今回の旧型レポートは「初代 トヨタ bB Z(2004年)」。
2000年から2005年に渡って製造販売されていた、5ドアのマイクロ・ミニバンです。
ちょい悪なスタイリングが当時の若者に受け、一時、大人気となっていたモデルです。ベースとなるプラットフォームには、ファンカーゴと共通のものが使われています。
外観
全長3945mmX全幅1690mmX全高1640mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2500mmとなります。
極端に四角いボディに、フロントに大きく張り出したバンパーが特徴的です。最近の日本車で定番となっている「ちょいワル車」のハシリのようなモデルです。
フロント
ほぼ水平に突き出した真四角なフロントノーズに、角型ヘッドライトが組み合わされます。小さいながらも、ちょっと近づきがたい「やんちゃ」な雰囲気がたっぷりと漂っています。
サイド
カクカクとした直線で構成された厳ついフォルム。同じようなフォルムを持つクルマに、「ホンダN-BOX」がありますが、あちらはノーズが極端に切り詰められているため、厳ついというよりもちょっとユーモラスな可愛らしさがあります。ちょっとした違いでまるで違った雰囲気を感じさせるところが、自動車デザインの奥深い部分です。
リア
真四角なリアエンドに、縦型の小さなリアコンビランプ、平面的なリアウィンドウが組み合わされます。リアは全体の雰囲気から比べると、比較的シンプルな印象ですが、厳つい雰囲気を壊すほどではありません。
内装
質感はそれほど高くありませんが、直線を基調とした道具感溢れる内装デザインです。丸い速度メーターがインパネ中央やや右寄りにレイアウトされ、後付メーターのような独特の雰囲気を醸し出しています。
極端に切り立ったフロントウィンドウが幸いして、広々とした見晴らしと、見切りの良さを両立しています。運転のしやすい内装デザインです。
シート
フロントシートには、ストロークの短い硬めのシートが装備されます。クッションに適度なコシも与えられていないため、長時間座っていると疲れてしまいます。
リアシートにはさらに平板で薄いシートが装備されます。硬い足回りと相まって、鋭い突き上げを感じます。足元、頭上空間には大人が座れるだけの充分なスペースがあります。
荷室
荷室は小さめですが、縦方向にたっぷりとした余裕があるため、積み方さえ工夫すれば、家族4人、1泊2日旅行くらいの荷物は積めそうです。リアシートのシートバックは、7:3で分割して折りたたむことができます。
静粛性
エンジンノイズ、風切音、ロードノイズが大きめで、車内に結構侵入してきます。
エンジンとミッション
1496ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、14.4kgf・m/4200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1070kg。10モード/10・15モード燃費は、16.0km/lとなります。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジンで前輪を駆動します。低速トルクの薄い、やや高回転型のエンジンで、急な坂道や加速を必要とする場面では力不足を感じます。といっても、市街地など平坦な路面であれば必要充分の動力性能です。
トランスミッション
エンジンを高回転域までしっかりと回して、必要なパワーを絞り出します。その分エンジンノイズは高まりますが、必要な仕事を地道にこなす実用的なトランスミッションです。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備され、前後ともにスタビライザーで強化されます。
足回り
背の高いボディを安定させるため、足回りはスポーティに引き締められています。
シートが硬いこともあり、路面の段差では鋭い衝撃をそのまま乗員に伝えてしまいます。
ハンドリング
少し重めのキビキビとしたハンドリングフィールで、ドライバーの操作に対して、ボディが過敏に反応する傾向があります。
コンパクトなボディの割に最小回転半径は大きめで、狭い路地での切り返しではちょっと苦労します。
評価のまとめ
マイクロミニバンの傑作車「ファンカーゴ」をベースにして設計されていますが、そのコンセプトは全く違います。
使い勝手や実用性をシッカリと煮詰めて作られた「ファンカーゴ」に比べ、この「bB」はどちらかといえば目先を替えた面白グルマといった印象です。
そのため、乗り心地やハンドリングに極端な部分がありますが、「ちょっと厳ついコンパクトカーが欲しい」と考えている人にはピッタリなクルマとなります。
現にそういうユーザーは多く、当時この「bB」は若い人を中心に高い人気を誇っていました。
価格
新車当時の価格 | 1,541,400円