今回レポートするのは「新型マツダプレマシー 20S-SKYACTIV Lパッケージ」です。
そろそろモデルチェンジの噂も聞かれますが、評価の高い走りはまだライバルに引けを取っていません。
CX-5以降の新世代マツダ車を開発するにあたって、マツダの技術者達は世界中の「乗り味の良い」とされている車を集め、その人間の感性と車の挙動について調べてデータ化したそうです。
その中からマツダの考える「良い乗り味」を作り出し、その後の新世代マツダ車は、統一されたこの設計思想の元に作られています。
また、その「良い乗り味」という設計思想は、このマイナーチェンジ版のプレマシーにも反映されています。
外観
外観デザインは1世代前の「NAGARE」コンセプトです。波紋を形どったようなキャラクターラインが印象的です。
フロントは同じ「NAGARE」コンセプトの旧型のアクセラと良く似ています。
全高が低いこともあり、正面から見るとミニバンかコンパクトカーか分かりにくく、Dピラーもブラックアウトされているのでちょっとスポーティです。
全体の印象はオーソドックスなミニバンスタイルですが、ライバル達と違いルーフが低くボディがコンパクトなので、遠目で眺めるとミニバンのようでもあり、ステーションワゴンのようでもあり、5ドアハッチバックのようにも見えます。
ディメンジョンが、それらのボディスタイルの間に設計されているせいでしょう。
内装
質感はクラス標準レベルで、質実剛健な合理的デザインです。
特徴的なメーターバイザーの形が面白いですが、最近のアクセラのような華やかさはありません。
Lパッケージにはハーフレザーシートと両側スライドドアが装備されています。
このシートはサイズもたっぷりとしていて、硬めで座り心地もよく疲れないシートです。
セカンドシートも同様にサイズがたっぷりとしており快適です。
ただ、サードシートの質は良いのですが、スペースが狭く長距離移動には向きません。緊急用として割り切って使ったほうがいいでしょう。
このサードシートを倒すと広大な荷室空間として使えます。
複雑な構造のマルチリンクサスがリアに装着されているので、その分、荷室には張り出しがあります。
欠点としては、小物入れがあまりないことと、ロードノイズが若干大きめなところです。
エンジンとミッション
スカイアクティブ2.0L直噴DOHCエンジンとトルコン式6速ATが組み合わされます。
最近流行のCVTと違い、エンジン回転と車速が一定なので違和感がありません。
このトルコン式6速ATは出来が良く、ロックアップ領域を広くとることで、ダイレクトな加速感と省燃費を実現しています。
動力性能は必要十分で、レスポンスの良いアクセルと相まって、なめらかに加速していきます。
この時、エンジンのノイズは小さく車内はとても静かです。
足回りとハンドリング
フロントはマクファーソンストラット式サスペンション、リアにはマルチリンク式サスペンションが装着されます。
同クラスミニバンや車格が上のホンダオデッセイまで、リアサスには簡易でコストの安い「トーションビーム」を装着している事を考えると驚きです。
コンパクトカーの様な機敏さはありませんが、この凝ったリアサスペンションのおかげで、素直でダイレクト感のある自然なフィールのハンドリングです。
直進性も素晴らしく、「走る」「曲がる」「止まる」の基本が高次元でバランスされています。
引き締まったしなやかな乗り心地で、嫌な突き上げ感もありません。
後輪がしっかり接地しながら付いてくるので、安心してステアリングを握れます。
評価のまとめ
このプレマシーの日本仕様と欧州仕様は、基本的に同じ装備になる世界戦略車です。
そういう事もあって、このしっかりした走りが実現されているのでしょう。
低床コンセプトで人気だった「ホンダオデッセイ」が普通のシルエットのミニバンになった今、背の低いミニバンの選択肢はあまりありません。
運転が楽しいミニバンを探しているのなら、「マツダプレマシー」。
広さを求めるなら他社のミニバンをどうぞ。
主要諸元と価格
全長X全幅X全高 | 4585mmX1750mmX1615mm
JC08モード燃費 | 15.2km/l
価格 | 2,410,000円(税込み)