今回の【評価レビュー】は「新型 三菱 デリカ D:5 アクティブギア(MMCS搭載車・5代目)」。
2007年にフルモデルチェンジした、Mクラス・ミニバン(5ドア・クロスオーバーSUV)です。
「本格的な悪路走破性を持つ4WD構造と力強いディーゼルエンジン、クロスオーバーSUVテイストあふれる外観を持つミニバン」というジャンルはそれなりに人気が高く、発売から10年以上を経た現在でも一定の販売量が見込めるおいしいジャンルです。
にも関わらず、その後他社からそれらしいフォロワーが現れないのは、掛かるコストに対してそれに見合った利益が見込めないからです。逆に言えば、「三菱自動車のこの分野におけるノウハウ蓄積量の凄さ」を表している事にもなります。
プラットフォーム(基本骨格)は本格的な悪路走破性を持つ「アウトランダー」と共有。基本的なグレード構成は、2.3Lディーゼルエンジンもしくは2.4Lガソリンエンジンを搭載する「4WD」モデルと、2.0Lガソリンエンジンのみを搭載する「2WD」モデルの二本。
2017年の一部改良で、「M」グレード以外の全車に「ACパワーサプライ(AC100V)」が標準で装備されました。
ネーミングの「D:5」は「5代目デリカ」という意味ですが、その後登場した「D:2(スズキ・ソリオのOEMモデル)」は「下から2番目のモデル(三菱自動車内のクラス分けで)」という意味で、特に深い意味付けや理由はありません。
2017年に登場した「アクティブギア」は、2.3Lディーゼルエンジンを搭載した4WDモデルをベースに、「道具感あふれるアクティブな内外装」を装備する特別仕様車です。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4730mmX全幅1795mmX全高1870mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2850mmとなります。
「アウトドア用品のギア感(道具感)」をテーマにした内外装デザイン。
外装色は「ダイヤモンドブラックマイカ(モノトーン)」と「アイガーグレーメタリック/ダイヤモンドブラックマイカ(2トーン)」、「ウォームホワイトパール/ダイヤモンドブラックマイカ(2トーン)」の3パターン。
フロント
がっしりとした重量感のあるフロントノーズに、角型ヘッドライト。ブラックに塗装された専用グリルとフォグランプベゼル(オレンジ)を装備。SUVテイスト溢れるスポーティなフロントフェイスです。
サイド
短いノーズに巨大なキャビン(居住スペース)。力強い前後フェンダーが相まって、フルアーマーガンダムのような力強いサイドビューを構成。
その他にアクティブギア専用装備として、「ウィンカー付き電動格納式リモコンドアミラー」や「18インチアルミホイール(ブラック)」、「専用ピンストライプ」、「”DELICA:D5”イラスト入りデカール」を装備。
リア
大きな四角いテールゲートに角型リアコンビランプ。ブラックに塗装された「専用リアバンパー」と「”ACTIVE GEAR”専用デカール」。重量感あふれる個性的なリアエンドを表現しています。
※さらに「ACTIVE GEAR コンプリートパッケージ」をオーダーすると次のオプションが追加されます。
- 専用「DELICA」ロゴ入りフロントバンパープロテクター
- サイドガーニッシュ(オレンジ)
- 「ACTIVE GEAR」ロゴ入りアルミホイールデカール
- リアディフレクター(ダイヤモンドブラックマイカ&オレンジ)
- 専用フロアマット(ブラック&オレンジ)
内装
がっしりとしたブラック樹脂に、ピアノブラックパネルやオレンジアクセント、シルバーパーツを装備。サイバーな近未来感とアウトドアテイスト溢れる道具感が、上手くミックスされています。
アップライトなコマンドポジションに見切りの良いボディが組み合わされ、取り回しは楽々。意外と運転がしやすいです。デルタウィンドウ&サイドアンダーミラー(補助確認装置)
「MMCS(7インチナビシステム)」をインパネ中央最上段に設置。エアコンは操作性の高いダイヤル式。シフトノブがインパネ中段に設置されるため、足元は広々。車から降りることなく運転席と助手席の交代が可能です。
アクティブギア専用装備として、「アッパーグローブボックス(「DELICA」オレンジロゴ&イラスト入り)」と、「本革巻きステアリングホイール(オレンジアクセント)」を装備。
シート
フロントは、大ぶりなフレームにストロークのたっぷりとしたクッション、しなやかなスウェード調表皮を組み合わせた快適なシート。肩まわりから腰、太ももの裏まで適切な圧力で支えます。ブラックを基調にしたオレンジステッチがカッコいいです。
セカンドシートもフロントに準じた快適性の高いシート。左右に独立したキャプテンシートタイプで、足元および頭上空間ともにたっぷりとしたスペースが確保されます。
サードシートはやや平板でクッションも薄め。頭上および足元空間はこのクラスのミニバンで最大。
荷室
サードシートを一番後まで下げても、シートの下にある程度の空間があります。家族4人の日帰り旅行ていどなら何とかなりそうです。
さらにシートを前にスライドさせたり、跳ね上げて収納すれば、大きな荷室スペースを作ることも可能。
静粛性
最新のクリーンディーゼルと比較するとうるさいですが、昔のディーゼルほどではありません。
速度を上げて巡航速度にたっすると、ロードノイズにまぎれてさらに静かになります。
エンジンとミッション
2267cc・直列4気筒DOHCディーゼル・ターボエンジンに、6速ATが組み合わされます。
最高出力148ps/3500rpmと、最大トルク36.7kgf・m/1500-2750rpmを発揮。
車両重量1880kg。JC08モード燃費は、13.0km/l。
エンジン
2.3Lディーゼルエンジンで4輪を駆動(フルタイム4WD)。ガソリンエンジンのようなレスポンスの良さはありませんが、低速からぶ厚いトルクを発生するパワフルなエンジンです。
急な坂道や合流ポイントでも、1.9t近い重量級ボディを引っ張ってグイグイと加速します。最新のクリーンディーゼルと比較するとエンジンノイズが気になりますが、古いディーゼルエンジンのような臭いはありません。しっかりと最新の「ポスト新長期規制(平成21・22年排出ガス規制)」に適合しています。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備。トランスミッションをすべらせ気味に変速しているため、レスポンスの良さは今ひとつ。エンジン回転を低めに保ちながら効率の良い変速を行います。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。
乗り心地
装着タイヤは225/55R18。
リブボーンフレーム構造を採用した強固なボディに、ストロークのたっぷりとしたサスが組み合わされ、重厚感あふれるゆったりとした乗り心地です。
がっちりと固められたボディの下で4つのタイヤとサスがしなやかに上下、路面のうねりを巧みに吸収してボディを常にフラットな状態に保ちます。高速域での安定性が高いです。
目地段差ではそれなりに衝撃を拾いますが、角がしなやかに丸められているためマイルドな印象。
ハンドリング
重厚感をともなった素直なステアリングフィール。自然な身のこなしで、ドライバーのイメージしたラインを穏やかになぞります。
全高が高いミニバンボディをさらにリフトアップしているため、重心は普通のミニバンよりも高め。それなりのロールを発生しますが、ロールの出方が穏やかで自然なため安心してステアリングを切ることができます。
最小回転半径は5.6m。ボディのわりに小回り性能が高く、アップライトなポジションでボディの見切りも良いため、狭い場所での切り返しがやりやすいです。
その他
設計が10年以上前と古いため、今流行の「先進安全技術」の類は装備されません。といっても、「リブボーンフレーム」構造を採用した高剛性ボディや、衝突安全強化ボディ「RISE」、「保護者保護対応ボディ」など基本的な安全性能は充実しています。
【評価レビュー】のまとめ
「三菱 デリカ D:5 アクティブギア」は、トルクフルなディーゼルエンジンに本格的な4WD機構、アウトドアテイストあふれる内外装を装備したミニバンベースの「クロスオーバーSUV」。他社からライバルとなる車は登場しておらず、唯一無二の個性を持つ魅力的な車です。
ややディーゼルエンジンのノイズが気になるものの、しっかりと「ポスト新長期規制」に適合しておりディーゼル特有の嫌な臭いはありません。室内の広さは直線基調のハイトボディによってこのクラスのミニバンの中ではトップクラス。強固なボディにストロークのたっぷりとしたサスが組み合わされ、穏やかでゆったりとした乗り心地を実現しています。
「悪路走破性の高いSUVを探しているが、荷物や人をたくさん積む機会が多い」とか、「家族のためにミニバンを買いたいが、生活感が強すぎるのは嫌。かといってちょい悪系も苦手」なんて人にふさわしい一台です。
中古車市場では
2017年式「三菱 デリカ D:5 アクティブギア」で360万円前後。2009年式「三菱 デリカ D:5 シャモニー」100万円台後半(2018年3月現在)。
価格
価格 | 3,936,600円(消費税込み)