※写真はガソリン車の「218i」です。
今回の【評価レビュー】は「新型 BMW 2シリーズ 225xe iPerformance アクティブツアラー ラグジュアリー(F45)」を試乗レポート。
2014年に登場した、小型の5ドアミニバンです。
BMW初のFF車で、プラットフォーム(基本骨格)にはMINIと同じものが使われます。この他にロングホイールベース化された「グランツアラー」と2ドアクーペ、オープントップのカブリオレがありますが、プラットフォームを共有するのはFF車のグランツアラーだけです。
今回の「225xe」は2016年に追加されたプラグイン・ハイブリッドモデル。1.5Lエンジンに電気モーターが組み合わされ、そこにハイブリッドカーとしては珍しい4WDレイアウトが採用されます。
このモデル追加によって、2シリーズ・アクティブツアラーは、ガソリン車とディーゼル車に加えてハイブリッドカー、合計3種のパワーソースをラインナップする事になります。高い人気を誇るアクティブツアラーの販売量をさらに上積みすることになるでしょう。
欧州の自動車メーカーが最近急激にPHVの導入を急ぐのは、2021年に導入が予定されているEUのCO2規制が待ち構えているからです。PHVの場合は、充電分をCO2ゼロとして計算することができるため、この規制に対しては非常に有利なのです。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「【評価レビュー】のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4350mmX全幅1800mmX全高1550mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2670mmとなります。
プラグインハイブリッドの「225xe アクティブツアラー」とガソリン車で、外観上の大きな違いはありません。
フロント
短くスラントしたノーズに、特徴的なキドニーグリルとつり上がったヘッドライトが組み合わされ、穏やかで都会的な表情を作り上げています。
ファミリー層をターゲットとしているため、3シリーズのようなシャープな躍動感は控えめです。
サイド
ミニバンにしては短い全長と低いルーフ。前後オーバーハング(ホイールからボディ端までの距離)が短く切り詰められ、ハッチバックとミニバンの間のようなスタイリング。Dピラー(一番後ろの柱)の傾斜が強いため、通常のミニバンよりはパーソナルな雰囲気が強いです。
リア
ハイデッキ化されたヒップラインに、ワイドな拡がりのあるリアコンビランプが組み合わされ、おだやかで落ち着いた印象を与えます。
内装
しっとりとした樹脂に木目パネルやメタリック素材が組み合わされた、モダンで上質な室内。メーターナセルには精密な表示で2眼メーターが刻まれ、視認性、使い勝手ともに申し分ありません。
センタークラスター上部には、BMWファミリーに共通のワイドディスプレイが装備され、ナビゲーションや車両情報に加えて、ハイブリッドシステム関連の情報も表示することができます。
シート
前席はMINIのシートを彷彿とさせるような、コンパクトで丸みのあるデザイン。柔軟なたわみのある表皮にどっしりとしたクッションが組み合わされ、疲れの少ない快適なシートに仕上がっています。
後席は、座面のサイズ、シートバックの角度ともに問題ありませんが、ガソリン車のような角度調整機能やスライド機構は装備されません。足元、頭上空間ともに適切なサイズが確保されており、大人二人がリラックスして座れます。
荷室
床下にリチウムイオン電池や後輪用モーターがあるため、荷室容量はガソリン車より小さく400Lとなります。それでも、元々の容量が大きいので家族4人で2泊3日旅行くらいは余裕です。
静粛性
EVモードでの静かさが災いして、エンジンが始動するとややバイブレーションやノイズが気になります。
エンジンとミッション
1498ccの直列3気筒DOHCターボエンジン+電気モーターに、6速ATが組み合わされます。
エンジンは、136ps/4400rpmの最高出力と、22.4kgf・m/1250-4300rpmの最大トルクを発揮します。
また電気モーターは、88psの最高出力を発揮。
車両重量1740kg。JC08モード燃費は、17.6km/lとなります。
エンジン
1.5Lのツインカムエンジン+電気モーターによるハイブリッドシステムで、4輪を駆動。ダウンサイジングターボと電気モーターの組み合わせによって、低速から力強いトルクを発揮します。出足から中速域までストレスの無い力強い加速が可能です。
220xeのハイブリッドシステムは、前輪を駆動する1.5Lエンジンに、後輪専用の電気モーターを組み合わせた4WD専用ハイブリッドシステムです。ハイブリッド走行ではエンジンと電気モーターを組み合わせた4WDとして走行し、エンジンのみの走行では普通のFF車。電気モーターだけを使って走るEVモードでは、完全な後輪駆動となるわけです。
この3つの走行モードを普段は車が自動的に組み合わせて最適な配分で走りますが、バッテリー残量に余裕がある時は、ドライバーが任意で走行モードを選択することも可能です。
トランスミッション
トルコン式の6速ATを装備。スムーズでレスポンスに優れる変速フィールを実現しています。トルクの出やすいEVモードでも、ギクシャクする事はありません。
乗り心地とハンドリング
前輪にシングル・ジョイント・スプリング・ストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションを装備。前後ともにスタビライザーで強化されます。
乗り心地
しっとりとした重厚感を伴う快適な乗り心地。目地段差を通過してもゴツゴツとした不快な印象はありません。重量が増加している分、ガソリン車よりも上質な乗り味です。
高速域でも安定しており、まっすぐに直進します。
ハンドリング
バッテリーやモーターなど、重量の嵩張るユニットをボディの低い位置に搭載しているため、背の高いミニバンにしては重心が低く、ロールも最小限に抑えられています。
ドライバーの操舵に対して素直に反応する、自然なステアリングフィールです。後輪の路面追従性が高く、コーナリング中も安定した姿勢を保ちます。
最小回転半径が小さく、狭い路地や駐車場でも簡単に切り返すことができます。
【評価レビュー】のまとめ
コンパクトなボディに広々とした室内を備えたBMW2シリーズ・アクティブツアラーに、後輪駆動用電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドカー(PHV)。BMWならではの都会的なスタイリングと、スポーティな走りも健在です。
「家族を乗せるためのミニバンを探しているが、スポーティで上質な走りやカッコいいスタイリングも大切」、「加えて欧州プレミアムカーのブランド力も欲しい」と考えている人にピッタリな一台です。
価格
価格 | 5,160,000円(消費税込み)