今回の旧型レポートは「4代目 トヨタ スターレット ソレイユ L」です。
このスターレットは、1989年にフルモデルチェンジが行われたコンパクト・5ドアハッチバックです。
トヨタを底辺から支えるエントリーカーとして、低価格でありながらそこそこの品質感が維持されています。
若者に得るため、背の低いスポーティなスタイリングが採用されています。当時、ライバルとして高い人気を得ていた「日産マーチ」は、背が高く小さなボディにしっかりとした居住空間が与えられていました。とは全く逆のスタイリングです。
外観
全長3740mmX全幅1600mmX全高1380mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2300mmとなります。
若者受けを狙って、背が低くスポーティなスタイリングが与えられています。コンパクトなボディサイズでありながら、全高を高める事でゆとりのある居住スペースを確保していた「日産マーチ」とは全く逆のアプローチです。
フロント
低いノーズに、スポーティな形状の角型ヘッドライトが装備され、真面目で素直な印象を与えます。
サイド
コンパクトなボディに低いルーフ、短いホイールベースが組み合わされ、スポーティなカッコよさを感じさせます。
リア
丸みのあるヒップラインに角型のリアコンビランプがレイアウトされます。決して自分から目立つような事はありませんが、周りに不快な印象を与えることもない、優等生的なスタイリングを持ちます。
内装
プラスチッキーで質感の低い内装デザインです。デザイン自体はしっかりと整理されているため、使い勝手は良好です。
実用車としてはやや室内高が低く、狭くるしい印象を与えます。この後発売される事になる「5代目スターレット」では、この点を反省材料に、同じ全長でありながら全幅と全高を拡大し、僅かに室内空間を拡大しています。
シート
フロントシートはクッションが薄く体圧が集中しがちです。中距離(30km)程度であれば十分に使うことができます。
リアシートは居住性が低く、大人4人での移動には向きません。シートバックも高さが足りないため、緊急用シートや荷物置き場として使ったほうが無難です。
荷室
コンパクトなボディですが、荷室形状が比較的スクウェアなため、積み方を工夫すれば結構な荷物を積む事ができます。
静粛性
ロードノイズと風切音、エンジンノイズが車内に進入してきますが、当時のコンパクトカーとしては一般的なレベルです。
エンジンとミッション
1331ccの直列4気筒DOHCエンジンに、3速ATが組み合わされます。
エンジンは、100ps/6600rpmの最高出力と、11.8kgf・m/5200rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は820kgで、10モード/10・15モード燃費は、15.6km/lとなります。
エンジン
コンパクトなボディに1.3Lエンジンが与えられ、キビキビとしたドライブフィールを実現しています。街中など一般的な使用状況であれば必要十分なパワーユニットです。
きつい上り坂ではさすがに苦しそうな唸り声をあげます。
上位グレードに搭載される1.3Lターボは、タイムラグのあるドッカンターボで、荒々しいダイナミックな走りを味わうことができます。
トランスミッション
ギアこそ3速までしかありませんが、高回転型のエンジンをしっかりと回し、加速のための十分なパワーを取り出します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトレーリングツイストビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
ソフトでゆったりとした乗り心地です。サスに踏ん張り感やコシが無いため、フワフワとした不安定なロール感を伴います。
ハンドリング
コンパクトなボディを生かして、狭いスペースでクルリと向きを変えます。車重が軽いため素直で自然なハンドリングフィールです。
評価のまとめ
長年トヨタを底辺から支えていたエントリーカーです。長い間同じコンセプトを使い続けた事もあり、当時としても特徴の無い車となっていました。その分、熟成された設計が施され、高い耐久性能と低コストを実現する実用的なコンパクトカーです。軽自動車以上の軽量ボディに1.3Lツインカムエンジンが搭載され、キビキビとした活発な走りを楽しむ事ができます。
この後、1999年にこのスターレットの役割は初代ヴィッツに引き継がれ、ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーの栄冠を獲得することになります。
いわばこの当時のスターレットは、革新的な「ヴィッツ」を生み出すために与えられた「産みの苦しみの時期」だったのかもしれません。
価格
新車当時の価格 | 854,000円