーが装備され、上級ミニバンにふさわしい威風堂々とした佇まいをみせます。
サイド
長いホイールベース(前後ホイール間の長さ)に巨大なキャビン(居住空間)。フィンタイプの大径18インチアルミホイール、控えめに施されたクロームメッキ・モールドが組み合わされ、重厚感あふれるサイドビューを構成。
リア
張りのある四角いヒップラインに、水平に伸びるリアコンビランプ(クリアレンズタイプ)。わずかに絞り込まれたキャビン、ハイウェイスター専用リアバンパーが相まって、上質で力強い後ろ姿を形づくっています。
内装
曲線を主体とした有機的なデザイン。しっとりとした樹脂に木目パネル、ピアノブラック樹脂などが組み合わされ、高級セダンのような雰囲気があります。
ナビゲーションモニターは今流行りのフローティングタイプでこそ無いものの、インパネ最上段にレイアウトされ視認性は高いです。
先代よりも底床化され、乗り降りがしやすくなりました。ただし、ミニバンにしては囲まれ間が強く車幅を掴みにくいです。購入の際は試乗をして確認した方が良いでしょう。
エアコンは操作性の高いダイヤル式。シフトノブは足元が広く取れるインパネ・タイプ。メーターナセルには大きな二眼メーターを装備。メーター中央には5インチカラーディスプレイが装備され、航続可能距離やシフトポジション、平均速度や外気温といった情報を分かりやすく表示します。
シート
フロントは、コシのあるクッションにしなやかな本革が組み合わされた快適性なシート。肩まわりから腰、太ももにかけてしっかりと支えます。助手席には足を伸ばしてリラックするための「オットマン(足枕)」を装備。
セカンドシート(7人乗り仕様)は、左右に独立したキャプテンシート。中折機能の付いた背もたれとオットマンが備わります。快適性が高く、居住スペースも足元、頭上空間ともに十分以上です。
サードシートはやや平板な形状となるものの、この手のシートとしては平均以上の座りやすさと快適性を備えます。マイナーチェンジによってスライド機構が追加され、使い勝手も向上しています。床と座面が近く、膝を立てると太ももが座面から浮き上がりやすいです。
荷室
サードシートを一番後まで下げると、荷室スペースには手荷物程度しか置けません。ただし、サードシートを折り畳んだりスライドさせれば、自由に荷室容量を拡大することが可能です。
静粛性
室内には遮音材と吸音材がしっかりと施され、高級ミニバンにふさわしい高い静粛性を確保しています。
エンジンとミッション
2488cc・直列4気筒DOHCエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
最高出力170ps/5600rpmと、最大トルク25.0kgf・m/3900rpmを発揮。
車両重量1950kg。JC08モード燃費は、10.8km/l。
エンジン
2.5Lツインカムエンジンで前輪を駆動(FF)。低速トルク 扱いやすい 車重の割に力強い走り 実用トルクがぶ厚い
高回転域 ノイジー エンジン回転が高まりにくい 上がりにくいので気にならない
トランスミッション
ベルトとプーリーによって無段階に変速するCVTを装備。車速とエンジン回転が自然にリンク 不自然な「ラバーバンドフィール」はほとんど感じられない アクセルを踏んだ量に応じて自然に加速
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは225/55R18。
やや引き締まった印象の重厚感あふれる乗り心地。目地段差や橋脚ジョイントでは、アタリを素早く減衰してしなやかに走りぬけます。まるで高級サルーンのような乗り味です。
高速域ではさらにフラット感が強調され、安定した姿勢を保ちながらどっしりと直進。不意の横風や大きな轍でも、進路を乱されることはほとんどありません。
ハンドリング
背の高いLクラスミニバンにしては安定性が高く、ロール量も控えめ。上質感をともなった自然なハンドリングです。ドライバーの操舵に正確に反応、穏やかな身のこなしでキレイな旋回軌跡を描きます。
リアの接地性が高くコーナリング中も安定。乗り心地と安定感、ハンドリングのバランスが高いです。
最小回転半径は5.7m。まあボディが大きいのでこのくらいは仕方ありません。
その他
先進安全技術は「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」をオプションで用意。メーカーオプションとして「インテリジェントアラウンドビューモニター」を、ディーラーオプションとして「スマートルームミラー」を設定しています。
ただし、一番重要な「インテリジェントブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」や「踏み間違い防止アシスト」、「インテリジェントクルーズコントロール(前車追従機能付きクルーズコントロール)」といった機能は設定自体がありません。こういった機能を付けたい場合は、オプション設定のある上級グレードを購入することになります。
【評価レビュー】のまとめ
「日産 エルグランド 250 ハイウェイスター」は、日産が誇る上級Lクラスミニバン。FF化にともなってボディも拡大され、室内には広々とした空間が拡がります。
逆に全高だけは僅かに低められ、ミニバンにしては高い運動性能と安定性を実現。やや引き締まった乗り味ながら、重厚感あふれるしなやかな乗り味も魅力です。
ライバルの「トヨタ・アルファード&ヴェルファイア」同様、押し出し感の強い外観を持ちますが、エルグランドの方が抑制が少しだけ大人っぽい印象です。
「高級Lクラスミニバンの乗りたいが、アルファードやヴェルファイアはちょっと派手すぎる」とか、「荷物と人のたくさん積める高級車が欲しい」といった人にピッタリな一台です。
中古車市場では
2017年式「日産 エルグランド 250 ハイウェイスター プレミアム(3代目・2WD)」で400万円前後。2014年式なら300万円前後となります(2018年3月現在)。
価格
価格 | 4,136,400円(消費税込み)