今回の【レビュー】は「新型 スズキ・アルト ターボ RS(8代目)」。
2014年にフルモデルチェンジした、5ドア・ハッチバックの軽自動車です。
※写真は「スズキ・アルト ワークス」で、グリル周りがちょっとだけ違います。
初代アルトのコンセプトを現代的に翻訳し直した、80年代風レトロフーチャーなデザインが目を楽しませます。このスタイリングには男性にも受け入れられるようにと、ちょっと直線的でマッシブなデザインが取り入れられているのも特徴。より幅広い層にアルトを買ってもらおうという狙いです。
2015年に追加された「ターボRS」は、ライトな層に向けた気軽なスポーティグレード。
改良された0.7Lツインカムターボにシングルクラッチ式5速AGS、専用スポーツサスや専用フロントシート。スポーティな内外装に加えて、専用18インチアルミホイールなどが装備されます。
「これでは物足りない」といったマニアックな層には、より趣味性を強めたホットバージョン「アルト・ワークス」も用意されています。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長3395mmX全幅1475mmX全高1500mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2460mmとなります。
スポーティグレードといっても、エアロパーツなどの装飾は控えめで大人しい印象。「ターボRS」は気軽にスポーティな雰囲気を楽しむための上級グレードですから、この位の仕立ての方がふさわしいと思います。
フロント
コロンとしたフロントノーズに、メッキモールドで縁取られた精悍な「ディズチャージヘッドライト」。「フロントバンパー・ロアガーニッシュ(レッド)」や「マルチリフレクター・フォグランプ」が装備された、スポーティでちょっとやんちゃなフロントフェイス。
サイド
ぶ厚いボディに比較的低めのルーフ。傾斜の強い前後ピラー(柱)が組み合わされ、軽快感あふれるスポーティなサイドビューを表現。
専用装備として「サイドアンダースポイラー」や「ボディサイドデカール」、「15インチ・アルミホイール(切削加工・ブラック)」が装備され、サイドビューをスポーティに引き締めています。
リア
シンプルなリアエンドに特徴的な傾斜をみせるリアウィンドウ。ワイド感を強調したリアバンパーが相まって、シンプルで力強い後ろ姿。
専用装備として「ルーフエンドスポイラー(レッド)」や「リアバンパーガーニッシュ(メッキ)」、「リアバンパーロアガーニッシュ(レッド)」を装備。
内装
プラスチッキーな樹脂で構成されたシンプルな室内。内装デザインはベースグレードと基本的に同じです。
ステアリングはパドルシフト付きの本革巻き。ブラックを基調とする室内に赤の挿し色が施され、「ターボRS」のスポーティな世界観を表現しています。
メーターナセルには、赤のアクセントを活かせた三眼ホワイトメーター。エコドライブアシスト機能や、シフトポジションや平均燃費を表示する「マルチインフォメーションディスプレイ」が組み合わされます。
エアコンは一見ダイヤル式に見えますが、実際はプッシュ式。スイッチが比較的大きいので操作はしやすいです。ナビゲーションディスプレイは、視線移動の少ないセンターコンソール最上段の一等地。
見切りの良いボディと広々とした視界によって、取り回し性も良好。運転のしやすい車です。
シート
フロントシートは、コストを抑えた一体成型タイプ。表皮にスポーティなパターンを施したRS専用シートです。一見ベースグレードと同じ形にも見えますが、実際はホールド性を高めたスポーティな構造。適切なコシと柔軟な表皮によって快適な座り心地を確保しています。
リアシートはさらにコストを抑えた平板でクッションの薄い構造。といっても、居住スペース自体は適切で大人二人で座っても窮屈感はありません。
荷室
荷室には必要最低限のスペースが確保されており、一週間分の買い物や日帰り旅行程度なら問題ありません。さらに背もたれを倒すことで、ステーションワゴンのような使い方もできます。
静粛性
ロードノイズ、エンジン音ともにちょっと大きめ。
エンジンとミッション
658cc・直列3気筒DOHCターボエンジンに、5速AT(AGS)が組み合わされます。
最高出力64ps/6000rpmと、最大トルク10.0kgf・m/3000rpmを発揮。
車両重量670kg。JC08モード燃費は、25.6km/l。
エンジン
専用チューンが施された、0.7Lの3気筒ツインカムターボで前輪を駆動(FF)。低速からぶ厚いトルクを発生して軽やかに発進、スムーズでトルクフルな走り出しを見せます。
低回転型のエンジンですが、結構高回転まで回しても気持ちよく吹けあがります。670kgという軽自動車としても異例に軽いボディと相まって、全域でスポーティで力強い走りが可能。トルクの付きやレスポンスも良く、走りの一体感が高いです。
超軽量ボディとアイドリングストップ機能によって、スポーティモデルとしては良好な燃費を実現(カタログ値で25.6km/l)。購入価格の安さと相まって、懐にやさしいスポーティカーです。
トランスミッション
マニュアル・トランスミッションをベースにした、シングルクラッチ式5速AGS(オートギアシフト)を装備。独特なクセを持つトランスミッションですが、度重なる改良で随分とスムーズになりました。
といってもアクセルを踏み込んだまま乱暴に加速すると、どうしてもギクシャクとした前後の揺れを生じます。このギクシャク感を防ぐのは簡単で、マニュアルトランスミッションをイメージしながら、変速に合わせてアクセルを緩めるだけ。これだけで見違えるようにスムーズで気持ちのいい変速を行うようになります。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはトーションビーム式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは165/55R15。
スポーティに引き締まった少し硬めの乗り味。高剛性ボディにしっかりと専用サスが組み付けられるため、不快な印象はありません。
高速域での安定性も高く、フラットな姿勢を維持してまっすぐに直進。ホイールベースの長さや重心の低さが効いているようです。
ハンドリング
重厚感を伴ったスポーティなハンドリング。ドライバーの操舵に素直に反応して、正確なラインでコーナーを走り抜けます。
リアの接地性も高くコーナリング中の安定感が高いです。
最小回転半径は4.6m。狭い駐車場での切り返しも楽々。
その他
先進安全技術は「SUZUKI Safety Support」を搭載。
このパッケージには衝突の危険を察知して回避、もしくは被害を軽減する「レーダーブレーキサポート(衝突被害軽減ブレーキ)」や「誤発進抑制機能」、車輌の安定走行を助ける「ESP(車輌走行安定補助システム)」、後続車両に急ブレーキを知らせる「エマージェンシー・ストップ・シグナル」といった機能が含まれます。
【レビュー】のまとめ
「スズキ・アルト ターボ RS」は、「ベーシックグレードよりもちょっとだけ上質で走りの楽しい車が欲しい」といったライトな層に向けて開発されたスポーティグレード。
重厚感を伴った素直なハンドリングにやや硬めの上質な乗り味。控えめながらスポーティな内外装が装備され、価格を考えるとかなりお得な車です。
「アルトのベーシックグレードでは物足りない、もうちょっと上質でスポーティなグレードが良い」と考えている人や、「車を初めて買う若者のためのスポーティな入門車を探している」といった人にピッタリな一台です。
中古車市場では
2017年式「スズキ・アルト ターボ RS」で120万円前後。2015年式で100万円前後(2018年3月現在)。
新車価格
価格 | 1,293,840円(消費税込み)