今回は「3代目 VW ポロ(6N)」を試乗レポートいたします。
この3代目VWポロ(6N)は、1994年にモデルチェンジが行われ、日本市場では1996年から発売されています。
欧州で大ヒットとなった3代目ポロですが、日本への導入は遅れに遅れデビューから2年後の1996年となってしまいました。当時の日本市場はVWにとってそれほど重要な市場ではなかったのでしょう。
このポロが欧州で大ヒットとなった理由は、そのコンパクトなボディサイズに対して比較的車の出来がしっかりしていたことが挙げられます。簡単にいえば、サイズは小さいが荷物もそこそこ積むことができるし、車の作り自体も上級のゴルフとそれほど遜色ないということです。
外観
全長3715mmX全幅1660mmX全高1435mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2410mmとなります。
ドイツ本国では、数多くの魅力的な外板色と内装色を自分の好みに応じて選び、何万種類という組み合わせから自分仕様のポロを仕立てることができます。
ただ、そのためには数カ月後の納期までのんびりと待つことが求められます。日本市場ではユーザーニーズからこの「数カ月待つ」ということが許されないため、地味でありきたりな色の組み合わせから選ぶしかありません。自分だけの仕様ではリセールバリューが良くないということもありますが、そんなことより自分の気に行った組み合わせで何年も楽しく過ごすことの方が大切ではないでしょうか。
凝縮感のある上質でコンパクトな外観です。上級のゴルフに通じるデザイン作法が踏襲されていますが、それだけにとどまらないポロならではの小粋でピリリとしたエッセンスも加えられています。
内装
現代の基準から考えると内装の質感は低いです。しかし、ただ貧乏くさいということはなく、シンプルながらもがっしりとした質実剛健な道具感が感じられます。
フロントシートは、小ぶりながら必要最小限のサイズと厚みが確保されており、長時間座っていても腰が痛くなるようなことはありません。
リアシートにも必要最小限の広さが確保されています。子供や小柄な大人なら十分な広さです。
ポロは初代ゴルフとほぼ同じ室内スペースを持ちます。さらに現代ではパッケージ技術が進歩していることもあり、初代ポロ以上の使い勝手の良さが感じられます。
このクラスのドイツ車はどれを取っても静粛性が低く、このポロも例外ではありません。そもそも初めから静かに走らせようなどとは思っていないようです。
この年代のVWにありがちな「窓落ち(ドアの中にガラスが落ちる)」には注意が必要です。
荷室はコンパクトなボディのため前後長が不足しています。
エンジンとミッション
1597ccの直列4気筒SOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、75ps/4800rpmの最高出力と、13.8kgf・m/2800rpmの最大トルクを発揮します。
10モード/10・15モード燃費は、11.4km/lとなります。車両重量は1050kgです。
このポロに組み合わされる1.6エンジンはスポーティで力強いパワーユニットです。車重が軽い事とたっぷりした低速トルクのおかげで、街中で力不足を感じることはありません。
さすがに現代の最新型ダウンサイジングターボに比べれば見劣りしてしまいますが、坂道や合流でも十分な加速をすることが可能です。
ただ、日本仕様のために仕立てられたJATOCO製オートマッチクは、ダイレクト感が希薄で若干もっさりした印象があります。
ポロをポロらしくさらにキビキビと走らせたい人には、2ドアの1.3Lエンジンに5MTの組み合わせをお勧めしたいのですが、残念ながら日本仕様には用意されていません(数ヶ月遅れて2ドアの1.6Lに5MT仕様が加わりましたが、1998年に廃止されています)。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション(スタビライザー付き)、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
また、前輪はスタビライザーで強化されています。
コンパクトなボディを生かしたキビキビとした走りが魅力です。ハンドリングは素直な特性で軽快で気持ちのいい走りを味わえます。
高速走行でも安定しており、バランスのとれた走行性能を持ちます。
低速ではドタドタと路面の段差を拾いますが、軽量でバランスのとれた乗り味の為それほど気になりません。
評価のまとめ
コンパクトなボディに広々とした室内、おしゃれで上質な外観。軽量ボディと相まって走りもそこそこ活発です。
このクラスにはこのポロの他にオペルヴィータや、ルノールーテシアなど魅力的なライバルが存在しています。
その中でも、しっかりした走りと重厚感のあるおしゃれな外観を求める人には、このVWポロがオススメです。
価格
新車当時の価格 | 1,790,000円