「トヨタ・アルファード」と「トヨタ・ヴェルファイア」は、どちらもトヨタが製造販売するLLクラスの高級ミニバンです。
この両車はメカニズムから性能、グレード構成、価格までほとんど同じ兄弟車です。ただし、外観デザインというか見た目の印象が違うんで「アルファードとヴェルファイアって、いったいどこがどう違うんだろう?」と不思議に感じている人も多いと思います。
ということで今回は、「アルファード」と「ヴェルファイア」の違いについて詳しく解説していきます。
「トヨタ・アルファード」と「ヴェルファイア」の最大の違いは「外観デザイン」
冒頭でも書いた通り、「トヨタ・アルファード」と「ヴェルファイア」最大の違いは、なんといってもその「外観デザイン」です。
どちらかといえば保守的なデザインなのが「アルファード」で、ちょっとイカツイ感じなのが「ベルファイア」。といってもそれは両方を比べた時の相対的な話で、方向性としてはどちらも押し出しの強い「オラオラ系」、もしくは「マイルドヤンキー系」と呼ばれる今流行のデザインになってます。
こういった系統のデザインを嫌う人もいますが、他の車より威圧感があるんで、「煽られにくい」とか「無理な割り込みをされにくい」といったメリットがあります。特におとなしい性格の人や運転が苦手な人は、かえってこういった車にしたほうが安全だと思います。
フロント
「アルファード」のフロントフェイスには、細かい「鱗」を組み合わせたような大型メッキグリルが付いて、まるで甲冑の「大袖(肩の部分)」のようです。ヘッドライトはシングルタイプのシンプルな形状になってます。
これに対して「ヴェルファイア」のフロントフェイスは、ガッチリとした重厚感を感じさせる3段メッキ大型グリルバーに、上下に分割された2段ヘッドライトを組み合わせてます。
「アルファード」には威風堂々とした落ち着きとか威厳を感じますが、「ヴェルファイア」はまるでガンダムのようなメカニカルな重厚感があってカッコいいです。ガンダムにどはまりしたオッサン世代にはちょっとばかり響くもんがありますねえ。
サイド
「アルファード」と「ヴェルファイア」のサイドビューは、短いノーズに傾斜の強いAピラー(一番前の柱)、巨大なキャビン(居住空間)を組み合わせた力強いフォルムです。ただし、フロントやリア周りと違って両車の違いはほとんどありません。
リア
「アルファード」のリア周りは、巨大なリアエンドに上下に波打つ分厚いリアコンビランプの組み合わせ。こんな大胆なデザインは他の車では見たことありません。フロント周りより、好き嫌いがハッキリと分かれそうな形です。
これに対して「ベルファイア」のリア周りは、フロントと違って意外と保守的で誰にでも受け入れられそうな形になってます。水平基調のガッチリとしたデザインで、ヴェルファイアのメカニカルな世界観をしっかりと表現してます。
僕の個人的な趣味だけで選ぶなら、「メカニカルなベルファイアかなあ」と思いました。
その他の違い
外観以外はほとんど同じ「アルファード」と「ヴェルファイア」ですが、その他にも多少の違いがいくつかあります。
その中でも購入する時に影響しそうなのが「販売店の違い」。購入後の満足感やリセールバリューに影響しそうなのが「人気の違い」。おまけとして、マニアックな知識というか小ネタとして「出自の違い」や「世代の違い」ってのがあります。
販売店が違う
トヨタには販売店(ディーラー)として「トヨタ自動車店(トヨタ店)」と「トヨペット店」、「カローラ店」、「ネッツトヨタ店」の4系列があります。
この中で「アルファード」を扱っているのが「トヨペット店」。「ヴェルファイア」を扱っているのが「ネッツトヨタ店」です。
ただし、東京地区は2019年4月に4系列店が統合されて、「トヨタモビリティ東京株式会社」の一系列になりました。ということで、どのお店に行ってもトヨタの全車種が買えるようになってます。つまり、どのお店に行っても「アルファード」と「ヴェルファイア」が買えるわけです。
このディーラー網の統合は、東京地区だけじゃなくて今後2025年までに日本全国でも実施される予定になってます。同時に、車種も現在の60車種から30車種に整理される手はずです。その頃には、「アルファード」と「ベルファイア」も統合されて「アルヴェル」になってるかもしれませんね。
人気の違い
「アルファード」と「ヴェルファイア」は見た目が違うだけで中身は全く同じなんで、販売台数もそう変わり無いような気がしますが、実際には結構違います。
2017年のデータを見ると、「アルファード」の販売台数が41,923台。これに対して「ヴェルファイア」が46,757台と一割くらい多いです。
しかし、翌年になると「アルファード」58,806台に対して、「ヴェルファイア」が43,130台と結構な差を開けられて逆転されてます。
さらに直近のデータを見ると、2019年8月で「アルファード」が4,628台売れているのに対して、「ヴェルファイア」は2,065台。ダブルスコア以上の差を付けて「アルファード」の圧勝です。
2017年のマイナーチェンジで、アルファードの人気にブーストが掛かったってとこでしょう。
出自の違いや世代の違い
「アルファード」と「ベルファイア」は、始めから兄弟車として2本立てになっていたわけじゃありません。2002年。初代「アルファード」が登場した時。「ヴェルファイア」はまだこの世に生まれてなかったからです。
ただし、トヨペット店向けとして「アルファードG」。ビスタ店向けとして「アルファードV(その後のベルファイア)」として一応の仕分けはされてました。外装デザインはグリルがちょっと違うだけでほとんど同じでした。「アルファード」と「ヴェルファイア」のようなハッキリした違いはなかったんです。
その後、2008年のモデルチェンジで初めて「ヴェルファイア」が登場。ということで、この時から2代目「アルファード」と初代「ヴェルファイア」の兄弟関係が始まってます。
現行型の「アルファード」が3代目。「ヴェルファイア」は2代目という「世代の違い」があるのは、こういった「出自の違い」によるものなんです。
グレード名は違うけど、価格や内容は同じ
アルファードとヴェルファイアのカタログを見比べると、一番安いベースグレード「2.5X」以外はグレード名が違います。ただし、装備内容やそれに対応する価格は同じです。
例えば、代表的なグレードを3つほどピックアップして比べてみると、
アルファード(グレード) | ヴェルファイア(グレード) | 価格 |
---|---|---|
2.5X(FF) | 2.5X(FF) | 3,376,080円 |
2.5G(FF) | 2.5V(FF) | 4,206,600円 |
3.5SC(FF) | 3.5ZG(FF) | 4,960,080円 |
といった具合です。実際にふたつのカタログを並べてみれば、価格が同じなんですぐに分かると思います。
「アルファード」と「ヴェルファイア」で競合させながら商談する時や、途中で「アルファード」から「ヴェルファイア」、もしくはその逆に「ヴェルファイア」から「アルファード」へと希望の車種を変える時は注意してください。
「商談で安くしてもらったつもりが、ひとつ下のグレードだった」なんてことになればガッカリですからね。