今回の旧型レポートは「2代目 ホンダ シティ CE fit」です。
この2代目ホンダ・シティは、1986年にモデルチェンジが行われたコンパクトな3ドアハッチバックです。
先代のシティは、背が高く全長の短い効率に優れたパッケージングと、時代に合ったおしゃれな雰囲気が受け若者を中心として高い人気を誇っていました。これは現代のN-BOXシリーズにも通じる先進的なコンセプトです。
対するこの2代目シティは、グッと全高を抑えたワイドアンドローのスポーティな外観が与えられています。先代とあまりに違うイメージと、室内が狭く使い勝手が悪いことが嫌われ販売成績はいまひとつに終わりました。
1994年まで販売されていましたが、その後新しいモデルが開発される事はなく、後継車の「ロゴ」にバトンタッチされることになります。
外観
全長3605mmX全幅1620mmX全高1335mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2400mmとなります。
当時、中型セダン市場で流行していた背の低い「ロールーフ」スタイルが取り入れられ、スポーティなルックスに仕上げられています。
フロント
当時のトゥデイやCR-Xを彷彿とさせるスポーティなフロントマスクです。小型のヘッドライトが全体の印象を引き締めます。
サイド
短く切り詰められたフロントオーバーハング、ボディ四隅ギリギリにレイアウトされたホイール、ぐっと抑えられた低いルーフが相まってキビキビとした印象です。
リア
角ばった大きな面積のリアエンドに、低く横に長いリアコンビランプが組み合わされ、力強い安定感を感じさせます。
コンパクトカーとしては、面構成がシンプルすぎて物足りなさを感じてしまいます。元々居住空間の限られるコンパクトカーに、流行しているからというだけで「ロールーフ」を組み合わせるのは安直すぎます。
内装
シンプルで機能的にまとめられた使い勝手の良いインテリアです。メーター表示も大きく、視認性も良好です。
シート
クッションの軟らかいシートが装備されます。コシが不足しているため、体重の重い人が乗ると腰が沈み込んで痛くなります。
リアシートは、シートバックの高さが足りず長時間座ることはできませんが、短距離(10km)の移動であれば問題ありません。ルーフが低いため、成人男性が乗ると圧迫感があります。
荷室
コンパクトな3ドアハッチバックですから、荷室の容量は最小限です。家族で1泊旅行程度なら十分可能です。
静粛性
ロードノイズ、風切音ともに進入してきますが、当時のコンパクトカーとしては標準的なレベルです。
エンジンとミッション
1296ccの直列4気筒SOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、82ps/6500rpmの最高出力と、10.5kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量は780kg。10モード/10・15モード燃費は、14.4km/lとなります。
エンジン
高回転型の1.3Lエンジンが搭載されます。車重が軽いため、街中など市街地モードでパワー不足を感じることはありません。
ただし坂道や合流ポイントでは、もたもたして中々前に進んでくれません。
トランスミッション
エンジンを高回転までしっかりと回し、力強く加速していきます。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
足回り
ストロークの極端に短い硬めのサスペンションが装備されるため、荒れた路面ではバタバタとした荒い乗り心地です。長い距離を乗っていると疲れてきて嫌になります。
ハンドリング
キビキビとした軽快なハンドリングで、低速コーナーではゴーカート的な面白さがあります。ただし、足回りのキャパシティが不足しているため、サスストロークを使った自然なコーナリングは苦手です。
軽量、コンパクト、ストロークの短い足回りを活かしてジムカーナに使う人も多いです。
評価のまとめ
大人気となった初代シティと比べると、軽自動車のトゥデイに似たその外観はどうしても地味な印象が拭えません。
軽量コンパクトな低重心ボディに、引き締められたサスが装備されるため、低速域ではゴーカートのようなキビキビとした面白さがあります。
ただし、サスストロークが不足しているため、普通にゆったりと走りたいといったニーズには向きません。
価格
新車当時の価格 | 1,175,000円