今回の試乗レポートは「2代目 日産 アベニール サリューX」。
1998年から2005年に渡って製造販売されていた、小型の5ドア・ステーションワゴンです。
商用バンをベースに開発されていた初代アベニールに対して、この2代目ではプレーリー・リバティ(Y12)と同様のプラットフォームが使われています。
2000年と2002年にマイナーチェンジ。2000年のマイナーチェンジでは内外装に手が加えられています。
ステーションワゴンブームの終焉とともに、アベニールの売上も低迷。この2代目でアベニールの車名は消滅することになります。
※忙しくてあまり時間の無い人は、文末の「試乗評価のまとめ」をどうぞ。
外観
全長4650mmX全幅1695mmX全高1450mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2620mmとなります。
フロント
薄く平べったいノーズに角型のヘッドライトが組み合わされ、ロー&ワイドでスポーティな印象のフロントフェイスです。
サイド
前後のオーバーハング(車軸からボディ端までの長さ)が長く、やや古典的な印象のサイドビュー。ショルダーライン(サイドウィンドウ下端)がCピラー(前から3番目の柱)の下で緩やかに盛り上がり、スポーティで力強い印象を作り出しています。
リア
ブラックアウトされたDピラーと、傾斜の強いリアウィンドウが一体となって、伸びやかでスポーティなリアエンドを構成しています。このあたりのデザイン処理には当時大人気となっていた「スバル・レガシィ」の強い影響があります。
内装
2000年のマイナーチェンジによって、プリメーラとよく似たドライバーオリエンテッドなデザインから、左右対称を基本とする開放感のあるデザインに変更されています。
見切りの良いボディに広々とした視界性能。アップライトなポジションを持った運転のしやすい車です。
シート
前席には立体的でスポーティな形状のシートが装備されます。クッションの芯にはある程度のコシがあり、長時間ドライブでもそれほど疲れることはありません。
後席は足元、図上空間ともに十分なスペースが確保されています。広々というわけではありませんが、大人二人がしっかりと座ることができます。
荷室
ステーションワゴンらしい広々とした荷室。家族4人であれば、キャンプからバーベキュウまで自由に楽しむことができます。
静粛性
ロードノイズ、エンジン透過音ともにある程度の侵入を許しますが、ロードノイズの透過しやすいこのクラスのステーションワゴンとしては、許容できる範囲です。
エンジンとミッション
1769ccの直列4気筒ODHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、125ps/5600rpmの最高出力と、16.6kgf・m/4400rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1300kg。10モード/10・15モード燃費は、13.0km/lとなります。
エンジン
1.8Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。車重に対してややアンダーパワーですが、街中など市街地領域で使用する分には十分です。ただし、フル乗車や坂道、合流ポイントでは流石にもっさりとした印象となります。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備、非力なエンジンをしっかりとまわして必要十分なパワーを絞り出します。
足回りとハンドリング
前輪にストラット式サスペンション、後輪にはマルチリンク式サスペンションが装備されます。
足回り
しなやかで快適な乗り味。高速安定性も高く、長距離ドライブでの疲れは少ないです。目地段差での鋭い突き上げも十分に減衰されています。
ハンドリング
ステーションワゴンにふさわしい、ややダルな印象のステアリングフィール。といっても操舵に対する反応が素直なため、気持ちよく走ることができます。
最小回転半径が大きく、狭い路地や駐車場では取り回しに苦労します。
試乗評価のまとめ
商用バンをベースに開発された初代アベニールに対して、この2代目はプレーリー・リバティ(Y12)をベースとすることで、パーソナルで乗用車的な雰囲気を実現しています。
ステーションワゴンとしてはやや室内が狭めですが、趣味やレジャーで使うには十分な容量を確保しています。乗用車がベースとなっているため、ハンドリングが素直で乗り心地も快適です。
子育て世代が普段は通勤や子どもの送り迎えに使い、週末はレジャーやキャンプに出かけるといったシチュエーションにピッタリはまります。
その他には、若者が自分の趣味や遊びに使うトランスポーターとしても、オススメしたい車です。
中古車市場では
生産終了から15年以上が経過しているため、最終モデルの「サリューX 1.8L」であれば、20万円前後で購入することができます。
価格
新車当時の価格 | 1,887,900円