今回の【評価レビュー】は「新型 トヨタ C-HR S-T LED Edition」。
2016年にデビューした小型クロスオーバーSUV(5ドア・ハッチバック)で、この他にプリウスと同じシステムを搭載するハイブリッド仕様があります。
プラットフォーム(基本構造)はプリウスにも使われる最新の「TNGA」。軽量高剛性ボディによる高い安全性能と燃費効率、優れた運動性能を実現しています。
欧州を中心にドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットでもテスト走行が繰り返され、日本車離れした重厚感あふれる上質な乗り味を与えられています。
「LED Edition」は全ての光源をLED化したヘッドライトと、LEDリアコンビランプ、専用ドアメッキハンドルなどを装備した特別仕様車。ベースグレードからわずか24,000円高で買うことができるお得なグレードです。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4360mmX全幅1795mmX全高1565mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2640mmとなります。
コンセプトカー「C-HR Concept」の形状をほぼそのまま再現した先進的スタイリング。初めて見た時は、「おー、コンセプトカーと同じデザインで出すのか!」とビックリしてしまいました。
フロント
筋肉質なフロントノーズにメカニカルな形状のLEDヘッドライト。ワイド感を強調するフロントバンパーが組み合わされ、ダイナミックで力強いフロントフェイス。
サイド
大型フェンダーに大径アルミホイール。リフトアップされたボディとクーペのように細身のキャビン(居住空間)が組み合わされ、重厚感あふれるカッコいいサイドビュー。ガンダム世代にはど真ん中に刺さるデザインかも。
リア
クーペのように傾斜したリアウィンドウにワイドフェンダーが組み合わされ、まるで「CITROEN ZX ラリーレイド(※)」のような雰囲気のリア周り。
※1990年に開催された「バハ・アラゴン・ラリー」で、初参戦・初優勝を飾ったラリーカー。その後もパリ・ダカール・ラリー、パリ・モスクワ・北京ラリーと連続優勝。
内装
樹脂感の強いインパネにピアノブラック調パネル、メタリックパーツが組み合わされたシンプルでモダンなインテリア。上質感は今ひとつです。
センターディスプレイがインパネ高い位置にレイアウトされるのは、プリウス系と同じ文法。液晶面がややドライバーの方に傾けてあり、ドライバーオリエンテッドな雰囲気です。
クーペライクなカッコいいスタイリングのせいで、後方視界が狭く特に斜め後方が見づらいです。予算が許せばリアカメラの装備をオススメします。
シート
フロントシートは「TNGA」プラットフォームによるがっしりとしたフレームに立体的でコシのあるクッション。肌触りの良いファブリックが組み合わされた座り心地の良いシート。ドライバーの身体を適切なポジションでしっかりと支えます。
リアシートはやや頭回りに窮屈感があるものの、足元にはしっかりとスペースが確保されており、大人二人で座っても実用上の問題はありません。
荷室
デザイン優先のパッケージングながら、荷室にはちょっとしたハッチバック以上(318L)。シートバックを倒すことでさらに荷室を拡大することもできます。
静粛性
室内にはしっかりと遮音材がほどこされ、クラス標準以上の静粛性能を確保。フラットなトルク特性を持つターボエンジンのおかげで、エンジン音が高まることも少ないです。
エンジンとミッション
1196cc・直列4気筒DOHCターボエンジンに、CVT(無段変速機)が組み合わされます。
最高出力116ps/5200-5600rpmと、最大トルク18.9kgf・m/1500-4000rpmを発揮。
車両重量1470kg。JC08モード燃費は、15.4km/l。
エンジン
1.2Lツインカムターボで4輪を駆動(フルタイム4WD)。低速からフラットなトルクを発生する扱いやすいエンジン。平坦な街中であれば、無暗にエンジン回転を高めることもありません。
4WD機構は普段は前輪を中心にトルク配分を行い、路面状況に応じて後輪にもトルクを配分する簡易式。走行安定性能と優れた燃費性能を両立しています。
トランスミッション
ベルトとプーリーによって無段階に変速するCVTを装備。フラットなトルクを活かしてスムーズな加速をサポートします。アクセルを強く踏み込めば有段ギアのようなステップ変速を擬似的に再現、リズミカルでスポーティな走りをみせます。
乗り心地とハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはダブルウィッシュボーン式サスペンションを装備。前後ともにスタビライザーで強化されます。
ダンパーは乗り味に定評のあるザックス社製。
乗り心地
装着されるタイヤは215/60R17。
硬質感をともなったしなやかな乗り味。よく整えられた路面ではフラット感のあるつややかな走りを見せますが、目地段差では鋭い突き上げを感じてしまいます。
ただし、C-HRの履いていたシューズは「ミシュラン・プライマシー3」という慣らしの必要な事で有名なタイヤ。5000km、10000kmと走行距離を重ねることで大きく改善される可能性が高いです(アタリが付くまでは空気圧を下げるという裏技もありますが、安全の保証はできません)。
ハンドリング
重厚感を伴った素直なステアリングフィール。背の高いSUVにしてはロールもよく抑え込まれており、穏やかな身のこなしで正確にノーズの向きを変えます。反面ステアリングとタイヤの間に柔らかなゴムが挟まったような感覚があり、走りの楽しさはいまひとつ。
最小回転半径は5.2mと小さめ。狭い場所でも簡単に切り返すことができます。
その他
搭載される先進技術はミリ波レーダーと単眼カメラを併用した「Toyota Safety Sense P」。このパッケージには「プリクラッシュ・セーフティ・システム(衝突被害軽減ブレーキ)」や「レーン・ディパーチャー・アラート(車線逸脱警報・ステアリング制御付き)」、「レーダークルーズ・コントロール(先行車追従および車間距離保持)」といった機能が含まれます。
【評価レビュー】のまとめ
「トヨタ C-HR S-T LED Edition」は、プリウスとおなじ先進アーキテクチャーを使った小型クロスオーバーSUV。
欧州車レベルのしっかりとした足回りと、ユニークでカッコいいスタイリングが最大の見どころです。目地段差では鋭い突き上げを感じますが、アタリがつくことによって完全される可能性が高いです。
その他にも後席の居住性に若干の窮屈感がありますが、このかっこいいスタイリングとのトレードオフだとすれば致し方ありません。
「彼女とデートを楽しむためのカッコいい車が欲しい」とか「SUVに興味があるが、暑苦しいのは苦手」なんて人にピッタリな車です。
中古車市場では
2016年式「トヨタ C-HR S-T」で210万円前後。2017年式で230万円前後(2018年3月現在)。
価格
価格 | 2,540,400円(消費税込み)