今回の試乗レポートは「5代目 トヨタ ビスタ N200G」。
1998年から2003年に渡って製造販売されていた、小型4ドアセダンです。この他にユーティリティ性能に優れたステーションワゴンもあります。
それまで兄弟車の関係にあったカムリと完全に分かれ、独立した国内専用モデルとして設計されています。
セダンにしては異様に背の高いボディと、足元に余裕を生むコラムシフトが採用され、スペース効率を優先したパッケージングが行われています。
外観
全長4670mmX全幅1695mmX全高1505mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2700mmとなります。
全体のバランスを無視した異様に背の高いキャビンが、ビスタ最大の特徴となっています。ちょっと野暮ったい印象は拭えませんが、その分、スペース効率は抜群です。
フロント
フロントフェイスは角型ヘッドライトに格子グリルという保守的なデザインです。ミニバンのように背の高いキャビンが組み合わされ、ビスタならではの個性的なプロポーションを構成しています。
サイド
分厚いボディに、全高の高いキャビン。大きなガラスエリアが相まって、カムリをそのまま上下に引き伸ばしたような不思議なプロポーションです。
リア
ハイデッキ化されたヒップラインに、がっしりとした横長のリアコンビランプがレイアウトされます。重厚感を感じさせる力強いリアエンドです。
内装
プラスチッキーな質感を感じさせる簡素なインテリアデザイン。大きなセンターメーターがダッシュボードの真ん中に鎮座しており、視認性は良好です。
アップライトなポジションと見切りの良いボディ形状が相まって、運転のしやすい車となっています。
シート
前席には適度なサイズ感を持った、立体的な形状のシートが装備されます。やや腰回りに体圧が集中しがちですが、中距離(30km)程度の移動であれば問題ありません。
後席は足元、頭上空間ともに十分な余裕があります。座面の大きさや角度、シートバックの長さに問題はありません。成人男性ふたりが十分な余裕を持って座ることが可能です。
荷室
優れたパッケージングを活かして、荷室には広大なスペースが確保されています。家族4人であれば2泊3日旅行も十分に可能です。
静粛性
室内には十分な遮音対策が施されており、このクラスのセダンとしては十分な静粛性能を持ちます。
エンジンとミッション
1998ccの直列4気筒DOHCエンジンに、4速ATが組み合わされます。
エンジンは、152ps/6000rpmの最高出力と、20.4kgf・m/4000rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量1290kg。10モード/10・15モード燃費は、15.4km/lとなります。
エンジン
2.0Lのツインカムエンジンで前輪を駆動。低速から必要なトルクを発生する扱いやすいエンジンです。パワーの出方もスムーズで静か。上質なエンジンフィールを味合うことができます。
急な坂道でももたつく事はなく、トランスミッションが最適なギアを選択して、力強い加速感を生み出します。
トランスミッション
トルコン式の4速ATを装備。ギアは4段しかありませんが、制御の仕方が巧みなため不足はありません。エンジンのトルク特性十分に活かして、最適なパワーを作り出します。
足回りとハンドリング
前輪にマクファーソン・ストラット式サスペンション、後輪にはイータビーム(トーションビーム)式サスペンションが装備されます。
足回り
ゆったりとした快適な乗り心地です。高速域での安定性も高く、安心してステアリングを握ることができます。
目地段差を通過しても、ダイレクトな衝撃を車内に伝えることはありません。
ハンドリング
モワーとしたダルなステアリングフィール、接地感が乏しく走る楽しさはありません。ドライバーがステアリングを切り込むと、一度ステアリングの奥で何かが捻れ、その後ワンテンポ遅れて舵が効き始める印象です。
最小回転半径が小さく、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
スムーズかつパワフルなエンジンに、ゆったりとした快適な乗り味がプラスされた、トヨタらしい中庸な小型セダンに仕上がっています。
さらに、セダンとしては異例に背の高いキャビンが組み合わされ、ミニバンに迫るほどの広々とした居住空間が確保されています。
地味なフロントフェイスに、パッケージングを優先した野暮ったいボディが組み合わされるため、見た目のカッコよさやおしゃれが気になる人には向きません。
逆に「車はスムーズかつパワフルに走って、ゆったりとした快適な車内空間があればそれでいい」という合理的な考えの人には最適な選択となります。
価格
新車当時の価格 | 2,405,000円