今回は「新型ホンダ ジェイド HYBRID X」を試乗レポートします。
2012年に北京モーターショーで発表された「Concepr S」を元に開発された市販モデルです。
その後モデルラインナップを補完する目的で、埼玉工場で生産され日本国内向けにも販売が開始されました。
外観
どこからみても流麗なシルエットでかっこいいのですが、なぜか個性が希薄で無国籍な印象を受けます。
中国向けに開発された車だからかもしれません。
ループエンドにウィンドウを装備し、開放感と個性的なルックスを両立しています。
このルーフエンドに装着された天井方向のウィンドウは、昔の「アコードエアロデッキ」を彷彿とさせる懐かしいアイテムです。
リアゲートの開口部も「アコードエアロデッキ」と同じく、このウィンドウ上端から大きく開くタイプです。
これは見た目の面白さだけではなく、狭い場所でも大きくリアゲートを開けられるというメリットがあります。
内装
横にぐーんと伸びたメーターハウジングの効果で、のびやかで気持ちのいいデザインです。
10年以上前のホンダ車のような、ちょっとバタくさくもおしゃれな雰囲気があります。
質感はクラス標準的なもので、特に気になるような事はありません。
ハイブリッドという事もあり、室内の静粛性はとても高いです。
フロントシートはサイズも適正で、ストロークも硬さもしっかりしています。
アイポイントが低いこともあり、まるでセダンのようなフロントシートです。
これなら、中距離移動でも疲れないでしょう。
セカンドシートは左右に分割された独立2座タイプです。
これならゆったりと座れるため、長距離でも疲れないでしょう。
スライド方式は、斜めに移動するユニークなシステムです。
4+2と言われる様に、3列目は狭く緊急用として使うしかありません。
5人使用であれば3列目に座るしかなく、普通のセダンかコンパクトカーの方が快適です。
また、6人で使う場合も3列目では狭すぎて中途半端な印象です。
エンジンとミッション
1.5L直4DOHCエンジン+電気モーターに、7速DCTが組み合わされます。
必要十分以上のパワーがあり、日常域ではとても扱いやすいです。
加速感においても、ハイブリッドの不自然さは少なくスムーズです。
ぐっと踏み込めば、控えめながら軽やかなホンダサウンドを奏でます。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソンストラット式サスペンション、後輪にダブルウィッシュボーン式サスペンションを装備します。
後輪サスは、オデッセイでも「トーションビーム式」になってしまったので、コストパフォーマンスが高いです。
この良く出来た後輪サスペンションのおかげで、ハンドリングが素直で楽しく運転できます。
コーナリング中も安定しており、安心してステアリングを握れます。
足回りは引き締まったしなやかな乗り心地で、小さな段差をきれいにいなします。
また車高が低い事もあって、ミニバンとしては異例にロールが少なく、路面に吸い付くような走りです。
ホイールベースが長いので直進安定性が高く、どっしりとした乗り心地です。
評価のまとめ
中国向けといわれ、最小は身構えてしまいましたが、意外としっかりした良い車です。
しかし、3列目シートは緊急用とはいえちょっと狭すぎます。
5人がしっかり乗れる「5人乗り仕様」に仕立てた方が、荷室にも余裕が生まれ使いやすい車になると思います。
オデッセイが高価格な割に「トーションビーム式サスペンション」となったこともあり、背が低くしっかりした走りのミニバンがお好みの方にはオススメできる車です。
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 4650mmX1775mmX1530mm
JC08モード燃費 | 24.2km/l
価格 | 2,920,000円(税込み)