今回は「2代目 トヨタ ist」を試乗レポートいたします。
トヨタ istは、2007年のモデルチェンジで2代目となりましたが、2016年4月には販売が終了し、現在、「ist」の車名を受け継ぐモデルは存在しません。
ヴィッツとはプラットフォームを共有する姉妹車の関係です。
動画内の「ist」はアメリカ向けモデルのため、日本向けモデルとは一部仕様が異なります。
外観
全長3930mmX全幅1725mmX全高1525mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2460mmとなります。
大径タイヤにSUV風ボディを合わせることで、アウトドアテイストたっぷりの外観に仕立てられています。
ただistには、流行のクロスオーバーSUVという言葉だけでは言い表せない、独特の強い個性があります。
フロントフェイスは、先代から車高が高くなり、同時にがっしりとしたフロントグリルが組み合わされた為、どっしりとした重厚感が増しています。
先代のサイドビューは、どちらかと言えばヴィッツなどのコンパクトカーに近い雰囲気でしたが、2代目istではよりSUV色が強められ、ラッシュやRAV4に近い雰囲気を持っています。
リアビューは、先代の特徴的なリアコンビランプとブラックアウトされたDピラーが廃止されていますが、istならではの小さなリアウィンドウに絞り込まれるプロポーションは維持されています。
全体としては、よりSUV色が強められているため、先代よりも重厚感のある男性的なイメージに生まれ変わっています。
内装
内装は先代のシンプルでモダンなデザインから一転し、アメリカのアニメに出てくるようなちょっとチープなデザインです。istはアメリカの若者向けブランド「サイオン」を念頭に開発されたため、デザインのテイストもアメリカ人の嗜好にそったものに変更されたのでしょう。
廉価なコンパクトカーには珍しく、ステアリングには上下調整だけではなく、前後調整機能も装備されており幅広い体型に対応しています。
前席のシートはサイズが大きく、座面の前後長もたっぷりとしています。また、クッションには適度な硬さがあり、長距離の移動も快適です。
後席のシートは、ホイールベースが伸ばされたおかげで足元空間にも余裕があります。座面の前後長が少し短いですが、中距離(50km程度)の移動であれば問題ありません。
シートクッションは前席同様に適度な硬さとコシがあり快適です。
動画内の「ist」はアメリカ向けモデルのため、日本向けモデルとは一部仕様が異なります。
エンジンとミッション
1500cc直列4気筒DOHCエンジンに、CVTが組み合わされます。
エンジンは、109ps/6000rpmの最高出力と、14.1kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
JC08モード燃費は、17.2km/lとなります。
高回転型で低速トルクの細い1.5Lエンジンですが、組み合わされるCVTの制御が素晴らしく、街中で不足を感じることはありません。トルクの厚い回転域を選んで変速し、ちょっとした坂道でも1150kgのボディを過不足なく走らせます。
グッとアクセルを踏み込めば、それなりにエンジンサウンドが高まりますが、音質自体は不快なものではありません。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションが装備されます。
SUV風の外観とは裏腹にロールは少なく抑えられており、ハンドリングもキビキビとした気持ちの良いフィールです。反応はスポーティーカーのような過敏なものではありませんが、素直でしっかりとしたステアリングです。
また、サスストロークがたっぷりと取られており、乗り心地はしなやかで奥行きのある快適なものです。ただ、低速では段差の衝撃をいなしきれず、不快な振動をコツコツと伝えます。
評価のまとめ
ジャンルとしては、今流行のクロスオーバー2ボックスですが、istにはその枠に収まらない独特の存在感があります。
また、SUVライクな外観ですが、悪路走破性は普通のコンパクトカーと変わりません。そのかわり、コンパクトカー同様に自然でキビキビとしたドライブフィールを持ちます。
このistは、コンパクトカーを探している人で、ヴィッツやフィットにはない強い個性を求めている人にオススメしたい車です。
価格
価格 | 1,938,857円(税込み)