タイミングベルトとは
エンジンの行程のなかで、混合気への点火や、バルブの開閉周期のタイミングを同期するために、クランクシャフトとカムシャフトを、プリーを介して繋いでいるのが、「タイミングベルト」と呼ばれるゴム製のベルトです。
このゴム製のベルトには、歯車とかみ合うための型が付いており、こういったベルトを「コグベルト」と呼びます。
タイミングベルトの働き
通常4ストロークエンジンでは、クランクシャフトが2回転する間に、カムシャフトが1回転しています。
またカムシャフトは吸排気バルブをコントロールするという役割があるため、クランクシャフトより動力を取り出す必要があります。
そのために、クランクシャフトにプーリーを介して、タイミングベルトやタイミングチェーンを取り付け、そのタイミングベルトが回る事で、カムシャフトを駆動しています。
カムシャフトが駆動すると、カムも同期して作動し、吸排気バルブのバルブステムを押す事で、吸排気バルブが開閉する仕組みです。
この時、クランクシャフトが2回転している間に、カムシャフトは1回転するという回転比率ですから、吸排気バルブはエンジンの「吸気」「圧縮」「燃焼」「排気」の行程に合わして、適切なタイミングで開閉できるという事になります。
OHC式エンジンで考案される
サイドバルブ方式や、OHV方式が一般的だったころまでは、カムシャフトとクランクシャフトは近い位置にあり、歯車を介してカムシャフトを駆動することが可能でした。
しかし、OHC方式が開発されると、カムがシリンダーヘッドの上部へ移動して、カムシャフトとクランクシャフトの距離が遠くなり、タイミングチェーンとスプロケットで駆動する方が効率的になりました。
またその後、騒音や作りやすさやコスト等の問題から、金属製のベルトは徐々にゴム製のコグベルトに移行して行くことになります。
国産車での採用
ゴム製のコグベルトは1960年代に、カムベルトとして採用され始めます。
国産車で初めて使われたのは、1971年に発売されたホンダライフからです。
金属製のメカニカルチェーンのように、オイルで潤滑してやる必要も無く、騒音も静かでコストも安く、また作りやすかった事から、その後他のメーカーでも徐々に採用されるようになりました。
再びタイミングチェーンに回帰
ただ、最近はこのコグベルトの耐久性の低さが問題にされるようになり、また、金属製ベルトの静粛性もアップした事から、次第にタイミングベルトから、タイミングチェーンへの回帰が起きています。