日産自動車は、2020年の東京都内において、ロボットタクシーと自動運転による配送トラックのテストを開始すると発表しています。
また、次世代型リーフにはこの技術が先行して搭載され、半自動運転車として登場する予定です。
※動画は2015年に発表された次世代型リーフのコンセプトモデルといわれている、「IDS Concept」です。
日産はNASAと共同して自動運転の研究に取り組む
多くの日本の自動車メーカーは、ルノーと三菱自動車のアライアンスにより、このプロジェクトが進められると考えていました。ところが日産自動車は、アメリカ航空宇宙局(NASA)と共同で技術開発を行うパートナーシップを結び、このプロジェクトを進めようとしています。
具体的には、「日産総合研究所シリコンバレーオフィス」と、カリフォルニア州モフェットフィールドにある「NASAエイムズ研究センター」が実際の研究を共同で行うことになります。
研究は道半ば
すでにこの共同研究は2年間に渡って行われており、また今後3年間のパートナーシップ期間を残しています。つまり、ロードマップでいえば、そろそろ中間点に差し掛かったころといっても差し支えないでしょう。
開発および技術試験の内容は、NASAの持つ火星探査技術や無人探査技術を使い、「一般の車道を走る電気自動車にどう応用していくか」というものです。
実際の技術試験車両には「日産リーフ」が使われ、2016年1月「NASAエイムズ研究センター」において、カルロス・ゴーンCEOによる視察も行われています。
この試験車両には、各種センサーやGPS、カメラ、データネットワークなどが搭載され、NASAの開発した「K-10」や「K-REX」を応用したシステムによって無人走行が行われます。
非自動運転の車と路上で共存する
「日産総合研究所シリコンバレーオフィス」のマーティン・シーハイス博士は、ラスベガスで2017年に行われた「CES 2017」における基調講演の中で、「非自動化された車と自動運転車が、道路上で共存する画期的な技術を開発した」と述べています。
その新しい技術は、倒木、交通事故、道路工事、道路上の消えかけた線など、AIが苦手とするシーンに遭遇すると、AIは即座に全ての自動運転車の制御情報を統合している「コマンドセンター」へと助けを求める信号を送ります。
「コマンドセンター」には専門的なトレーニングを受けたオペレーターが常駐しており、この自動運転車からの情報をもとに周りの状況を調査します。この調査には、このポイント周辺を走行している自動走行車のカメラ、GPS、センサーなどが活用され、これをもとにオペレーターは安全に走行することのできる新しい航路を作成して、自動運転車に送信します。
この技術は次世代型リーフにも活かされる
日産自動車CEOカルロス・ゴーン氏によれば、「次世代型リーフにはこの技術が応用され、半自動運転車として登場する」ということです。この次世代型リーフのコンセプトは、2015年に発表された「IDS Concept」が元になりますが、日産自動車はこの車をかわきりに、ゼロエミッションと死亡者ゼロの社会実現に向けて進みます。
NASAはこの技術を宇宙技術にフィードバックする
「NASAエイムズ研究センター」のユジーン・トゥー所長によれば、この研究によって宇宙技術が産業に活かされるだけではなく、再び宇宙技術にフィードバックされたり、無人飛行機制御技術に応用されるといった可能性も考えられると述べています。
日産自動車によれば、「今後3年間で実際の販売モデルにこの技術が応用され、自動運転技術を搭載した自動車が10モデル以上登場する」という事です。
ただ、2016年に登場した「日産セレナ」にもこの技術が応用されているとしたら、ちょっと肩透かしを食らった感じがします。なにしろあのNASAの技術を応用しているのですから、今まで見たこともないような素晴らしい自動運転技術を想像してしまうのは仕方ありません。ちょっとワクワクしながら、今後の日産自動車に期待したいと思います。
(参考:CAR Magazine website)