今回の旧型レポートは「2代目 スズキ カルタス 1000」。
1988年から1999年に渡って製造販売されていた、コンパクトな5ドア・ハッチバックです。
この他に、4ドアセダンや3ドアハッチバック、ソフトトップの「コンバーチブル」がラインアップされます。
1991年にはマイナーチェンジが行われ、内外装に大幅な手が加えられています。
当時資本関係にあったGMの意向もあり、アメリカの若い人たちが最初に購入するクルマとして、価格が安く、使い勝手の良いコンパクトカーとして設計されています。
外観
全長3845mmX全幅1575mmX全高1380mmのボディサイズを持ち、ホイールベースは2365mmとなります。
フロント
シンプルな直線で構成されたノーズに、角型の小さなヘッドライトがレイアウトされます。グリルレスで無機質な印象ですが、同時に当時のホンダ車のようなスポーティな面影もあります。
サイド
カクカクとした直線で構成されたスタイリングと、大きめのキャビンスペース、6ライトのサイドウィンドウによって、ちょっとしたコンパクト・ワゴンのような佇まいを感じさせます。
リア
強く傾斜したリアウィンドウ、低い位置にレイアウトされた薄型リアコンビランプによって、モダンで安定したスタイリングを構成しています。
内装
ボディの見切り、見晴らし共に良好で、とても運転がしやすいです。質感はそれほど高くありませんが、当時の日本車としてはラインにしっとりとした丸みがあります。モダンで趣味の良いインテリアです。
シート
小さなシートとクッションをやりくりして、何とか人間を快適に座らせようという努力のあとが涙ぐましいです。中距離(30km)程度までなら快適な移動が可能です。
リアシートは平板でクッションもそこそこ。中距離の移動はちょっとつらいかなといった印象です。
荷室
小さめながらスクウェアな形状のしっかりした荷室が確保されます。家族4人で1泊2日旅行くらいならなんとかなりそうです。
静粛性
回すとうるさいエンジン、頻繁に侵入してくるロードノイズ、風切音によって、室内のノイズは大きめです。
エンジンとミッション
993ccの直列3気筒SOHCエンジンに、3速ATが組み合わされます。
エンジンは、58ps/6000rpmの最高出力と、8.0kgf・m/3500rpmの最大トルクを発揮します。
車両重量790kg。10モード/10・15モード燃費は、15.2km/lとなります。
エンジン
1.0Lの3気筒エンジンで前輪を駆動。エンジンパワーはかなり小さいですが、ボディが軽量なためそれほど不満はありません。日常領域では十分なトルクを発生してくれます。といっても、急な坂道や高速域からの追い越し、合流ポイントではカッタルイ印象を受けます。ノイズやバイブレーションが大きく上質感はありません。若者向けのエントリーカーですから、ある程度の安っぽさは仕方ありませんが。
トランスミッション
トルコン式の3速ATを装備。非力なエンジンを補って、高回転域までエンジンを引っ張ります。結果的にノイズとバイブレーションを増大させますが、限られたリソースをしっかりと使い切る実用的なトランスミッションです。
足回りとハンドリング
前後ともにストラット式サスペンションが装備されます。
足回り
フワフワとした柔らかなサスセッティング。目地段差でも不快な衝撃は緩やかに遮断されます。
高速域での安定感もそこそこで、フラットな姿勢を維持します。
ハンドリング
パワーアシストがしっかりと効いており、軽い力でステアリングを回すことができます。キビキビとしたスポーティ感はありませんが、ドライバーの入力に対して素直に反応する、気持ちの良いステアリングフィールです。
最小回転半径が小さくボディもコンパクトなため、狭い路地でも簡単に切り返すことができます。
評価のまとめ
コンパクトなボディに、広々とした室内とそこそこの荷室が装備される使い勝手の良い実用車です。お金の無い若者の為のエントリーカーとして設計されているため、質感もそれなりですが、値段が安いので文句はありません。
若者が通勤や通学に使ったり、シニア層が日常の足として使うのにピッタリなクルマといえます。
ただし、ボディが軽いとはいえ、1.0Lエンジンではちょっとパワーが不足がちです。そのため、ちょっとパワーが足りないなあ、という人には、上級グレードの1.3Lエンジンをオススメします。ただし、このエンジンに5ドア・ハッチバックは用意されません。
主に街中で使うという人には、1.0Lエンジンを。通勤途中に坂道があるという人には、1.3Lエンジンを。といった所が落とし所でしょう。
価格
新車当時の価格 | 922,000円