今回は「新型 日産 NV150AD VE」を試乗レポート。
2006年にフルモデルチェンジした、商用車仕様の5ドア・ライトバンです。
ステーションワゴンの「日産ウィングロード」をベースに使い、ビジネス専用モデルとして開発されています。
初代から3代目までは「ADバン」の名称が使われ、この4代目で「AD」に変更、さらに2016年のマイナーチェンジで現在の「NV150AD」となりました。
日産の商用車全般に使われるこの「NV」という名称は、「日産・バン」の頭文字を取って短くまとめたものです。
マツダと三菱向けにOEMモデルも製造されており、それぞれ「ファミリア・バン」と「ランサー・カーゴ」という違う名称が使われます。
外観
全長4395mmX全幅1695mmX全高1545mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2600mmとなります。
フロント
ずんぐりとしたノーズにおっとりとしたデザインのハロゲンランプが装備され、なんともいえない癒し系の表情を持ちます。
フロントバンパーは、少々の擦り傷なら気にならないブラック樹脂製です。
サイド
ミニバンに近いずんぐりとしたプロポーションに、前後にブラック樹脂製のバンパーが装備されるため、パンダのような印象です。ビジネスモデルには、カッコよさよりも信頼感とか誠実さの方が重要ですから、これはこれで良いと思います。
リア
コストダウンのため、リアコンビランプのリフレクターは最小限の大きさとなります。ギュッと絞り込まれたキャビンに、ワイドなリアフェンダーが組み合わされ力強い印象のリアエンドです。
内装
簡素な樹脂製のインテリア。テカテカとした安っぽいメタリック素材が省略され、かえってスッキリとした印象です。
グローブボックスからペンホルダー、各種小物入れが豊富に装備され、ビジネスに役立つ工夫が満載です。
シート
ウィングロードの上質なシートと比べると、随分コストダウンの跡が見えます。クッションにコシが足りないため、長時間座っていると腰が痛くなります。といっても中距離(30km)程度なら気になりませんが。
リアシートには、ベンチタイプの簡易シートが装備されます。普段は1人か2人で使い、もしもの場合に備えてリアシートを装備するという設計です。
そのため、座り心地は今ひとつですが、短距離(10km)程度の移動であれば問題ありません。
荷室
荷室にはリアサスの張り出しが少ないため、ウィングロード以上の容量を確保しています。さらにリアシートを折りたたむことで、商用バンにふさわしい広大な荷室が出現します。
加えて、床面が低く開口部が大きいため、重い荷物の出し入れも簡単です。
静粛性
遮音材がそれほど装備されていないため、車内の静粛性は低いです。ロードノイズ、風切音ともに大きめです。
エンジンとミッション
1597ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、15.3kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1270kg。JC08モード燃費は、13.0km/lとなります。
エンジン
1.6Lのツインカムエンジンで4輪を駆動。低速からフラットなトルクを発生する扱いやすいエンジンです。ただし、急な坂道や合流ポイントでは、少々力不足を感じてしまいます。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備。小さなエンジンをしっかりと高回転まで回して、スムーズに変速していきます。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングアーム式サスペンションが装備されます。
足回り
適度に引き締まった快適な乗り心地です。目地段差では衝撃をそのまま車内に伝えますが、不快な印象はありません。
高速域での安定性も高く、軽くステアリングに手を添えているだけで、まっすぐに直進していきます。
ハンドリング
やや中立付近の遊びが大きいものの、ドライバーの操作に対して素直に反応する、リニアなステアリングフィールです。
ゆったりとしロールを発生しますが、ロールスピードが予測しやすいため、不安感はほとんどありません。
最小回転半径が小さいため、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
ウィングロードの素性の良さをそのまま活かした、ビジネス専用の商用ライトバンです。
素直なハンドリングと乗り心地の良さ、高い積載能力を両立させた使い勝手の良さがこの車の大きな美点です。そのため、営業マンが一人か二人で乗って、大量の荷物を客先まで運ぶといった使い方が一番ぴったりとハマります。
その他には、大きな荷室と頑丈なボディを活かして、荷物を沢山積む必要のある趣味、例えば釣りとかサーフィン、バードウォッチングにも便利に使えそうです。
価格
価格 | 1,815,480円(消費税込み)